第681回番組審議会 2月18日(金)開催
*朝日放送テレビ出席者と各委員をリモート会議システムでつないで開催
〔出席委員〕 |
〔当社側出席者〕 |
審議課題
『高校野球スペシャル 甲子園がつないだもの』
<事前視聴 2021年12月29日(水)午後11時40分~深夜0時40分放送>
委員の主な発言
<番組の評価点>
- 甲子園を目指す球児たちを取り上げることは、そのキラキラした素材を偽りなく伝えるということがその役割だと思う。その中で見落としがちなワンシーンに注目し、必死に戦う球児たちの思い、それを受け止める球審の思いに注目して編集した大阪桐蔭と東海大菅生の話は秀逸だった。試合とそのまとめ方にはとても胸を打たれた。
- 雨の試合を担当した審判の話が良い。両チームのキャプテンを呼んで審判が、「申し訳ないけど、ここで野球を終了させてもらいます」という場面の「申し訳ない」という言葉に感動した。高校野球を愛している様子が、すごく心に沁みた。
- 非常に感動的な構成だった。中でも雨中で行われた大阪桐蔭と東海大菅生の泥になったグラウンドでの試合を、客観的に球審の視点から見ると、全く違う試合に見えるという構成がうまかった。特にグラウンドで球審が選手へ声をかけるときの温かみが伝わり、感動的であった
- カメラワークが素晴らしい。真剣勝負の一瞬の姿を捉えてスローモーションで見せたり、ネット越しに焦点を合わせたり、土砂降りの雨粒まで見えるプレー映像、その技術や腕に惚れ惚れした。試合に台本はなく、予測不能なのに、絶妙な瞬間を捉えることができたのは、並々ならぬ努力とか準備があるからだと思う。それがそのまま選手たちへの応援のように感じられて、見ていてとても気持ちが良かった。
- 全体的に、映像がとてもきれいで、朝日放送テレビならではの映像がよく撮れていた。雨中の試合で、選手の帽子の脇をボールがかすめた時に、水しぶきが浮かぶような場面、これはすごい。狙わなくては撮れないと思う。
- コロナ禍で大変だったのは野球だけではないと思うが、2021年の全国高等学校野球選手権大会の数々の「史上初」をまとめたこの番組は、歴史的に見ても大変貴重なものではないかと思う。
- 全国高等学校女子硬式野球選手権大会の話題も本当に素晴らしかった。みんなの笑顔であったり、チームワークであったり、まだ広く知られていないところを取り上げていてすごくうれしかった。
- 女子野球を広めようという熱意のあるキャプテンの思いなど、うまく紹介していて感動的であった。女子独特の円陣とか、全く知らなかったことが出てきた。女子野球を広めるためにも、ぜひ番組制作を続けてほしい。
- 朝日放送テレビのヒロドアナウンサーが、インタビューで球児たちの本心をうまく引き出していた。私は、『熱闘甲子園』も大好きで、このような番組を何度も形を変えて放送していただくことは、ファンとして大変ありがたいと思っている。
- 番組の冒頭に山崎育三郎さんの「栄冠は君に輝く」の独唱があって一気に盛り上がった。また、山崎さんのナレーションは、感情がこもっていてすごく効果的だった。
- 「高校野球と言えば朝日」と言われるくらい映像もたくさん持っていると思う。これからも甲子園、高校野球という貴重なコンテンツを、いろいろな切り口で表現した番組を作ってほしい。
<番組の課題>
- 全体を通して見ると一つひとつのテーマがバラバラだったように感じ、番組全体の意図、何が伝えたかったのかはよくわからなかった。年末に放送するという何かメッセージ性があっても良かったのではないか。
- 雨中の試合での審判の話などそれぞれは良かったが、全体を通して見ると一つひとつの話にさほどつながりがない。番組が『甲子園がつないだもの』なので、「つなぐ」ということを、何かキーワードとしてうまく使うと良かったのではないかと思う。
- 智弁学園と智弁和歌山の決勝戦では、私は智弁学園がどこの都道府県なのかがわからなくて、番組中に調べて奈良県の代表だとわかったのだが、視聴者がそれをわかっている前提で話を進めないでほしいと思った。
番組制作側から
- 新型コロナの影響で、本来思い描いていた取材ができないところもあったが、高校野球の映像は、生中継に加えて『熱闘甲子園』のカメラ映像もあって、他局では真似できないものをたくさん撮影できている。その強みを生かしつつ、高校野球をより大切に見せるための方法を今後も考えていきたい。
- 真夏のイメージが強い高校野球について、冬にも番組を作るのは長年の願いだった。時間をおいて振り返ることで、夏以上に重層的な話を聞くことができた。また、女子高校野球は、今後もしっかりと放送し続けていきたい。
以上