第633回番組審議会は3月10日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。

〔委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、道浦 母都子 委員、
星野 美津穂 委員、橋爪 紳也  委員、
高見 孔二 委員、小松 陽一郎 委員、
北川 チハル 委員、古川 伝 委員

〔当社側〕
脇阪 聰史 社長、
松田 安啓 常務取締役、緒方 謙 取締役、
岡田 充 編成局長、木村 光利 コンプライアンス局長、

岩田 潤 制作局長、大幸 雅弘 テレビ制作部長、
近藤 真広 プロデューサー、
嶋田 一弥 ラジオ編成業務部長、
戸石 伸泰 事務局長、北本 恭代 事務局員

審議課題

『なるみ・岡村の過ぎるTV』
<事前視聴 2017年2月20日(月)午後11時17分~午前0時17分放送>

番組の良かった点

  • 深夜番組なのにギラギラしたところがなく、むしろ一日の終わりに、穏やかに、面白く、心地良く、体と頭をゆっくり休めて楽しませてくれると感じた。睡眠に向かう時間帯としては、脳を変に刺激し過ぎない内容で、良かったのではないか。
  • 前回審議時は番組が始まって半年。しかも実験枠での取り組みで、存続かどうかという時だった。それから3年。番組としても成熟度が増し、正に「面白過ぎるTV」になっている。よく練れた、上質の笑いを提供する安定した番組に仕上がっている。
  • 前回審議時と比較すると、当時は、なるみさんがかなり岡村さんに気をつかって、何となくギクシャクした感じがあったような気がしたが、今は自然に流れている。しかも、なるみさんのキャラクターが前面に出てきている。
  • 「過ぎる」という一つのテーマで、これだけの番組を維持し、さらに盛り上げているのは企画として大成功。それほど「過ぎる」という内容でなくても、バラエティとして許せる楽しい番組だと思う。
  • 「懐かし過ぎる今日」、「大阪べ~たバンク」、「関西過ぎる調査隊」等、どのコーナーもそれぞれ面白くて、飽きることがなかった。
  • 「懐かし過ぎる今日」のコーナーでは、25年前の、岡村さんがまだ21歳の時の映像が出てきて、たぶんまだ東京のテレビでは売れていない頃だったのかなと思って、とても新鮮な気がした。
  • 「大阪べ~たバンク」のコーナーは、「熱燗に合い過ぎるグルメ」や「飲み過ぎて失敗したこと」等、テーマも面白いし、インタビューを受ける大阪人のリアクションも最高に面白い。こちらもうなずいたり、笑ったり、胸に手を当てたり、身につまされたりしながら見た。
  • 「熱燗に合い過ぎるグルメ」のコーナーで、「大吟醸」ではなく「熱燗」と言っているところが面白い。最初は「何で今時、熱燗って聞くの?」と思ったが、なるみさんと岡村さんが面白がるところだと考えるなら充分成り立っていると思う。
  • 「熱燗に合い過ぎるグルメ」のコーナーでは、アンケート調査で1位になった“おでん”に時間を割かないで、むしろ“たらばがに”や“あん肝”の缶詰をフィーチャーしたのはとても良かった。食べてみたくなったし、工夫が感じられた。
  • 「熱燗に合い過ぎるグルメ」のコーナーは、うまく内容を転がしていると思った。例えば“土手焼き”が美味しい店があると聞いたら、そこに行く。最後に“缶詰”を持ってくるのも、視聴者や岡村さんたちが「こうなったら良いのにな」と思うことをちゃんとしてあげている。そこをはずさないようにしていけば面白い。
  • 「熱燗に合い過ぎるグルメ」のコーナーで、“あん肝”缶詰等の美味しい食べ方を紹介していたグルメ担当の湯浅仁志ディレクターは、なかなか味わいのある容姿とキャラクターでインパクトがある。
  • グルメ担当の湯浅仁志ディレクターが缶詰の紹介をしたり、スタジオ・カメラマンをパッと映したりするのは、「皆でこの番組を作っているよ」という一体感が出ている。
  • 「関西過ぎる調査隊」のコーナーでは、人生初ロケという芸人コンビのぎこちないリポートが微笑ましく、岡村さんとなるみさんの彼らへの突っ込みも温かくて、心がホンワカした。

