第644回番組審議会 4月13日(金)開催

〔出席委員〕

井野瀬 久美惠 委員長、道浦 母都子委員、
星野 美津穂 委員、橋爪 紳也 委員、
淺井 栄一 委員、高見 孔二 委員、
小松 陽一郎 委員、北川 チハル 委員、
古川 伝 委員

 

〔当社側出席者〕
山本 晋也 社長、
緒方 謙 常務取締役、山田 裕之 取締役、
清水 厚志 総合編成局長、
株柳 真司 コンプライアンス局長、
星 信幸 報道局長、藤田 貴久 報道企画部長、
利満 正三 カメラマン
矢島 大介 事務局長、西澤 萠黄 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

『テレメンタリー2018 一度でいいから~日朝をつなぐ家族の絆~』

<事前視聴 2018年4月8日(日)午前4時55分~5時25分放送>

委員の主な発言

<番組の評価点

  • 拉致問題は大きく取り上げられているが、残留日本人や在日朝鮮人の帰国事業で北朝鮮に渡った日本人妻の問題はほとんど忘れ去られている。それを掘り起こしたのは大いに意味がある。
  • 取材スタッフが取材対象者と本当に人間関係を作って、人の心の中に入っているのを実感した。日本人妻と短時間で信頼関係を作ったという意味で、報道・ドキュメンタリーの原点を感じた。
  • ドキュメンタリーは素材の映像をいかに編集するかで、そこに演出があまりあってはいけないと思う。今回の番組では日本人妻の方々の顔に刻まれた皺の深さがとても印象的で、顔のアップから様々なことを汲み取れた。そこが、素材としての映像の大事な力だと思った。
  • 番組に登場した日本人妻は良い服を着ていたし、食卓にご馳走も出ていたが、本当にそんな良い暮らしをしているのか、あれが本当の日常なのだろうかと色々考えることを教えてもらった。
  • 北朝鮮はプロパガンダが基本的な取材の条件だと思うので、日本人妻の方々も言葉を選んでおられるだろうし、本当はもっと苦労されているのだろう。独裁政治の管理社会を逆に感じた。
  • 取材するフォトジャーナリストとカメラマンの信頼関係やつながりがないとできない番組だと思う。これまでに構築してきたものを引き続き活かしてほしい。

 

<番組の課題

  • 何故、日本人妻が社会問題になったのか。そもそも日本社会には差別の問題があり、その差別は今も色々な形で続いている。番組としては決して他人ごとではないのだというように見せていくための工夫がもう少し必要だった。
  • 何故こんなことになったのかを考える材料となるものが、短時間だったからか、十分に伝えきれていないのではないか。当時の女性の立場や結婚事情などにも触れないと、今の若い人たちには日本人妻の思いや苦しみは伝わらないのではないか。
  • 北朝鮮という国でよく取材をしたという部分と日本人妻の存在を視聴者に伝えるということは良くわかるが、ストーリーに芯がない。この番組を通して何を見て欲しいのかがわからない。
  • こういう番組を見る時に、番組だけを見るのと、文字で読んである程度理解してから見るのとでは違うと思う。dボタンを押せばこういう番組の趣旨が出てくるなど、もっとdボタンを活用されたら良いのではないか。

番組制作側から

  • 当社は以前から北朝鮮問題の番組を作り続けている。これまでに「拉致」、「遺骨」問題の番組を制作したので、残る「残留日本人問題」、さらに「日本人妻」の問題をどう描くかというのを模索していた。北朝鮮問題は当社がリードしていくべきネタと考えている。
  • 取材には地方の人民委員会が立ち会っている。取材する度に「本当にこれが北朝鮮の姿なのか。庶民の暮らしなのか」とは感じるが、逆に豪華な食事やきれいな服装を見ることによって伝わるものがあるのではないか。
  • 同胞が隣国から帰れない状態にあるということをまずは伝えたかった。正直言って取材も編集もしにくいし、政府批判をすれば二度と取材には行けなくなる可能性がある。今、政府間がうまくいっていないので、我々メディアがつなぐ役割を持っていると思っている。

朝日放送テレビ番組基準の諮問・答申

  • 今回から朝日放送テレビ株式会社の番組審議会として、委員を委嘱した。
  • 朝日放送テレビ株式会社として、放送法に基づき「朝日放送テレビ番組基準」を番組審議会に諮問し、「妥当である」との答申を受けた。

 

以上