正しい報道は私たちの責務です。
グループとして自ら主体となり、社会課題の解決に向け行動していきます。

 

 今、社会は様々な課題に直面しています。少子高齢化、子供の貧困、大規模な自然災害、繰り返される紛争、そして、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延…。そうしたあらゆる社会課題について「正しく報道すること」は、公共の電波を預かる私たちの責務であり、メディアを中心とした事業を通して社会的責任を果たすことは、メーカーが商品を提供するのと同じように、ごく当たり前のことです。「事業として」だけでなく、「社会の一員として」私たち自身がどのように課題と向き合い、解決していくのか。そんな視座を持って行動することが重要だと考えています。

 

 朝日放送グループでは、約20年前から現在の当社のCSRにつながる活動を推進してきました。2000年にスタートした環境キャンペーン「ガラスの地球を救え」で環境保全の重要さを番組でお伝えするとともに、社員自身も山陰の浜辺で清掃活動をしたり、淀川の葦を刈って舟をつくるなど様々な取り組みを実践し、現在も地域の方々とともに自然観察会などを連綿と続けています。また2007年には、子どもたちが未来に対して明るい希望を持てるよう、全社横断的な「こども未来プロジェクト」を立ち上げました。そうした長年の活動を経て2018年に策定した「朝日放送グループCSR基本方針」では、優先的に行う行動指針として、「子ども」「環境と暮らし」「文化」の3項目を重要課題としています。「子ども」に関しては、メディアリテラシーを身につけてもらうための「エビシー教室」を出前授業やリモート授業などの形で開講。「環境と暮らし」では、阪神淡路大震災や台風・水害等自然災害の取材映像アーカイブを公開するプロジェクトなど、防災・減災情報の発信に注力しています。また「文化」については、関西には京都や奈良など歴史ある地域が多く、華道や茶道をはじめ日本を代表する多様な文化や伝統芸能、また、神社仏閣などの多くの文化財があります。そういった歴史ある豊かな関西の文化を支え育み続ける活動も進めているところです。

 

女性活躍推進や働き方改革など、朝日放送グループにおける社会課題に対してもより迅速に取り組んでいきます。
 

 私たちグループは、2020年8月、持続可能な社会の実現に向けて、国連の「SDGメディア・コンパクト」に加盟しました。正しく報道することは責務であると先述しましたが、SDGsの目標達成に貢献するのはもちろん、国の内外の人々に向け広く声掛けができるのはメディアならではの仕事です。1年後の2021年8月には、そのSDGsなど社会課題解決の取り組みの加速と、ESG経営の推進に向けて、「サステナビリティ推進委員会」を設置しました。今後はさらに、気候変動対応へのアクション、従業員の健康や労働環境への配慮などサステナビリティをめぐる様々な課題へ対応し、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上を目指して行きます。
 「環境」課題に関しては、ペーパーレスや再生可能エネルギーの使用など環境負荷低減につながる取り組みなどまずは身近なところから迅速に進めなければならないと考えています。一方、「社会」課題に関しては、二つの視点を重視しています。 
 一つは「地域創生」です。『中期経営戦略2021- 2025 NEW HOPE』においても「地域創生と社会課題の解決に資する事業の創造」を重点目標に掲げており、活動は2020年から開始しています。定期オンラインセミナーを開催し、どのようなネットワークをつくり、地域ニーズをどう拾い上げていくのか、関西をはじめ全国の自治体や観光業者と活発に議論を重ねています。また、コーポレートベンチャーキャピタル(ABCドリームベンチャーズ)が出資するスタートアップ企業とともに防災・減災や里山の保全・活用に取り組むなど、地域社会への貢献に向けた新たなチャレンジも始まっています。 
そしてもう一つが、女性活躍推進や働き方改革などグループ内における課題の解決です。私たちグループも独自のバリューチェーンを持っており、その中ですべき事は多くあります。これまで以上に、これらを喫緊の経営課題と捉え迅速に取り組んでいきたいと考えています。


 最後に、「環境」「社会」共に大きく関わっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらすパンデミックは、深刻かつ新たな社会課題であり、その対応は私たちメディアの責務です。従業員をはじめすべてのステークホルダーの健康と命を守ることを最優先として、メディアがまずできることは、COVID-19がどんな災害でどんな病気なのかという多様な情報や意見を紹介することだと思います。不安や危機を煽り立てるのではなく、コロナ渦中およびコロナ後の社会について様々な議論をしていけるよう、メディアグループとして確かな情報発信を持続的に行っていきたいと考えます。 

 

 朝日放送グループは、私たちを取り巻く「環境」や「社会」、そしてすべてのステークホルダーの皆さまあってのものです。従業員をはじめ地域社会、お客様、株主様のご理解とご協力なくして山積する社会課題を解決することはできません。 持続的成長を目指し、皆さまとともに取り組みに邁進していきます。
 

朝日放送グループホールディングス株式会社
代表取締役社長