第682回番組審議会 3月11日(金)開催
*朝日放送テレビ出席者と各委員をリモート会議システムでつないで開催

〔出席委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、淺井 栄一 副委員長、
北川 チハル 委員、小松 陽一郎 委員、
杉林 浩典 委員、高見 孔二 委員、
橋爪 紳也 委員、原 美和 委員、
星野 美津穂 委員

〔当社側出席者〕
山本 晋也 社長、
小倉 一彦 取締役、今村 俊昭 取締役、
幾野 美穂 総合編成局長、
西澤 萠黄 コンプライアンス局長、
西 一樹 報道企画部長、平岩 和之 ディレクター、
星 信幸 事務局長、石原 康男 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

『追跡スペシャル 人生やり直し請負人!元ワル社長の奮戦記Ⅱ』
<事前視聴 2022年1月30日(日)午後4時25分~5時25分放送>

委員の主な発言

<番組の評価点>

  • 国や民間で、多くの人が犯罪防止とともに再犯者が少なくなるように取り組んでいる。そういうところに焦点を当てたのは素晴らしい。きめ細かな取材で、本音の言葉、生の正直な声を引き出しているのも素晴らしい。こういう番組を通して「私も協力してみようかな」という方が増えるようになってほしい。社会性のある番組だった。
  • コロナ禍の中で密着取材していて、本当に大変な取材だったんだろうなとまず思った。今回取材した社長の強烈なキャラクター、元受刑者の人たちへの愛情も深いし、その絆で元受刑者の人たちが再犯しないでとどまっているというのは、全体のストーリーとして伝わってきた。
  • 元受刑者の人たちの、真面目に働くのか元に戻るのかという葛藤について、よく描かれている。彼らを気概だけで採用し、とことん付き合っている社長の姿は胸を打つ。
  • 昔味わった悪の誘惑に揺れ動いてしまう人間の心だとか、歯止めをかけてくれる人間の存在の大きさ、そういったものが浮き彫りになっていたと思う。元受刑者の方の歯がゆい思いも赤裸々に映されていて、その苦労がよく伝わってきた。
  • 今回取り上げた協力雇用主の方は、元受刑者の社員を更生させようと、おだてながらも厳しくチャレンジさせて、それを助けたり、あるいはそこで自分の必要性とかやりがいを感じさせたりと、すごい人だと思った。
  • 協力雇用主と社会復帰を目指す人を取り上げたこの番組は、番組の中身だけではなく、番組の存在そのものが社会にとって非常に重要だ。
  • 少年刑務所の一連の流れについては、大変貴重なものを見せていただいた。出所直後の青年が、「怖い、何をしたらいいかわからない」と動けないでいる様子が心に残って、刑務所のあり方とか、再犯防止プログラムの見直しの必要性など、いろいろ感じるところの多い番組だった。


<番組の課題>

  • なぜ再犯者率49.1%という高い数字となるのか、もう少し突っ込んでも良かった。コロナ禍の影響で協力雇用主が減っているというのは大きいと思うが、それだけなのかもう少し知りたかった。人間を追いかけている中で難しいとは思うが、「再犯防止推進計画」なども説明してもらえると良かった。
  • オープニングの再犯者率を示す49.1%という数字にまず驚愕した。これは事の重大さを示して番組制作の意図を伝えようとする導入だと思うが、「コロナ禍のさなか過去最悪を更新」というナレーションに対して、ではコロナ禍以前の再犯者率はどうだったのか、統計を取り始めてからどの様に推移しているのかという疑問が湧いた。そのような資料もあると良かったのではないか。
  • この種の番組を見ると被害者のことを思ってしまう。番組に足りないなと思ったのは、加害者と被害者の心の動きが描けていなかったこと。そういうものをうまく描けると、もっと深みのある番組になったと思う。
  • 日曜日の夕方という放送時間帯はどうなのかと思う。内容がかみあっていないような印象を受けた。
  • 出所してからの受入先やサポート企業があるのは大変ありがたいと思う。そこの情報はもっと入れてほしい。

番組制作側から

  • 大きな社会的テーマとして、コロナ禍の影響もあってか再犯者率が49.1%、つまり二人に一人が刑事施設にまた戻ってしまうという現実に目を向けた。一つひとつの場面を丁寧に作ることを重視し、若い人たちにも一つの大きな社会問題を考えるきっかけになればという思いで制作した。

以上