第637回番組審議会 7月14日(金)開催

〔出席委員〕
酒井 孝志 副委員長、道浦 母都子委員、
淺井 栄一 委員、高見 孔二 委員、
小松 陽一郎 委員、北川 チハル 委員、
古川 伝 委員

〔当社側出席者〕脇阪 聰史 社長、
緒方 謙 取締役、山田 裕之 取締役、
清水 厚志 総合編成局長、
株柳 真司 コンプライアンス局長、
嶋田 一弥 編成業務部長、
戸谷 公一ゼネラルプロデューサー、
田中 徹 事務局長、西澤 萠黄 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

ラジオ番組『谷口学園 春のラジオ講座~実はあなたもマイノリティ!?~』
<事前視聴 2017年5月21日(日)午後4時~午後5時放送>

委員の主な発言

<番組の評価点>

  • 「少数者のことをもっと理解しましょう」というような上から目線の説教調になっていないところが良い。同調圧力が強まっている今の社会もチクリと指摘しているけれど、決してヒステリックになっていないところに、好感が持てる。4人の生徒と谷口先生のかけあいも嫌味がなくてわかりやすい。
  • 今のラジオはスポーツと音楽と芸能人のしゃべりばかり。この番組はちゃんと語っている。「私はこう思っている。」「こう考えている」そういう語りの番組はラジオらしいし、ものすごく良い番組だと思う。こういう語る番組をもっと作って欲しい。
  • 谷口真由美さんは、はっきり物を言うし、ちゃんと物を見ている。今の日本は多数派が少数派を封じ込めて、変なことになってしまっているのを個人的に悲しく思っているので、そういう意味でもマイノリティの役割が大事だと思う。
  • 今やマイノリティと言う言葉を聞いた事がない人はいないと思うが、勘違いや思い込みをしている人が多いのではないか。そんな中、この番組はとても丁寧にマイノリティを解説し、講座という形で、学習しやすく受け入れやすくなっていた。またマイノリティは特別なものではなく、出演者のコメントにもあったように、人はみな多数派と少数派を行ったり来たりしているのだと気づかされた。
  • 重要なことは「他者との対話」であり、その扉を閉じていないか、それを面倒くさがっていないかという、日頃あまり、問われない問いを谷口さんがわかりやすく、心に落とすように導いていたのがとてもよかった。
     

<番組の課題>

  • 緩い水準の例え話と、福島第一原子力発電所事故からの「自主避難者」をめぐる重要な問題を抱合しつつ、番組が進行するので、強く心を動かされる展開ではない。大学教授による講座という体裁をとるため、感覚に訴えるというより、客観的な状況の説明に終始している感がある。より強いメッセージで心を揺さぶらないと「誰もがマイノリティ」というメッセージは多くの人の胸にはささらない。「誰もが機嫌よく暮らすにはどうしたらいいのか」という疑問に対して、より強いメッセージを打ち出す番組作りを期待する。
  • 主観的マイノリティの問題が取り上げられていなかった。例えば離婚や子どもの問題など、その瞬間、自分で越えられないマイノリティの状態がある。そこを導いてあげるのは、心理学の先生など誰かもう一人いたら、もっとみんなでマイノリティを共有できて、奥の深いものになったのではないか。
  • 「マイノリティとは?」については個人によって思い方もあるし、一概に言えない。
    マイノリティというひとつの言葉でいいつくすことはどうなのかというのもある。本当に難しい言葉。なりたくないのに知らない間にマイノリティになっていたということには、我々としては気がつかないとだめだろう。色々な意味で我々にはまだ「気づき」がないということ。

  • ラジオの1時間番組で相手の顔が見えない、表情がつかめない、相槌をうったり会話をしたりすることができない状態で、こういう話を聞き続けるのは思ったよりしんどい、心や耳が疲れると感じた。内容は重くても深くても良いが、せっかく音の表現が活かされるラジオなので、それをもう少し演出に取り入れても良かった。学園という設定なので、学校らしい効果音だとか休み時間風な演出があっても、メリハリをつけられてよかったのではないか。ずっと緊張した状態ではなくて、もっと気が抜ける時間もところどころ欲しかった。
  • マイノリティと聞くと、日本語ではないので、取り方が色々あって、イメージが違うので、どうしてこの言葉からの講義になったのか若干気になった。血液型とマイノリティはあまり関係ないような気もする。マイノリティが色々な切り口で出てくるので、逆にマイノリティの話をしているのか、要は「人の身になって気付いてやさしくしましょう」ということが言いたいのか、ちょっとぼやけてしまったのではないか。

番組制作側から

  • 情報があふれ返っている中、きちんと物事を知らないのに、断片的な情報だけを手にいれてわかったつもりになったり決めつけたりすることが多いので、きちんと学んで知識を持ったり話したりしよう、というのが、番組のきっかけだった。
  • マイノリティというのは決して特別なことではなく、「誰もが少数者性を多かれ少なかれ持っているものだ」ということを意識することで、自分が少数者だと感じて生きづらかったり様々な葛藤を抱えたりして生きている人たちと、どう分かち合うことができるのかをみんなで考えようという内容にした。
  • このマイノリティというテーマは、この時代に大事だし、ラジオ向きだと思う。詰め込み過ぎたところもあるが、きょう議論していただいたように、色々なところに広がって展開していく番組になったと思う。

以上