第702回番組審議会 3月15日(金)開催

〔出席委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、小松 陽一郎 副委員長、
北川 チハル 委員、高見 孔二 委員、
橋爪 紳也 委員、原 美和 委員、
星野 美津穂 委員、松山 秀明 委員、
山浦 一人 委員

〔当社側出席者〕
山本 晋也 代表取締役社長、
今村 俊昭 取締役、中村 博信 取締役、
飯田 新 総合編成局長、
吉村 政人 コンプライアンス局長、
西 一樹 報道企画部長、長谷川 健 ディレクター、
木村 佳麻里 事務局長、石原 康男 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

『テレメンタリー2024 塀の外に“生き場”を 罪を犯した障害者たち』
<事前視聴2024年3月3日(日)午前4時50分~5時20分放送>

委員の主な発言

<番組の評価点>

  • 番組が取材した罪を犯した障害者や支援する人たちの声、しぐさ、生活感は、30分という短い時間の中でも大切に届けられている。ある意味、まだ未成熟な社会の現場、混乱した現場というものを突き付けられた気がした。
  • まだこのような分野の専門家が足りていなくて、もっと国などの大きな支援や取り組みが必要なのではないかと感じた。支援の仕方がこれで正しいのかというNPO代表の苦悩や、障害のある人が罪を犯して、社会に戻るときに“生き場”がないという現実など、特定の人の善意に頼らざるを得ない社会の現状を浮き彫りにした番組だった。
  • 中身の濃い30分だった。短い中ではあるが、取材した障害者たちの背景や事情を描きつつ、犯した罪については正確に伝えようとしていた。真実として伝えるべきところは伝えようと努力していると感じた。
  • 社会的に意義があったり、何か訴えかけたり、問題意識をしっかり出していくことは、報道機関には必ず必要な姿勢だ。ドキュメンタリー番組はしっかり続けてほしい。
  • 『テレメンタリー』はテレビ朝日系列の各局が、様々なテーマを取り上げていて素晴らしい。ドキュメンタリー番組は、テレビの未来を担うと思っている。絶対に届いているはずなので、そこを信じて継続してほしい。

 

<番組の課題>

  • テーマの焦点がぼやけていたと思う。NPO法人の活動と障害者本人のどちらに焦点が当たっているのかわからなかった。
  • 突然、取材対象の障害者の方が亡くなった話になり、番組の構成として何が言いたかったのかわからなくなった。短い番組なので、亡くなった方の話で1番組、支援する施設の話で1番組と別々の番組にしたほうが良かったのではないかと思う。
  • 支援をするNPO法人には頭が下がる思いだ。番組が長くなってしまうので難しいとは思うが、この活動をどうやって継続しているのか、公的な支援がどの程度あるのかということも伝えてほしい。データなど説明的な部分は番組が面白くなくなるかもしれないが必要だと思う。
  • 番組のタイトルから、頑張っている姿とか、一生懸命生きている姿とか、前向きなものが見られるのだと想像していた。しかし、30分の番組中に捜査の場面や葬儀の場面などが占める割合が大きく、何が伝えたかったのかわからなくなった。タイトルとのずれを感じた。
  • 顔や場所など映像をぼかす編集で隠された部分が多く、伝わりにくかった。仕方のない面もあるが、視聴する側との距離を感じた。
  • 取材で遭遇した衝撃的な部分に引っ張られて、番組の伝えたかったものがわかりにくくなったのではないかと感じた。ドキュメンタリー番組は、メッセージをしっかりと伝えなければならないと思う。
  • 今回の放送から、まだ広がりがありそうだ。障害者の就労継続支援を地道に努力されている方々がちゃんといるということに軸を置いた報道もできると思う。今後の番組で追ってみてはどうだろうか。

番組制作側から

  • 日本の社会が、刑罰を科すだけでなく、どう更生していくかという方向に変わりつつある。その更生の現場がどうなっているのかを伝えたいと考えた。
  • そのままの映像を見せて視聴者に考えてもらう作りだった。視聴者に委ねる部分が多くなってしまったという反省もある。いただいたご意見は、今後に生かしていく。

その他

  • 2024年春の編成について説明した。

以上