第694回番組審議会 5月19日(金)開催

〔出席委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、小松 陽一郎 副委員長、
北川 チハル 委員、高見 孔二 委員、
橋爪 紳也 委員、原 美和 委員、
星野 美津穂 委員、松山 秀明 委員、
山浦 一人 委員

〔当社側出席者〕
山本 晋也 代表取締役社長、
今村 俊昭 取締役、中村 博信 取締役、
飯田 新 総合編成局長、
吉村 政人 コンプライアンス局長、
植田 貴之 東京制作部長、山崎 宏太 プロデューサー、
木村 佳麻里 事務局長、石原 康男 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

『日曜の夜ぐらいは…』
<事前視聴 2023年4月30日(日)午後10時~11時4分放送>

委員の主な発言

<番組の評価点>

  • 俳優たちの演技とか、心に刺さる脚本が素晴らしいのはもちろんのこと、何気ない日常風景とか音楽も見事で、全部が1ミリの狂いもなく完璧なドラマの世界を作り上げているように感じた。せりふのないシーンでも、俳優を捉えた映像が視聴者に語りかけてくるようでとても印象的だ。町中を無言で、自転車で走り続けるだけの映像を、これだけじっくり、ゆっくりと時間を割いて見せてくれるドラマは、本当に貴重だと思う。
  • 良質なドラマだなと感じた。それぞれが悩みを抱えているだけに、重い始まりだったが、バスツアーでサチが少しずつ笑顔を取り戻していくのは自然で、3人の掛け合いも友だちのような空気感が出ていて、とても良かった。「楽し過ぎると逆にキツい」という言葉に共感した人も多かったのではないかと思う。
  • 映画を見ているようで、映像や画面の切り取り方がきれいだなと思った。重たいテーマがある人間ドラマで、好き嫌いはあるとは思うが、しっかりと見せるドラマに仕上げている。演技も素晴らしく、回を進めるごとに引き込まれていく。
  • 一つひとつのせりふで、心に残る、あるいは共感する。そこを脚本家とか演出は狙っているのかなと思って見ていた。翔子がタトゥーを見せるシーンとか、流れるような会話で脚本も演じる俳優も見事だと感じた。
  • 28年ぶりの全国ネット連続ドラマということで大変だったと思う。漫画原作のドラマが増える中でオリジナル脚本に挑戦したことに敬意を表したい。彼女たちはどこかに住んでいて、彼女たちの今週の風景を見ている感じがし、共感する。せりふも心に刺さる。
  • ラジオ番組のツアーで3人が出会うとか、トランジスタラジオをベッドの横に置いて聞いているとか、ラジオがよく聞かれていた時代に対するオマージュ、思いのようなものを感じた。

 

<番組の課題>

  • お母さんから現金を取られるとか、かなりヘビーな話なので、日曜の夜にこんなに重苦しいのはつらいなと思った。後半すごく幸せになるだろうとは思うが、最初の3回はつら過ぎた。
  • これでもかこれでもかと、悲しくなるように仕掛けているのが気になる。お兄さんが偶然タクシーに乗ってくるとか、自然な流れではなく無理やりの偶然を重ねて悲しくしていると感じた。
  • 最終的にどうなるかわからないが、3人全員が苦労してしまうと、彼女たちがつらい目に遭っていなかったら友だちにならなかったようにも見えてしまう。環境も考え方も感性も違うこの3人が、「どんな出会い方をしていても友だちになっていた」と思わせてくれるような展開がいいなと思う。
  • 気になったのは、バスツアーで友だちになる場面。初対面でいきなりあんなになれなれしくなるかなと感じた。あのようなハイテンションでなくても自然に友だちになれたのではないかと思う。
  • せっかくヤングケアラーを扱っているので、現実的な問題は、『news おかえり』などでしっかり取材して報じてほしい。ドラマを見てそういうことに関心を持ってもらうのも、社会にとっては非常に重要なことだと思う。

番組制作側から

  • 貴重なご意見をいただき感謝している。この作品はオリジナルの脚本で、生活者の息遣いが聞こえるようなドラマを目指している。だからこそリアリティが気になるドラマだと思うので、そこをより突き詰めたい。ご意見は、今後のドラマ作りに生かしていきたい。
  • 朝日放送テレビが単独で作る全国ネットの連続ドラマとしては28年ぶりになる。良質なドラマを作って、それを視聴者に楽しみにしていただけるような時間帯に育てていきたい。

以上