第645回番組審議会 5月11日(金)開催

〔出席委員〕

井野瀬 久美惠 委員長、酒井  孝志 副委員長
道浦 母都子委員、星野 美津穂 委員、
橋爪 紳也 委員、高見 孔二 委員、
小松 陽一郎 委員、北川 チハル 委員、
古川 伝 委員

〔当社側出席者〕
山本 晋也 社長、
緒方 謙 常務取締役、山田 裕之 取締役、
清水 厚志 総合編成局長、
株柳 真司 コンプライアンス局長、
吉川 知仁 東京支社制作部長、飯田 新 プロデューサー
矢島 大介 事務局長、西澤 萠黄 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

声ガール!
<事前視聴 2018年5月6日(日)午後11時35分~午前0時05分放送>

 

委員の主な発言

<番組の評価点

  • 深夜時間帯のドラマとは思えない、健全で健康的なドラマだというのが、むしろ新鮮。原作漫画があるわけでもなく、オリジナルだというのは非常に良い。歴代「プリキュア」ファンの間の有名シーンが散りばめられていて、アニメファンを狙っているのはよくわかる。
  • 出演者全員が明るい。イジメがない、嫉妬がない。チラッと見えるような嫉妬はあったけれども、5人がとても仲良く一軒の家に住んで夢を抱いて暮らしているのは、とても心地良い。意地悪とかイジメがないことはとても良いと思った。
  • 最近、声優そのものが憧れの職業として地位を築いていることにスポットを当てたというところは、今時のテーマ性があるドラマだと思う。また主人公の真琴役の福原遥さんが、今回の役柄にぴったりで、人気声優の戸松遥さんが本人役で出ているのもなかなか良い構成。「タッチ」の浅倉南役で一世を風靡した日高のり子さんがお母さん役など、キャスティングのところでもファンならずとも喜んで見られる番組。
  • 「プリキュア」は朝日放送テレビが15年間大切に育ててきた強力なコンテンツであり、今の若い世代に小さい時から刷り込まれたキャラクター。若い世代のテレビ離れが課題となっている中、自社の強いコンテンツである「プリキュア」とコラボさせた番組作りは、まさに朝日放送テレビの強みを生かした企画。
  • ネット配信を意識したコンテンツで、若い世代から40代くらいの幅広い視聴者に対しての様々な仕掛けも工夫されているので、ドラマ自体は敢えて重くならないようにしていると思う。
  • ネットで動画が見られるようにしていたり、若い人がITに絡めて情報をつかむところに合わせていたりするので、ニーズはあると思う。
  • 自分たちのような年配の人間は、今の若者に「もうちょっと頑張って何かを目指してほしい」と思うのだが、この番組は「自分も頑張ろう、でも努力はしないといけないのだな」ということが、「プリキュア」とセットで自然に受け入れられるようになっている。

 

<番組の課題

  • 「プリキュア」の台詞や仕掛けがあるということだが、どこが仕掛けなのか、どこが何に重なっているのか、「プリキュア」を知らない世代なのでわからない。
  • 内容は声優の世界を舞台にしたさらっと見られるドラマなのだが、ストーリー展開や役者さんの演技などは正直、物足りないところが多く、感情移入しにくかった。
  • 「最後はこうなるんだろうな」というのが想像できてしまう。「努力すれば叶う」というのはよくある話なので、「努力しても叶わないとき、方向転換していくこともありなんだよ」など、ちょっと違う話になっていれば、「面白い!」と思えた。
  • 展開も丸わかりで、このドラマそのものが我々の世代から見たら漫画やアニメの世界。それを今の若い人たちが「ダサい」と言わずに、素直に面白い、感動したとtwitterなどで言っているところに一つの発見があった。しかし、これで100%納得した、ということになると、それで良いのかな、とも一方で思う。
  • 夢ばかりではなく、もっと現実感も欲しいと思った。例えば「ガヤ」役(たくさんの人が口々に発言するシーンを演じる役)のギャラの安さを表現するなど本当のことも入れておく必要はあったのでは。
  • 今、若者たちがネットから入るのは当然のように言われているので、それがどうしたらテレビに戻るか、テレビが見てもらえるか、あまり誰も何もしていないように思う。また、TVerも前週のものしか見られないので連続ドラマをどう見せるか、というところへの挑戦、工夫はどうなのか。

 

番組制作側から

  • 今、若い世代がなりたい職業の上位に「声優」があって、これと当社のキラーコンテンツの一つである「プリキュア」がうまく連動できるのではないかと思った。声優というあまり知られていない世界を描く青春群像劇を「プリキュア」とコラボして成立させられれば若者に対して朝日放送テレビらしさを伝えていけるのではないか。
  • できるだけリアリティを持たせるように作っているが、実際にこれだけ働いてこれくらいの給料しか出ないから生活が成立しない、というようなところはファンタジーにした。映像の中で描く分量はキラキラしたものに割いたほうが良いのではないか、これは番組の印象を決めるところだなと思ったので敢えてそういう形をとった。
  • まずテレビでどれだけ多くの方に見ていただけるのかが最優先だが、その接点が難しいなら、スマホやパソコンから接点をもっていただいて、もう一度テレビに戻っていただくのが理想。その最初の入り口はできるだけ広げておきたい。
  • 連続ドラマの枠ができたことは大きい。今後はこういう品行方正「ではない」ドラマなど色々やってみて、ドラマも制作陣も成長できるような枠にしていきたい。

 

以上