第710回番組審議会  1月10日(金)開催

〔出席委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、小松 陽一郎 副委員長、
北川 チハル 委員、高見 孔二 委員、
龍沢 正之 委員、中西 悠子 委員、
橋爪 紳也 委員、原 美和 委員、
松山 秀明 委員

〔当社側出席者〕
今村 俊昭 代表取締役社長、
中村 博信 取締役、岩田 潤 取締役、
飯田 新 総合編成局長、
吉村 政人 コンプライアンス局長、
西 一樹 プロデューサー、東野 裕 企画・取材担当、
木村 佳麻里 事務局長、米澤 公章 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

『ABCドキュメンタリースペシャル ~夢のメダルへ!“鬼コーチ” 35年の闘い~』
<事前視聴 2024年12月1日(日)午後4時25分~5時25分>

委員の主な発言

<番組の評価点>

  • 水泳・飛込競技を長年にわたって取材し、オリンピック選手の成長だけでなく指導者の成長、またスポーツ教育や指導の変遷まで垣間見える番組だった。「指導してきた選手のメダルを目の前でどうしても見たい」というコーチの言葉からは、執念のような願望がよく伝わってきた。
  • 選手には選手の、コーチにはコーチの悩みがあることや、結果を出しているコーチでも悩みながら試行錯誤していることがよくわかるドキュメンタリーだった。多くの素晴らしい指導者にスポットライトが当たるようになればうれしい。
  • パリ五輪で銀メダルを獲得した玉井陸人選手が7歳のときの飛込の姿がかわいらしく、とても貴重な映像だと思った。
  • コーチという存在が水泳界にとっていかに大事かということが、真実だったとわかった。圧倒的に取材期間が長くて、ずっと継続してきたが故に現れた真実だろうと思う。取材の継続はテレビの最大の力だ。きちんと真実を長期密着で伝えていくことが、放送の未来を作っていくと改めて感じた。

 

<番組の課題>

  • 長年の取材には圧倒的な力があったが、その分逆に、少し内容が散漫になり、メインになるものが見えにくくなった。取材した映像によっていろいろなテーマで作れると思うが、もう少し絞り切れていたらよかった。
  • 「鬼コーチ」としての苦悩があまり伝わってこなかった。「鬼コーチ」から変化する経緯については釈然としない感じだった。何にどう悩んだのか、葛藤が見えなかったように思う。番組の掘り下げ方やまとめ方がそれを感じさせるものではなかった。
  • コーチが変わったところが、映像や発言など、指導の場面として見えなかったと思う。本当に変わったという納得感がもう少し欲しかった。
  • コーチが各選手の個性に応じた指導法に変わっていったところを描くのであれば、タイトルを含めた「鬼コーチ」という言葉の使い方はどうなのか気になった。
  • コーチができなかったメダルの獲得を、厳しい指導で選手に託すのはどうなのだろうかと疑問が湧いた。選手はどう受け取っているのかなど気になった。
  • 銀メダルを獲得した玉井陸斗選手自身のメダルに対する思いをもう少し聞きたかった。
  • オリンピックに出場するような優秀な選手のほかに、途中でやめていったたくさんの人たちの思いについて描かれておらず、成功した人たちだけの話になっているように思った。
  • 選手たちが初めて飛んだ時の気持ちよさなど、メダル以外の飛込の楽しさをもっと紹介できればよかった。
  • スポーツと関係しない人が見ても納得できるように、人間関係をうまく築いてそれぞれが一生懸命やっていく気持ちになることが全ての分野で大事であると、伝えられるところがあればもっと良かった。

番組制作者側から

  • 100年以上の歴史の中でオリンピックメダルがなかった飛込界にとって、メダルを取ることがいかに大事だったのかをもっと詳しく描けていれば、スポーツに興味がない人も見やすかったと思う。
  • 撮影したたくさんの素材をじっくり吟味して、いろいろなテーマで、飛込界を見つめるとスポーツ界全体が見えるような作品を作っていきたい。

以上