第654回番組審議会 4月12日(金)開催
〔出席委員〕 |
〔当社側出席者〕 |
審議課題
『完全密着!ナニワの巨大病院24時』
<事前視聴 2019年3月16日(土)午後2時25分~3時55分放送>
委員の主な発言
<番組の評価点>
- 巨大病院の日常をいろいろな角度から取材しており、最新の医療機関の実態、全体像を理解するのに役立った。
- 知らないことがたくさんあって、先端医療から食事やユニホームの工夫など2000人のスタッフが、1000人の入院患者や多くの外来患者を守るために働いていることがよく分かった。
- 番組には「救い」と「優しさ」が盛り込まれていることが大事。若い医師や看護師の奮闘する姿や危急を救ってくれる場面を撮影しているので、番組からは安心や勇気が得られた。
- 巨大病院ゆえに抱える「多種多様な側面」をあえて並列に紹介した番組だと感じた。
- かなりプライバシーに迫らないと成り立たない番組。一人ひとりの患者や家族、医療従事者と信頼関係を現場で培って放送できたということに敬意を表したい。
- 尊い使命を持った仕事で、皆が頼りにしているということが番組に出ていた。このような番組を見て、若い人たちが憧れを持ち医療従事者が増えるきっかけになってほしい。
- 視聴者は、今自分が置かれている様々な立場や視点から番組を見る。自分自身の入院経験もあり、病院はいかに患者に寄り添うかが一番大切だと思う。その病院の取り組みを番組が真面目に描くことで、結果的に視聴者にも寄り添うことにつながっていく。
- 見る側の経験で番組に対する受け止め方は全く異なる。先端医療の現場を紹介する過程では、深刻な問題に直面することも多いが、今後も問題提起していく番組作りを期待する。
- 地域の大事なものを放送するという朝日放送テレビの姿勢、思いが託された番組だと思う。
- 今後は、医療だけでなく「ナニワ」という大阪や関西の中で頑張っている様々な現場について教えてくれる番組があって良いと思う。巨大な施設やプロジェクトなども面白い。
<番組の課題>
- 救命救急や小児がんと闘う少女など医療現場の厳しい最前線を描く一方で、病院の食事やユニホームといったトピックス的な要素も並列に構成されていた。そのため、全体としてバラバラ感があり、番組が最も伝えたかった部分は何なのか焦点がぼやけたのではないか。
- 第一弾は「名医」、第二弾は一つの「病院」をテーマに、巨大性をビジュアル化した。一病院の紹介に終わらせず医療現場全体の問題として、例えばこの病院が今の日本でスタンダードなのか、そうでないのか「相対化」することが必要だったと思う。
- 巨大な病院を取り上げたが、残念ながらその全貌を伝えるパートがなかった。ナレーションで数字を言うだけではなく、もっとビジュアルで工夫して伝えればよかったと思う。
- 取材をする過程で、患者のプライバシーをどう守っていくか、制作者側は「倫理の規程」に沿った取材が必要だ。
- 番組では「少女の死」という重大なパートもあれば、厨房やユニホームを紹介するコーナーもある。あれもこれも構成されている中で、扱う要素の配分や位置づけは難しい。
- 少女が亡くなったシーンをめぐって、医師のインタビューが紹介されていたがこれは家族に向けて言うことではないかと感じた。番組は何もかも取り上げていいのかと違和感をもった。
- 少女の闘病や死といった現実を描いている番組だけに、見るのを避けたかったという委員の意見もあった。こうした層を視聴につなげていく「寄り添い方」を工夫していってほしい。
番組制作側から
- 医療の問題を取り上げるときにいろいろな視点がある。先端医療で切り取るとか患者の闘いを追う、医師に密着する方法もある。今回は、巨大病院という大きなくくりの中でいろいろな要素を取り上げたが、どのパートも患者に寄り添っていくことをどう表すか考えて制作した。
- 今回の放送では、モザイクがかかっている患者もすべて放送の許諾を得た。救命救急センターの場合は、時間を置いて落ち着かれてから家族などと話をした。
- 90分の番組で、たくさんの要素があってバラバラな感じになったのは、巨大病院を描くという面で足らない部分も多々あったと思う。救命救急や闘病の話だけではなく、病院食やユニホームの話などを入れて番組全体に多様性を持たせようと考えた。
- 委員にも入院した経験のある方がいたり、救命救急の場面が苦手な方もいたり、それぞれの様々な見方、感じ方で貴重な意見をいただきありがとうございます。番組制作に関わる者として、改めてテレビの向こうにいらっしゃる方々を想像しながら番組を作らなければならないと思った。
その他
2019年4月からの「放送番組の種別」及び2018年度下期の「種別ごとの放送時間」を報告した。
以上