第684回番組審議会 5月20日(金)開催
*一部オンラインを交えた対面形式で開催

〔出席委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、淺井 栄一 副委員長、
北川 チハル 委員、小松 陽一郎 委員、
杉林 浩典 委員、高見 孔二 委員、
橋爪 紳也 委員、原 美和 委員、
星野 美津穂 委員

〔当社側出席者〕
小倉 一彦 常務取締役、今村 俊昭 取締役、
幾野 美穂 総合編成局長、
西澤 萠黄 コンプライアンス局長、
西 一樹 報道企画部長(プロデューサー)、
國友 千愛 ディレクター、
木村 佳麻里 事務局長、石原 康男 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

『パパがある日女性に』
<事前視聴 2022年5月15日(日)午後4時25分~5時25分放送>

委員の主な発言

<番組の評価点>

  • 人が多様に生きていくことのできる社会を作っていくのは、メディアにとって非常に重大な役割だと思っているが、この番組は、それを大上段に言うのではなく、目線が全体的に優しくてすっと伝わってくる。
  • 今回こういうテーマを取り上げ、日曜日の夕方に放送したのは素晴らしいことだと思う。朝日放送テレビの良心を感じる番組だ。
  • 家族の方の気持ちや言葉をリアルな形で聞けて、非常に新鮮に受け止めることができた。トランスジェンダーの父親を中心に家族それぞれにスポットを当てた構成は、父親自身を多角的に浮かび上がらせることに成功していると感じた。素直な言葉を引き出せたのは、番組の真摯な姿勢や関係性があってこそだと思う。
  • トランスジェンダーのこの方にとって結婚して子どもを作ったことは幸せの一つの形に見える。だから、どう生きても、気づくのが遅かったとしても、今までの人生もすべて、ありのままを受け止めることができる社会が大事だと一つの家族を通して気づかせてもらった。
  • 最初は状況がつかめなくて、付いていけないかもしれないと感じたが、見ているうちにだんだん距離が縮まっていくような心地よさを覚えた。ご家族の皆さんが、よくしゃべってくださることが大きかったと思う。今回の番組でテレビから発信された言葉は、すごくわかりやすくて聞きやすい、そして受け止めやすいという感じだった。なかなかできることではないと思う。
  • 関西にはすごく話上手な方とか、腹を割って話すということが自然にできる方が多いという印象を持っている。マイノリティへの理解を深めるのには、当人との会話が大切なので、より良い価値観とか、生きづらさを軽減するような多様な考え方をリードしてくれる番組を関西からどんどん発信していってほしい。
  • 『キャスト』と『テレメンタリー』での放送も見ていたが、職場で苦労した話や家族との話も笑顔があまりなかった。今回、家族の心が一つになって笑顔が見られてホッとした。新しい家族のあり方、「これも普通の家族やん」というのが、今回のドキュメンタリーでよくわかった。


<番組の課題>

  • 時系列が前後したり、背景の説明がない部分があったり見ていて少し混乱する。家族が時間とともに変化してきたのがもう少しわかると良かった。
  • 最後には素晴らしい家族だということはわかったが、もっとシンプルに伝えてほしかった。いろいろな話が次々と出てくるので追い付いていけなかった。
  • 元妻の方が開催したイベントを見ると、家族から社会に強く言いたいことがあったように思う。それがクリアには出てこなかったので、何を伝えようとしているのかわかりやすく出しても良かったと思う。
  • ドキュメンタリーで、問題提起して「あとは視聴者で考えて」というのが、一つのパターンになっていると思う。このような重要なテーマの時は、番組内に客観的データも入れてほしい。視聴者もそこからさらに考えることができるだろうし、あるいは誰かと議論がつながっていくということもあると思う。

番組制作側から

  • ここまで1年半くらい取材させていただいて『キャスト』や『テレメンタリー』でも放送してきた。このご家族と社会のかかわりを取材し伝えることで、多様な性などいろいろ考えるきっかけになるのではないかと考えて制作した。
  • 当事者に一番近い家族がどう思って、どう向き合ってきたかを見せたいと思った。今回ご意見を伺って、わかりやすくするための工夫なども必要というのはすごく感じた。

以上