第574回番組審議会は4月8日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。

〔委員〕
豊蔵 亮 委員長、井野瀬 久美惠 副委員長、
道浦 母都子 委員、近藤 順子 委員、
奥村 信幸 委員、酒井 孝志 委員

 

 

 

 

 

 

〔当社側〕
渡辺 克信 社長、
福田 正史 常務取締役 編成本部長、
田仲 拓二 常務取締役、
大塚 義文 取締役 編成副本部長、
松田 安啓 編成局長、山本 泰弘 広報局長、
藤岡 幸男 報道局長、
牟田口章人 特別シニアスタッフ、
中江 雄一郞ラジオ編成業務課長、
野条 清 事務局長

1.「平安の美ふたたび」2月11日(金)9:55~10:53 OA分<事前視聴>

  • こういう文化的色合いの番組はなかなか見られないので、60周年特番というきっかけをつかんで制作されたのは非常にいいことだと思う。撮影のノウハウや演出方法を含めて、朝日放送の余力の部分のデモンストレーションにもなった。
  • 最近の番組にいえることだが、すべてにBGMが入っていて、生音を消してしまう傾向にある。この番組のテーマだと風の音だとか人のざわめきだとか、そういうものをゆっくり聞きたかった。落ち着いた番組だけに自然の音をもっと活かして欲しかった。
  • 非常にゆっくりしたテンポは内容によくあっていてよかったが、若い人に見てもらうにはもう少しテンポアップしたほうが良いと思う。海外のこの手の番組はテンポがはやい。そういった意味では、誰に見てもらうのか、視聴ターゲットはどこかなのかということが明確になっていないように思った。
  • 科学技術のいろんな進歩で、どういう時代で、どんな色を愛でたか、どういう空間だったかということの研究が、平成になってものすごく進んでいる事をこの番組で初めて知った。古い物が古いままでほっておかれるのではなく、新しい科学技術の展開によってまだまだ我々に伝えたいものがあるんだということを映像から感じた。
  • デジタルハイビジョン、コンピュータグラフィックス、三次元映像。これらの技術で再現映像を作るのはすばらしい試みだと思う。実際の壁画にCG映像を重ね合わす画面がすごくわかりやすい。当時はこんなに鮮やかな原色だったんだというイメージがひろがってすばらしかった。
    その反面、CGが一人歩きして、少し遊びすぎたかなという部分があるので、そのあたりもう少し考えていただきたい。
  • こういう番組が制作できるのも、担当者が昔から築いてきた人脈と実績があるからだ。いろんな世界で高く評価され、仏教の世界でも評価されている背景があるから、シークレットの部分にどんどん入っていける。この人脈という財産を活かした、朝日放送ならではの文化財番組を、作り続けてほしい。

2.東日本大震災に関する震災報道全般について

  • 最初にチェルノブイリ原発とは違うんだという報道があったが、放射能影響に関しては同じなので、政府や東京電力の発表をそのまま流すだけで良いのかと思った。もっと正確な情報を流さないと放射能の影響は直ぐに出てこないので、そのあたりが心配だった。こんなときはバラバラに報道するのではなく全民放が総力を挙げて、一つの番組を作るようなことをしていもいいのではと思った。
  • 震災報道で難しいのは、被災者に対する情報と東京を中心とした関東圏の人への情報、たとえば関西のように震災の影響を直接受けていない人への情報、それぞれ役に立つ情報が異なるのでこれをどうやるかが本当に大きな課題だと思う。
  • 関西ローカル局が何をしたらいいのかということを考えさせる空気を「おはよう朝日です」を見ていて感じた。講師を呼んで放射能と放射線の違いのような初歩的なレベルから「情報をキッチリとキャッチしようよ」「正しい情報って何だろう」ということを視聴者に考えさせるような企画をやっていたが、関西が今できることはここからの発信かなと思った。
  • 今回と阪神大震災と何が違うかというと、電気の問題も含めて首都圏の問題になる。キー局中心のテレビ映像を見てると、「東京で起こっていることは日本の問題だ」ということで報道されているが、実は50キロヘルツを境に全く別で状況が違う。従来以上に東京と関西のこの問題に対する温度差が大きいと思う。この問題を是非ローカルの局として取り上げていただきたい。なかなか難しいと思うのだが、関西人としてこの問題にどう立ち向かっていくのか、向き合っていくのかというのは、たぶん今年の重要な問題になると思う。
  • 海外のメディアでの原発の問題の取り上げ方は非常に科学的であったり、あるいはアメリカのオトモダチ作戦を初め、たくさんの人が援助に来てくれている事実があまり報道されていないように感じる。海外が震災をそして原発をどうとらえ、どう報道しているかの情報が今回はかなり少ないような気がする。もっと報道は広い視点でやるべきだ。
  • 東京の在住者の安心が欲しいということは、「大丈夫です」と言ってもらうことではなくて、最善から最悪のシナリオのレンジみたいなものを示してもらって、「最悪の場合これだから、これぐらいの備えをして、何々に注目していてください」というようなことを、素人にもわかるように解説してもらうことだ。そういう見通しを提示するような報道がほとんどなかった。
  • すごい量の原発報道がなされているが、真の意味で中立的に語れる専門家や第三者機関がないということで、放送や新聞が日頃からそういう人を育てておく必要があることを痛感した。
  • 原発の現場で復旧作業にあたっている人たちに対する安全配慮を、おろそかにしていないだろうか。こういう事態だからだれかが犠牲になる、それを美談化してはいけない。安全配慮義務、もっとここへメスを入れなければいけないと思う。自衛隊や消防隊員も犠牲になっているがあまりそれが報道されない。そういう犠牲があること、それが当たり前だという感覚は持って欲しくない。報道として大いに取りあげるべきじゃないかと思う。

以上