第608回番組審議会は9月12日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。
〔委員〕
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〔当社側〕 脇阪 聰史 社長、 松田 安啓 常務取締役、梅田 正行 取締役、 岩田 潤 編成局長、太田 充彦 広報局長、 橋本 祐子 ラジオ局長補佐、酒井 克紀 考査部長、 戸石 伸泰 事務局長、野条 清 事務局員、 北本 恭代 事務局員 |
審議課題
1.今の時代、本当に見たいテレビについて
2.番組基準改定について
若者は何故テレビを見ないのか?
- 若い人は「テレビはワンパターン化して面白くないから見ない」「同じようなバラエティが多いし、先が読めてしまう」という。一方、ネットについては、「完成度が低いからこそ面白い」という。意外性があることと、無責任な部分についても「だから面白い」という。
- ザ・ドリフターズの『8時だョ! 全員集合』のような番組が見たい。若い人がテレビを見ないというが、今、ドリフのような小学生の子どもが面白がるような番組がないからだと思う。子どもの頃から面白いと思わせるものを作っておかないと、大人になってもテレビを見ない。
- テレビは、マスに対して何らかのメッセージを伝えるメディアであるという、本来の放送の原点に立ち返って考えるべき。例えば、仮面ライダーや戦隊もの。子どもたちがある玩具を買うために数十年間同じような番組を延々とやって親子で見続けている。
もっと“個性”を! 視聴率の呪縛
- もっと個性的な企画の番組が見たい。良い番組と高い視聴率は必ずしも一致しないが、自分たちはテレビなのだ、テレビはこういうものだという番組。極端にいうと、テレビ局は映画を作ってはいけない。テレビの方で良いものを作れといいたい。
- 上層部が、プロデューサーやディレクターに対して自由に任せる、そして最後は上層部が責任をとるのだという気概を感じさせてくれるような番組を見たい。コンプライアンスに縛られ過ぎて、官僚主義的になっているものは見たくない。
- 視聴率が悪いから、番組を変える。そして「売れているタレントを使ったら良いわ」となる。でも、売れているタレントはあちこちの番組に出演しているから、同じような内容になり、飽きられ、視聴率が上がらないという悪循環。まずは、もっと企画を考えたらどうなのか。
- 視聴者が見たいものを気にするのではなくて、「このテレビを見て欲しい」という放送局側のメッセージがあっても良いと思う。何を見て欲しいか。どう見せたいのか、もっと自信を持って色々と提供したら良い。
- 万人にウケる番組を作るのが難しい時代になってきているのかと思う。BSやCSには、例えばゴルフ中継の「全部見せますシリーズ」や、鉄道に特化した番組など結構突っ込んだ企画で、「なるほどアイデアだな」と思うものがある。しかし、一つのターゲットに対し切り口を絞って見せるやり方は、地上波では制約があって難しいのかも知れない。
- 大事なのは、大阪弁で「おもろい」ということ。でも、これはものすごく難しいし、時代によって「おもろさ」がどんどん変わっていく。そこを「これやで」と提案するのが放送局の腕の見せどころではないか。
- 「見たいテレビは何か」と問われると、一番面白いのはCM。ソフトバンクやサントリーの缶コーヒーBOSSのCMは次にどうなるのか。要は単位秒当たりの金の掛け方とか、企画の仕方とか、あるいは売り込むための個性があるかとか、そういうところに何か活路がある気がする。
リアルタイム性と信頼感
- テレビにとって一番大事なのは、安心感とか信頼感とか、責任があるというところ。そういう理念の下に、事実をとにかく正確に早くということが根本。
- リアルタイム性が追求されているものを見たい。例えばサッカーA代表の試合。結局何を見たいのかというと、他人の欲望が見たいわけで、多くの人が見ているようなものを見たい。
- メディア論の中に「ウィットネス・アンバサダー」という言葉がある。「目撃するために受け手から派遣された大使」という意味。だから、テレビカメラは事件や事故の現場にズカズカ入って行ける。なかなか一人では知ることのできないところに、目撃するためにつかわされたというのが、ひょっとするとテレビが期待されていることの一つではないか。
- 本当に見たいテレビをなかなか見られなかった。それは、朝日新聞社が色々批判されていていることについて、テレビ局がほとんど報道しなかったこと。そのこと自体も批判されていたが、朝日新聞の木村伊量社長が謝罪会見を開いた時、ようやく『報道ステーション』が多くの時間を割いて取り上げた。
ストレス・孤立社会の視聴習慣
- ドラマが切り開くものがあるとまだ思っている。韓国では、人気ドラマの視聴率が30~40%もある。良いものをやれば、ドラマも見られる。テレビ局は、スタッフや役者を育てるところからやらなければ。
- 何かが見たいからと思ってテレビは見ていない。習慣的に点けていて、そこに興味があったら見るし、なければチャンネルを変える。テレビは点いているだけで安心できるもの。一人ではない、画面の向こう側に一緒に共有できているものがあると感じて見れば良いもの。だからテレビ局は、面白くないからと悲観することはない。
- テレビというのは、コミュニケーション・ツールの一つだと思う。テレビを見て得た情報をしゃべりたくなるような番組、知ったら行動を起こしたくなるような番組、テレビを見ての効果はそこにあるのではないか。
- 日常生活に疲れた時に「テレビを見よう」という気持ちになるには、心温まる番組を沢山放映すべき。そしてテレビは、弱者、病人や高齢者、お金のない人たちにやさしくなって欲しい。
番組基準改定について
- 今回の番組審議会では、朝日放送番組基準の一部改定についても諮問された。朝日放送番組基準は、その一部を民放連放送基準に準拠している。今回の一部改定は、今年11月の民放連放送基準第14章,第16章,第17章の改正に伴うもので、放送法の規定に従い審議された。その結果、番組審議会より「妥当」との答申を得た。
以上