第607回番組審議会は7月11日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。

〔委員〕
酒井 孝志 副委員長、道浦 母都子 委員、
星野 美津穂 委員、淺井 栄一 委員、
高見 孔二 委員、小松 陽一郎 委員、
池内 清 委員、水野 由多加 委員

 

 

 

〔当社側〕
脇阪 聰史 社長、
松田 安啓 常務取締役、梅田 正行 取締役、
岩田 潤 編成局長、太田 充彦 広報局長、
今村 俊昭 制作局長、大幸 雅弘 テレビ制作部長、
小川 隆弘 プロデューサー、
戸石 伸泰 事務局長、野条 清 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

「教えて! NEWSライブ 正義のミカタ」
<事前視聴 7月5日(土)午前9時30分~11時放送>

番組の良かった点

  • 週末に1週間のニュースや話題を振り返るという番組は多い。話のネタにもなり、今、識者がどういう意見を持っているのか勉強にもなる。そういう中で土曜朝、東野幸治さんをMCに起用し、ニュースをわかりやすく説明するというのは企画としては良いと思う。
  • MCの東野幸治さんは、コメンテーターの意見を流したり、いなしたりすることなく、専門家の意見を尊重し、悪意もなく、興味を持って聞きこんでいる姿勢が良い。一方、自分の意見が全然出ていなかったように感じて残念だった。
  • 東野幸治さんの司会がとにかくうまいと思った。あれだけバラエティに富んだテーマの舵取りをまかされながら、話がフラフラと浮遊し始めた時でも、ちゃんとルートに戻してゴールまで持っていく仕切りに感心した。
  • コメンテーターもパネラーも多士済々で、組み合わせとしては面白いと思った。キーになるのがMCの東野幸治さんだが、彼の将来性に賭けているのかなと思った。彼は、ライブで実力を発揮するタイプで、パネラーの話に対して反応が早い。そういう意味で可能性があると感じた。ただ番組としては彼だけで良いのか。もう一人誰かを置いて、東野さんの才能をもっと伸ばしていくという風にやっていったら、落ち着くのではないか。
  • 全体として討論番組ではないので、短くパッパッと変わっていくのは、リズム感があって良いと思った。
  • 朝日新聞大阪本社とスタジオを結び、新聞社の論説委員が、重要なニュースを十文字でまとめて解説する、「天声人語」をもじった「天声十語」というコーナーが良かった。ああいうやり方は、テレビと新聞がつながった感じがして、とても新鮮だった。

番組の課題

  • 最初のテーマは拉致問題と集団的自衛権問題。そして、野々村竜太郎兵庫県議の記者会見の話。後半は、ポイント最強のクレジットカードを紹介するコーナー、「タンスの肥やし 鑑定します!」のコーナー、駒井千佳子さんの芸能情報もあった。しかし、何が一番いいたかったのかがわからない。別々の番組が一緒になっているように感じた。
  • 専門家が解説するということを前面に出している割には、コメンテーターの意見をそんなに長く紹介していないし、CMが入って話が切れたりする。色々なジャンルのものを詰め込みすぎて、全部が中途半端になっているのではないか。
  • 新聞を意識して作っているのかと思った。一面もあれば、家庭欄もあれば、芸能欄もあれば、スポーツ欄もあれば、「天声人語(天声十語)」まであるということで。しかし、現時点ではごった煮感が否めない。
  • 色々なコーナーがあっても良いが、何か筋が通っていないような気がした。例えばクレジットカードのポイントの話やタンスの肥やし鑑定団の話は、ニュースと何の関係があるのかと思ってしまう。もっと一つの芯を通して、あくまで1週間のニュースをどうやって伝えるかに絞った方が、東野幸治さんもやりやすいのではないか。
  • 日朝協議の話で、コメンテーター全員に、今度こそ北朝鮮を信用できると「思う」、「思わない」で、二者択一のフリップを出させていた。質問を大きく構えすぎて、わずかな時間では討論にならないと思う。事実、「思わない」とした人はほとんどしゃべっていない。あのフリップを出す意味はどこにあるのか。
  • 人選はさておき、スタジオに人が多すぎないか。例えば、時事問題の話で、東野幸治さんが、時にコメンテーターの発言を遮って次に振るため、論点がますます曖昧になっているように感じた。
  • テレビのキャスターは、知識があって、伝える力を持っていて、善悪はいわないが自分の意見はいえるという人が務めるべき。番組資料に「情報バラエティ」と書いてあり、報道番組ではないということはわかるが、その辺にちょっと無理があったのではないか。
  • タイトルの「正義のミカタ」は、「見方」と「味方」の二つをひっかけていると思うが、それがかえってややこしいことになっていないか。東野幸治さんの立ち位置も、キャスターなのか、パネラー代表なのか、はっきりしていないからブレている印象。
  • 朝日新聞論説委員は非常に良いことをいっているが、声が小さいのか、コメントが聞きづらくて、もう少しはっきり聞こえたら良いのにと思った。
  • 朝日新聞論説委員の解説は必要なのかと思った。せっかくコメンテーターの色々な意見を揃えてバランス良く話を終わらせているところに、一人の意見で最終的にまとめていくというのはどうなのだろうか。
  • 集団的自衛権問題の話のところは相当作りこんだのではないか。最初のVTRで、識者のツイッターを紹介したり、山崎拓さんのインタビューを流したり。しかし、スタジオの解説の部分でバランスを失っていたと思った。
  • よりポイントが貯まるクレジットカードを紹介するコーナーで、あるカードのポイント還元率が高い理由として「広告費を使っていないから、その分還元できる」という話で終わっていた。他にも理由があるはずなのに。民放として、それで良いのだろうか。
  • 些細な話だが、画面の左上の「LIVE」というスーパーの文字が結構大きい。しかもそのスーパーの色が変わったり、「L」の字が、時々クルッと回ったりする。気になって仕方がなかった。そこまで生放送を強調しなければならないのだろうか。

番組制作側から

  • 土曜日午前中の生放送ということで、その1週間に起こった様々な話題、ニュースを視聴者に伝えていく番組が良いと思い企画した。視聴者の疑問を解消するために、色々な分野の専門家たちが、それぞれのニュースをわかりやすく、タイトルにもあるように、色々な見方(ミカタ)を教えてくれるような番組ができないかと考え制作している。
  • テレビ制作は、いわゆる「お笑い」や「旅もの」は得意とするところだが、報道の、人の命が云々というような、軽々しく発言できないことを扱うのは未経験。非常にとまどいながらやっているのが現状。もちろん報道局のサポートもあるが、主管局が制作局なので。
  • 他局のように、コメンテーター同士がバトルする番組を作りたかったわけでは決してない。わかっているようでわかっていないニュースをきちんと教えましょうという番組、逆にいうと深度が浅いところで、ニュースをわかりやすく楽しんでくださいという番組を本来は作ろうとしているのだが、今は試行錯誤の段階。
  • 詰め込みすぎとの指摘に関していうと、何か鉱脈はないかと色々探っていこうとして、ああなっているところがある。チャンネルをザッピング中の視聴者の手を止める「ヒットコーナー」というか「当たり企画」を探っていくのが、時間配分の関係で唐突に見えるかも知れない。

以上