第687回番組審議会 9月9日(金)開催
〔出席委員〕 |
〔当社側出席者〕 |
審議課題
『動画配信時代 地上波テレビに望むこと』
委員の主な発言
<報道の重要性>
- 情報の正確性が大事。地上波テレビはここを死守しないと、存在意義が希薄になると思う。ネットの情報はスピードが速く、多様さや深さもあるが、間違った情報を正しいと思い込まされる面もある。地上波テレビは丁寧な取材と裏付けにのっとって事実をきちんと説明し、どう思うかは視聴者に委ねるべきだ。
- 「信頼される良質なコンテンツとは何か」ということでは、一番わかりやすい例は、災害報道だ。命にかかわる情報をいち早く正確に伝えることで、地上波テレビは今でも一番信頼されている。
- 「報道の自由がなぜメディアに与えられているか」というところに立ち返らないといけない。それは、民主主義のためにとても必要なものだからで、その使命をメディア自身が忘れてはならない。
<地上波テレビだからできること>
- テレビが今戦っているのは、「時間」と「注目(アテンション)」の二つについてだ。人々が起きている時間を様々なメディアが取り合っていて、その時間を獲得するため、注目されることに熱を入れている。注目を集めようとし始めたら、動画配信時代はよりニッチで過激なコンテンツに行く。ネットと同じ土俵で戦う必要はあるのだろうか。テレビというメディアの機能そのものを考えるべきではないか。
- ネットメディアにはできない地上波テレビの重要な機能の一つに、議題設定(アジェンダセッティング)がある。テレビは、今皆で話し合うべき問題や考えなければいけない事柄を提示することができる。社会的弱者の声を集めて「今はこれが問題だ」と世の中に伝える役割はきわめて大事。不確実性のある時代だからこそ、ぜひ示してほしい。
- 第一報は、「災害が発生した」だけでも、その後で深掘りした続報も伝えられる。「早くて遅いメディア」であることは地上波テレビだからできるのではないか。
- 地上波テレビは、優しくないとだめだと思う。地上波テレビの優しさとは何かというと、弱い立場の人に寄り添うこと。これは最低限必要なこと。
<若い世代・子どもたちに向けての番組を>
- 基本的にいろいろな世代が楽しめるように番組を制作していると思うが、10代・20代、特に10代をターゲットとした番組を視聴率度外視で制作してほしい。中学生になってスマートフォンを持って、「テレビで自分たちが面白いと思えるものがない。でも、YouTubeにはある」となれば、テレビから離れてYouTubeやその他のコンテンツに移行するのは普通に考えられること。
- 今、ゴールデンタイムのバラエティ番組のほとんどの司会者が50代以上。10代の感性についていける感覚をテレビ局側が持っていないと、今後の視聴者層の幅は狭まっていく。対策をしないと手遅れになる。
- 未来を担う子どもたちに向けて、特に幼児向けの良質な番組が増えると良いと思う。年少者のいる家庭で楽しめる番組が、ずいぶん長い間作られていないと感じている。子どもたちが希望を持てる社会を育むためにも、倫理観のような土壌は圧倒的にテレビの方に親和性がある。
- 若者はテレビに無関心なわけではない。面白いものであれば見られるはずだ。過去のドラマに詳しい学生もいて、アーカイブにもビジネスチャンスがあるのではないか。
- 他局と似たような企画や出演者ばかりではなく、「うちの局はこれが重要だ」といったステーションカラーをもっと出していくべきだ。また、どの番組も同じようなターゲット層ばかりを狙っているが、「全ての人に」ということはもうないと思う。
- 時間の消費のあり方と共に、映像の消費の方法が激変している。テレビ、パソコン、スマホなど複数のメディアを使いこなしながら時間を消費している消費者像を持つべきだ。
朝日放送テレビ出席者から
- 委員の皆さまの貴重なご意見は、胸に刺さるものも多く、我々の力となります。朝日放送テレビでは、「良質なコンテンツを作り、多様なプラットフォームから、生活者に幸せを届ける」というビジョンを持っています。これからも人々に寄り添うということを忘れずに番組を作っていきます。
その他
- 2022年秋の番組編成について説明した。
以上