第689回番組審議会 11月11日(金)開催

〔出席委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、小松 陽一郎 副委員長、
北川 チハル 委員、高見 孔二 委員、
谷口 真由美 委員、橋爪 紳也 委員、
原 美和   委員、星野 美津穂 委員、
松山 秀明 委員、山浦 一人 委員

〔当社側出席者〕
山本 晋也 代表取締役社長、
小倉 一彦 常務取締役、今村 俊昭 取締役、
幾野 美穂 総合編成局長、
西澤 萠黄 コンプライアンス局長、
西 一樹 報道企画部長、長谷川 健 ディレクター、
木村 佳麻里 事務局長、石原 康男 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

『ABCドキュメンタリースペシャル こどもホスピス~いのち輝く“第2のおうち”~』
〈事前視聴2022年9月18日(日)午後4時25分~5時25分放送〉

委員の主な発言

<番組の評価点>

  • 明るい過ごし方があるということに焦点を当てたのは本当に良かった。「きょうは楽しかったね」という言葉に、こどもホスピスの意義が集約されていた。また、子どもたちだけでなく、親も救われているということも感じた。このような救いの場があることを知ったのはすごく大きかった。
  • 重度の病気を患っている子どもたちだが、元気に外で遊ぶ姿もあった。どう生きるのかという投げかけに、改めて考えさせられた。子どもたちやご家族が、少しでも過ごしやすい場所で過ごして、治療以外の経験を増やしていくことを願いたい。
  • 番組が始まってすぐに、カメラの温かさというものを感じた。青空の下、原っぱで遊ぶ子どもたちを撮影する際に、ものすごくカメラの位置が低かった。あれは子どもたちの目線を意識し、撮影者の圧迫感を与えない配慮だと思った。対象者に寄り添う思いやりが終始伝わってきた。
  • 何よりも子どもの笑顔がとても印象的で、素晴らしいドキュメンタリーだった。テレビのドキュメンタリーは、「結論」を出しがちだが、このドキュメンタリーがとても良いと思ったのは、「問題提起」になっているところ。日本では小児ホスピスが足りないことへの警鐘になっていた。
  • 情報を詰め込むのではなく、うまく余白を持たせている作りだった。子どもたちがホスピスの中で走り回っている姿など「映像」が物語ってくるものがすごく多かったと思う。また、桂アナウンサーの落ち着いた声も番組にマッチしていた。番組制作者の意図は素晴らしいと思う。
  • どんなに小さな子どもでも、クオリティのある人生を、命を生きられるということが、すごく大事なんだなと思った。子どもは主張ができない。そのため見過ごされがちな点があったと思っている。こういったテーマは継続的にやってほしい。
  • 従来の医療とは違う面からこどもホスピスが必要だと言われだして、まだ新しい。このことを継続して報道する意味は言うまでもなく大事なことだ。
  • 取材対象との人間関係を構築した取材関係者と、社会性のある意義深いドキュメンタリーを放送した朝日放送テレビの姿勢に敬意を表したい。このようなドキュメンタリーは、メディアの信頼性の構築に貢献する。


<番組の課題>

  • こどもホスピスというのがどのような施設であるか、どのようにすれば利用できるのかなど情報を短くまとめた部分があると、より視聴者に理解されやすくなるのではないかと思った。
  • 財源で苦労されているはずなので、課題をもっと強く出しても良かったかなと感じた。運営費とか、どんな形の寄付になっているのだろうと見ていて思った。
  • こどもホスピスは、いろいろなところが協力し合ってできている。応援している人たちの姿が少しだけでも見られたら、また新たな応援にもつながると思う。
  • 海外のホスピスでお子さんを亡くされた女性が、福井でのこどもホスピス設立に向けて頑張っておられたが、これからも継続して取材し番組にしてほしい。
  • 視聴率が大切だということもわかるが、ドキュメンタリー番組を増やしてほしい。こうした良質なドキュメンタリーをきちんとより多くの人に発信することは、これからのテレビにおいてとても大事なことだと思う。

番組制作側から

  • こどもホスピスという場所が知られていないという現状や、寄付金で運営しているという状況を知り、きちんとその活動を伝えたいと考えた。社会的な課題を視聴者に提示して、少しでも改善につながるきっかけになればという思いで取材した。
  • 時には撮影をせず徹底的に子どもたちと遊んだり、一緒にご飯を食べたりした。そういうことを何回も繰り返して良い関係が築けたと思う。撮影では、ちょっと低い位置から子どもの目線に合わせて撮るなど工夫もした。

以上