番組の課題

  • なるみさんと岡村さんのトークはテンポがよく、楽しい。2人のコンビがこの番組の成功要因。そういう意味で、2人のトーク時間をもっと増やした方がより楽しくなるのではないか。
  • 全般になるみさんの話をもっと聞きたい。なるみさんが、駄々っ子の岡村さんをあやすみたいなところを意図的に番組の中で作るためには、もっと岡村さんに暴れてもらわないといけない。
  • なるみさんは、いやみがないし、時々チクッと言うひと言が非常に的を射ていて、今一番好きな女性の話し手。対する岡村さんは郷土愛でやっている。この二人の個性の引き出し方がもうちょっとあっても良い。
  • 3年前の審議時と変わった感じがなく、なるみさんと岡村さんという好感度の高い2人のトークが終始見せ場になっている番組だと思った。姉と弟のような会話で、2人がすごくやさしくて、若手芸人のロケを見る視線もやさしい。でも、どちらにも毒がない。
  • 面白かったし、落ち着いて見られるが、毎週見ているかと言ったら見ていない。理由は、いつもやっていることが違うから。『ナイトinナイト』枠の他曜日の番組と違って、人気コーナーがなく、内容が日によって粗くなったり薄くなったりしていると思う。
  • なるみさんと岡村さんをいかに面白く持っていくか、いかに楽しがる材料をスタッフがあげるかという番組だと思う。だから「関西過ぎる調査隊」のコーナーにプロのリポーターは要らない。あれは、例えば地元の女の子に「この町を案内して」といってやらせる方が良いと思う。
  • 「関西過ぎる調査隊」のコーナーのように若手芸人が町ロケに行くという番組はやたらあるので、それをこの番組の魅力だと言うには難しいものがある。逆に若手芸人が出る頃になってチャンネルを他局のニュース番組に回す時がある。
  • 「関西過ぎる調査隊」のコーナーで、大阪府島本町に目をつけたのは面白いと思った。やさし過ぎるおじさんとか、水道料金が日本で2番目に高いとか、発見があったので、最後に持ってきたのはもったいないと思った。
  • 「関西過ぎる調査隊」のコーナーで、「大阪府島本町は水道代が高過ぎる、でも美味しい」という話題で、地下水脈の図による説明があったが、何故なのかがよくわからなかった。番組のカラーからして、中途半端に説明するよりは、「何でかなぁ?」という感じで流すくらいでも良いのではないかと思った。
  • 「関西過ぎる調査隊」のコーナーは、「ジャパン・コンテンツ」の視点からも、関西や大阪の文化(例えば人形浄瑠璃等)をちょっとだけまじめな部分も入れて紹介してもらえれば面白くなっていくのではないか。
  • 「懐かし過ぎる今日」のコーナーに出演しているアナウンサーの世代が、なるみさんと岡村さんより若く、バブル時代の話が、我々から見たら非常に面白いのに、意外と短く終わってしまうところが残念。若い世代とのギャップの中で面白いものがもっとあると思う。
  • 今までこの番組で面白かったのは、「師匠ダービー」のコーナーで、楽屋でどの師匠が何をしているかを当てるというもの。これは岡村さんとなるみさんが先輩芸人に育てられたというところがよく出ていたし、この番組が他番組より優れていることの一つだったが、最近は「師匠」が出るものが少ない。
  • 平板なナレーションは、最初はもっと効果的だった気がするが、今回はそれほど効いているように思えなかった。中途半端なので、もっと展開の仕方があるのではないかと思った。
  • 街頭インタビューを多く使っているが、収録はしたが、放送直前にインタビューを受けた人から「止めといて」と言われることが結構あるのではないか。あるいは、言われなかったから放送してしまい、後で問題になるとか。素人を使う時は気をつけないと、話がどんどんエスカレートして、それこそ「行き過ぎる」になるので配慮が要ると感じた。
  • 番組ホームページで「過ぎる」情報を募集している。また過去の番組内容も見られるようになっている。Webとテレビとの融合は不可欠なので、その部分をもっと太らせていくと、さらに良いと思う。

番組制作側から

  • この番組は、2013年夏に特別番組として放送し、同年10月から日曜日深夜枠でレギュラー番組になり、昨年4月に『ナイトinナイト』月曜日枠に移動した。当初は「イケメン過ぎる」等の世の中の「○○過ぎる」ものを、なるみさんと岡村さんに切ってもらうという番組だったが、岡村さんの大阪愛をベースに、今は大阪や関西の秘められた「○○過ぎる」を探し出し、それを素材に2人が好きなことを言い合う番組になっている。
  • 「日によってやっていることが違う」という意見については、月によって重点的にやることを決めて、例えばある月はゲストを入れてみる、ある月はトークをきっちりやるというようにテーマを決めてやっている。そういう意味で、視聴者にとっては「また変わったね」ということになるのかも知れない。『ナイトinナイト』月曜日に来てから1年なので、まだ鉱脈を探している部分がある。
  • 「見やすいが、毒がない」というのが一番のポイントだと思っている。一つの答えは岡村さん。岡村さんは、他番組では基本的に毒があり、他の出演者に対して自分から攻めているが、この番組に関しては、なるみさんに身を預けているところがある。岡村さんが大阪に来て、気心の知れたトークを見てもらうという番組の役割は終わった。これからは、岡村さんがMCとしてどう出ていくかが課題。そこで、ゲストや新人芸人を入れてみて、どういう風に岡村さんが向き合うのかを試しているところ。

以上