第711回番組審議会 2月14日(金)開催

〔出席委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、小松 陽一郎 副委員長、
北川 チハル 委員、高見 孔二 委員、
龍沢 正之 委員、中西 悠子 委員、
原 美和 委員、松山 秀明 委員

〔当社側出席者〕
今村 俊昭 代表取締役社長、
中村 博信 取締役、岩田 潤 取締役、
飯田 新 総合編成局長、
吉村 政人 コンプライアンス局長、
森崎 恵美 プロデューサー、
木村 佳麻里 事務局長、米澤 公章 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

『阪神淡路大震災30年特別番組 あの時から今へ ~私が撮った1.17~』
<事前視聴 2025年1月19日(日)午後1時55分~3時20分>

委員の主な発言

<番組の評価点>

  • 過去の映像情報やそれにつながる人々の思いをまとめることはテレビ局にしかできないと思う。地元の局として被災者から提供された映像は大事な資産だ。番組全体を通して映像提供者の思いだけでなく、そこにつながる人々の気持ちもリレーのバトンを渡すように構成されていて、思いがつながる流れになっていると感じた。
  • 震災を知らない世代に、震災時のリアルな状況やその時の思い、30年間を知ってもらおうという狙いがクリアでストレートに伝わってきた。ナビゲーターの佐野晶哉さんの真面目なやさしい人柄にも胸を打たれた。
  • 「このあと地震の映像が流れます」というスーパーや、視聴者の心をむやみに刺激しない穏やかなナレーションなどに、被災者への配慮が感じられた。
  • 震災後に生まれた佐野晶哉さんが、発災時にビデオカメラを回した人の心情に寄り添いつつ当時の気持ちを聞き取って、その言葉をどう受け止めたかも率直に誠実に語り、震災の経験者と未経験者が同じ方向に目を向けて会話をしているように見えた。
  • 母親や指導者、曲を作った人、病院など、いろいろな目線があって見応えがあり、どの世代にも届く見やすいドキュメントだった。

 

<番組の課題>

  • 被災した人が発災時にビデオカメラを回した事実やその映像記録が番組のメインだと思ったが、途中から少し方向性がずれたような印象を受けた。カメラを回した人ではなく、映っていた人、あるいは映像そのものとは直接的には関係しない人のエピソードが長くなっていたと感じた。
  • 阪神淡路大震災の教訓が生かされていないのではないかということが指摘されている中で、記憶や体験の継承にプラスして、当時何が問題で今も何が問われているのか、防災上の課題のようなことにも触れると、もっと深みが出て報道としての力が増したのではないか。
  • 一般の人が撮った映像は、テレビ局のものと比べると画像も良くなく、ブレたりしていると思うが、撮った人が感じたものがそこに出てくるのだから、もっと長く見せてもいいのではないか。
  • 阪神高速が崩れたときに走行していたバスの運転手を取り上げていたが、乗っていた人たちがどのように避難したのかなども紹介した方がよかった。
  • 阪神淡路大震災は、これからも関西のテレビ局にとって常に根っこにあるものだと思う。災害の記憶はずっと守っていかなければいけない。震災を伝える手法を模索し続けることがこれからの関西のテレビ局の使命だと思う。

局側から

  • タイトルの『私が撮った』には「佐野さんが撮った」という意味も込められている。今の佐野さんが感じたことを自らカメラで撮って、皆さんと共有できればよいと考えた。
  • 朝日放送テレビとして今後何ができるのか、報道現場だけでなく、局としていろいろなことを考え継承していかなければならないと思う。

以上