第648回番組審議会 9月14日(金)開催
〔出席委員〕 井野瀬 久美惠 委員長、酒井 孝志 副委員長 |
〔当社側出席者〕 |
審議課題
フリートーク
『地上波テレビが生き残るためには~インターネット社会の中で~』
委員の主な発言
<生まれた時からテレビがあった世代から生まれたときからスマートフォンがあった世代へ>
- 今の40代、50代、あるいは60代は生まれた時からテレビがあった世代。これからもっと、生まれた時からスマートフォンがあった世代が増えていく。
- 今やパソコンのキーすら叩かないスマートフォン世代である若者の意見をもっと分析して先取りしていく方向に行かないとだめ。
- 今の若い人は、完全にモバイルやウェアラブルで、個人の今いるところで絶えず手元に情報を受ける。これから「Society5.0」に向けて「様々なものが通信で繋がる」方向に世界全体が舵を切っている中で通信の優位性は見えている。
<地上波テレビはどうしていくべきか?>
- 地上波と通信との融合という命題は何年も繰り返し議論している。この先、地上波も通信も境界のない融合した世界を見据えて、そこに向けて良い番組を作ることが大事だと思う。コンテンツ制作部門に力を入れて、伝達手段は地上波でもネットでもどこからでも良い。多言語の世界でも良いと思う。
- かつてテレビは「速報性」、新聞は「記録性」と言われた。ネットの登場でそれらの強みはともに色あせてしまったかもしれない。企業も個人もそれぞれが自分たちで発信できるようになった。しかし、「速報性+信頼性」「記録性+信頼性」をこれまで以上にアピールできれば、強みになるはず。
- 放送の価値を高めて魅力あるものにするには、やはりクオリティーをあげること。良質な番組を作る局だということを確立させて支持を得る。この局でしか見られないものにより力を注いでいくべき。
- ドキュメンタリーは「消える」という記事もあったが、きっちりとした取材に裏付けられた番組はテレビ局だから出来ると思う。
- 地上波テレビは、速報性とともに局から取材記者が現場に行って何がおこったのかなどを徹底検証できる。記者はジャーナリストとしてのプライドを持って良い取材を続けるとインターネットとの素敵なコラボもできるのではないか。
- このところ災害報道やテニスのインタビューで質の悪い、あるいは失礼な質問を結構見る。記者のインタビューの能力やジャーナリストとしての力をつけるだけでも地上波テレビの生きる道は格段に増えるような気がする。
- 今年の高校野球は、100回記念ということで昔の懐かしい投手たちが始球式をするなど様々な工夫をしていた。色々なスポーツで問題が起こっている中、高校野球は純粋なものを感じさせる。このような魅力あるものを取り上げることが「見る」ということに繋がるのでは。
- CMに依存していたら高齢化、少子化の中で限界がある。有料テレビに月1000円を払うのは若者たちにとって普通の時代になっているのでは?良いコンテンツを作るには資金も必要だ
<地上波テレビは優しいメディアであるべき>
- テレビは局側から一方的に発信しているので視聴者にとって受動的なメディア。インターネットはスイッチを入れてからさらに操作が必要だが、テレビはスイッチを入れれば良い。この面では、テレビは弱者に優しいメディア。そういう意味でも制作者が「親切心」を忘れるとテレビは終わり。
- 上から目線ではなくて同じ目線、視聴者に対しての敬意が伝わる目線で伝えることが大事。
- 今回の台風災害時に実家では停電していて、テレビが見られないのですごく不安に思っていたという。スマートフォンはつながったので、ネットからの情報は入ってきたにも関わらず、テレビが復旧した時の安堵感と喜びはすごく大きかったと聞いた。上の世代の人たちとってテレビとはそういう存在。
朝日放送テレビ出席者から
- コンテンツの伝送路がたくさん出来たことからもう後戻りはできない。コンテンツメーカーとしていかに信頼性のある良いものを作るかということが最終的には生き残る道だと考える。
- スポーツなど今の放送枠の中にはまりきらないコンテンツがある。朝日放送テレビでは、それをどう視聴者に届けるのか工夫している。当たり前だが視聴者が何を求めているかという視点。一例として、高校野球の各地の予選や本大会の映像をインターネットの「バーチャル高校野球」という情報サービスで見られるようにしている。高校野球は地上波の視聴率も良かったがスマートフォンでの視聴も伸びている。
以上