第613回番組審議会は3月13日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。
〔委員〕
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〔当社側〕 脇阪 聰史 社長、 松田 安啓 常務取締役、梅田 正行 取締役、 岩田 潤 編成局長、岡田 充 コンプライアンス局長、 今村 俊昭 制作局長、大幸 雅弘 テレビ制作部長、 小川 隆弘 プロデューサー、 勝山 倫也 ラジオ局長、橋本 祐子 ラジオ局長補佐、 戸石 伸泰 事務局長、野条 清 事務局員、 北本 恭代 事務局員 |
審議課題
『教えて! NEWSライブ 正義のミカタ』
<事前視聴 3月7日(土)午前9時30分~11時放送>
番組の良かった点
- 昨年7月、始まったばかりの同番組を審議した。その時に「もう一度取り上げたらどうか?」という意見も出た。同じ番組を、少し経ってからもう一度審議会で取り上げるという今回の企画自体が素晴らしい。
- 前回はてんこ盛りでよくわからなかったが、今回はすっきりした。報道バラエティの中核の部分と、スポーツコーナー、天気予報、最後に芸能ニュースが短く入る。全体のバランスが良いと思う。
- 前回は、それまでに見た様々な番組の面白い要素が組み合わされていたという印象だったが、そこはかなり払拭されて、オリジナルのパッケージになってきた。個性がきっちりできてきた。それは、ひとえにMC東野幸治さんの個性によるものだと思う。
- 今回は、東野さんが、「自分たちはわからないので、専門家に聞くのだ」という立場をはっきりと出していて、見る側にとってはとてもわかりやすくなっていた。
- 東野さんは、本来の明るいキャラクターが生きてきて、解説者、コメンテーター、パネラー(ニュースを教えてもらう側)の方々をやわらかく温かくリードしていて良かった。前回とは格段にレベルアップしていると思った。
- 抵抗感なくバラエティ番組として見られて面白かった。1週間で起きたニュースを、ある種笑いのめすではないが、消化して楽しもうというのが心地良かった。
- 前回は、一つの話題の途中にCMが入って、話が切れたりすることがあった。今回はブロックごとに話が終わるまでCMを入れずにやっていたと思う。見ていて切れ目がないので、話を聞く形になって、90分という時間をあまり感じなかった。
- それぞれの専門家が解説する時に、大モニターをうまく使って、時系列や項目をまとめて、見た目でわかりやすく整理していると感じた。
- 色々なテーマを扱っていたが、今回は「大阪都構想」に力を入れていたのではないかと思った。反対の立場の人、賛成の立場の人がそれぞれ解説していて、初めて「大阪都構想とはこういうことなのか」とわかった気がした。
- テーマごとに紹介される、芸人が描く似顔絵が毎回面白い。週替わりで色々な人が描いている。あれはかつてなかった。初めて見てユニークだと思った。
- この番組のポイントは、見慣れた1週間のニュースを「こういう風に見ている人がいるよ」という紹介だと思う。ゲストの専門家の人選次第で、盛り上がったり、盛り上がらなかったりする。「大塚家具」の話では、個性的な家具専門誌の社長をよく探してきたと思った。
- ニュースを教えてもらう立場のパネラーの素朴な疑問、例えば「大塚家具」の話だったら「こんなことでもめるのだったら、別ブランドにしたら良いのでは?」という疑問をスーパーで出すのが的を射ており、視聴者の「そこやねん!」という共感を得ると思った。
- 「今さらこんなこと、聞きづらい。でも知りたい」的な視聴者の「素朴な問い」を、番組として、どう立て、そこにどのような解説者をぶつけるかに、この番組の真価、面白さが問われている。
番組の課題
- 前回に比べ「天声十語」や「出動! 家計のミカタ」がなくなり、ずいぶんコーナーが整理されたが、すっきりしすぎではないか。ニュースとスポーツ、芸能だけということで、これはこれで良いのだが、一方で寂しくなったという感じがする。
- MCの東野幸治さんは、あちこちに視線が行きすぎて、いっぱいいっぱいで進行しているのが伝わってくる。沢山いるパネラーに話を振らなければいけないとか、話が難しくなればもっと聞かなければいけないとか。前回は一所懸命やっているのに好感を持てたが、今は必死すぎるのが気になった。
- パネラーのほんこんさんは非常に博学で、もうちょっと東野さんを支えるようなことがあっても良いのかも知れない。あるいはコメンテーターの藤井聡教授にもっとサポートしてもらうのか。そこら辺をもうちょっと工夫して欲しい。
- パネラーは視聴者の代表のような立場だと思うが、全く発言しない人たちがいるのはもったいない。
- 他局のコメンテーターが討論する番組に何となく似ているが、ちょっと違う。出演者が重複しているため、どうしても既視感がある。この番組が独自に人を選んで育てていければ良いと思った。
- 一つのニュースに時間をかけるだけに、取り上げるニュースを何にするかということと、どういう専門家を選ぶかで、この番組の面白さが左右される。それだけ難しいのだろうと思った。
- 解説する専門家の言っていることがよくわからなかった。テレビでしゃべる発声ができていないのではないか。おしゃべりに向いている人とそうでない人はどうしてもいる。
- せっかく生放送でやっているのに、生らしさが全くない。別に出演者をスタジオの外に出して「きょうは寒いですね」と言わせてもしょうがないが、生だというのがどこかに要るのではないか。そうでなければ、編集した方が当然見やすいので、収録でも良いのでは。
- 「大阪都構想」はやっぱりわからなかった。「一つの市が五つになるからコストがかかる」、「いや、24区が5区になるからコストが整理される」と反対派と賛成派がそれぞれ言うが、「どっちやねん」というのが最後までわからなかった。
- 「大阪都構想」はものすごく大事な話だが、今回のように反対派と賛成派がそれぞれ意見を言い合うのは、この番組では違うやり方のような気がする。ガチのバトルになると、さらにそこに市長が出てきてとなると、たぶん違うジャンルの番組になってしまう。
- 番組の最後にパネラーの海原ともこさんが「大阪都構想」について、「やっぱり全然わからない」と言った。それを受けた東野さんが「5月になったら、ぜひ投票に行って」と締めた。そこは「こんなことで投票しろといわれても無理!」という風に、もう少し庶民のミカタでまとめて欲しかった。
番組制作側から
- 1週間に起こった、スポーツ、芸能を含めた政治、経済、社会、外交など、様々なジャンルのニュースの、よくわからないという疑問や、何となくわかったつもりでいるが正確にはわからないというものを解消しようとする番組。そのため専門家にわかりやすく解説してもらい、色々な見方があるということを教えてもらう番組。
- 専門家は、なるべくしゃべりが上手で、わかりやすく教えてくれる人を探している。それなりの著作があるとか、BSなどで解説している様子を見て選んでいる。ブレーンからの紹介もある。
- 解説の仕方は、紙芝居ではないが、モニターチェンジで「大モニターのことを説明してください」というやり方。その紙芝居をめくる作業を東野さんにやってもらおうと思っていて、東野さんがアップアップしている時は、制作側の段取りがうまくいっていない時かも知れない。
- 前回は、冒頭でコメンテーター全員がニュースについての立場をまず表明し、バトルし、その中で「色々な見方がある」ということを視聴者に伝えるという構造だった。それが、講義形式と言うか、誰か一人が出てきて、わかりやすく解説する。その時に、一般的な意見をパネラーが入れ、東野幸治さんがさばくという構造に変化したことが、たぶん見やすくなったと理由だと思う。
以上