第704回番組審議会 5月17日(金)開催

〔出席委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、小松 陽一郎 副委員長、
北川 チハル 委員、高見 孔二 委員、
龍沢 正之 委員、中西 悠子 委員、
橋爪 紳也 委員、原 美和 委員、
松山 秀明 委員

〔当社側出席者〕
今村 俊昭 代表取締役社長、
中村 博信 取締役、岩田 潤 取締役、
飯田 新 総合編成局長、
吉村 政人 コンプライアンス局長
植田 貴之 東京制作部長、山崎 宏太 プロデューサー、
木村 佳麻里 事務局長、石原 康男 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

『ミス・ターゲット』
<事前視聴 2024年4月21日(日)午後10時~10時54分放送>

委員の主な発言

<番組の評価点>

  • 結婚詐欺師役に松本まりかさんを配したのはとても良いと思う。彼女の演技もキュートで魅力的だと感じた。脇を固める俳優陣も個性的で面白く見やすいと思う。
  • 松本まりかさんのクルクルと表情を変える演技はすごいなと思って見ている。上杉柊平さんも誠実で良い感じの若者を演じているし、この二人の掛け合いも絶妙だと思う。ドキドキ感もあり、ストーリー展開もテンポがいい。
  • はじめにたくさんの伏線があり、面白く見続けた。「何だろう」とか「どういうことなのだろう」という違和感みたいなものもあるが、それは作り手の狙いなのだと思う。一種のミステリードラマみたいなもので、最後に伏線をどう解決していくのかを見せてくれたらいい。結婚詐欺のリアリティに関しては追求する必要はないのではないか。楽しく明るい内容で日曜の夜にはピッタリだと思う。
  • 2話、3話と見てだんだんはまっていった。このドラマは結婚詐欺師が主人公だが、お金第一主義ではなく人の優しさを基本に伝えられているのが良いと思う。
  • 父親役の沢村一樹さんが息子に言った「お前が好きなことをやって、楽しそうにしているのを見るのがうれしい」という言葉が心に残った。人それぞれの価値観や幸せを考えるきっかけにもなった。また、キャストも豪華で、非日常感も味わえて楽しく見られた。

 

<番組の課題>

  • 35歳まで結婚詐欺師を続けている主人公が婚活を始める設定には、細かいところにリアリティが感じられず、惜しいなと思ってしまった。現代ものの場合、ある程度時代に即した情報に基づかないと、違和感が生まれることになると思う。
  • 主人公の結婚詐欺師としての後ろめたさや、復讐を続ける葛藤とか苦しさが見られず、ストーリーに感情移入ができなかった。コメディ要素を出そうとし過ぎるのも、ストーリーにのめり込むのを邪魔する感じがした。
  • 結婚詐欺師ということだが、最新の犯罪のリアルな手口などをわかった上で、そこからフィクションを構築しないといけないのではないかと思った。
  • ラブコメディだと思って期待していたが、シリアスやダークなテイストなども混じっていて、どのように楽しめばいいのか迷った。
  • ウェディングドレスに手錠というインパクトあるスタートだったが、肝心のミス・ターゲットの数々の仕事、ダークな部分が軽く流されてしまい物足りなく思った。俳優陣が素晴らしいので、ドラマ好きとしては没入感を求めてしまう。
  • 今までのこの枠の作品とは違ってストレートな恋愛ドラマという印象だが、令和の時代の恋愛とは何なのかをもう少し工夫してもよかったのではないかと思った。ドラマが恋愛を描くのは重要なことだとは思うが、90年代や2000年代とは違うと思う。まだ物語は途中だが、主人公の恋愛観には少し乗り切れないところがある。
  • 今のテレビドラマは、伏線回収という言葉がはやるように、ネット配信で連続して見せることを意識したものが多くなったと感じている。このドラマもそのように感じる。ドラマをコンテンツ化していくことには賛成だが、テレビ好きとしては、今まで日本のテレビが作り続けていた「人間の日常を描く」といったようなドラマも残してほしいと思う。

番組制作側から

  • 日曜22時のドラマ枠は2年目に入り、これまでとは違う作風のラブストーリーに挑戦した。価値観の違う二人の恋愛がどうなるのか、ラブコメディなので楽しく見てほしいが、心に刺さる言葉や場面も味わっていただけるとうれしい。
  • 今回、展開を早くするために、アニメ原作やマンガ原作のドラマのようなテイストも意識した。ラスト1分で次も見たくなるような展開にもこだわっている。
  • ご意見をうかがって、リアリティを意識して人の感情を動かす作り方が大事だと改めて思った。

以上