第707回番組審議会  9月13日(金)開催

〔出席委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、小松 陽一郎 副委員長、
北川 チハル 委員、高見 孔二 委員、
龍沢 正之 委員、中西 悠子 委員、
原 美和 委員、松山 秀明 委員

〔当社側出席者〕
今村 俊昭 代表取締役社長、
中村 博信 取締役、岩田 潤 取締役、
飯田 新 総合編成局長、
吉村 政人 コンプライアンス局長、
本田 幹雄 報道局長、
木村 佳麻里 事務局長、米澤 公章 事務局員、
石原 康男 事務局員、北本 恭代 事務局員

審議課題

「地上波テレビに求められる災害・気象報道のあり方」

委員の主な発言

<テレビは何をするべきか~発災前・発災時・発災後>

  • 失われる命を減らすためには、耐震化や防火など、防災面の報道をきちんとしていくことが重要だ。民放テレビ局には「やってみようかな」と思ってもらえるような、わかりやすい伝え方ができるのではないか。
  • 災害発生初期には、インパクトのあるショッキングな映像が繰り返し放送されがちだ。それに耐えられなくなってテレビを消してしまう人もいる。さまざまな分野の専門家が、災害時の心構えや、不安を緩和するアドバイスなどを語りかける映像が間に入れば、視聴者も冷静に情報が得られるようになるのではないか。
  • 災害関連死は、避難所や自主避難で家にいる人への支援によって大幅に減らすことができる。命の危険への意識を高めてもらえるような情報や、避難所の実情を伝えることが大事だ。
  • 「データ放送もご覧ください」ともっとアナウンスすべきだ。データ放送の活用で、より細やかな情報を提供できるのではないか。
  • SNSが情報源となって、真偽の曖昧な情報が飛び交うようになっているが、テレビにはフェイクニュースを見分けて否定する役割があると思う。SNSの情報は、正しかったとしても、きわめて衝撃的・局所的で全体像が見えにくい。テレビは全体を俯瞰し、錯綜する情報の集約点としての役割を担うべきだ。それがひいてはフェイクニュースを見分ける方法にもなっていく。
  • 発災後も長期的に、ドキュメンタリーなど災害関連番組をきちんと報道し続けることが大事だ。

 

<被災した人たちに対して>

  • 被災地での取材報道にはきめ細やかさが求められる。未成年者、特に幼い子どもたちへのインタビューでは、尋ねる内容や言葉のかけ方について専門家の意見等を聞きながら、放送以外のところでも決して子どもたちに負担を与えることのないよう十分に配慮してほしい。
  • 物理的なダメージよりも心理的なダメージの方が傷が深くなることがある。取材時の何気ない行動や心無い言葉で、被災者を二重、三重に傷つけることのないように留意する必要がある。
  • 被災した人たちへのインタビューは的確で簡潔であるべきだ。例えば被災者自身がマイクを持ちカメラに向かって自分の言葉で伝える時間があってもいいのではないか。

 

<今後に向けた提言>

  • 大規模災害においては、民放各局が災害連携体制を取り、それぞれが報道する地域を取り決め、映像や情報を共有できるようにすれば、もっときめ細やかな取材や報道ができると思う。
  • ABCテレビが公開している「阪神淡路大震災 激震の記録1995 取材映像アーカイブ」の取り組みを発展させ、系列の災害アーカイブを作ってほしい。
  • むずかしいことかもしれないが、日本中の局が協力して一つの災害専門のテレビ局を作り、細かい情報も発信されるようになればよい。

朝日放送テレビ出席者から

  • 地域の放送局同士の協力も視野に入れ、人命を守ることを最優先に考えて体制を整えたい。

その他

  • 2024年秋の番組編成について説明した。

以上