第680回番組審議会 1月14日(金)開催
*朝日放送テレビ出席者と各委員をリモート会議システムでつないで開催

〔出席委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、淺井 栄一 副委員長、
北川 チハル 委員、小松 陽一郎 委員、
杉林 浩典 委員、高見 孔二 委員、
橋爪 紳也 委員、原 美和 委員、
星野 美津穂 委員

〔当社側出席者〕
山本 晋也 社長、
小倉 一彦 取締役、今村 俊昭 取締役、
幾野 美穂 総合編成局長、
熊田 容子 制作部長、桒山 哲治 チーフプロデューサー、
星 信幸 事務局長、石原 康男 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

M-1グランプリ2021 アナザーストーリー
<事前視聴 2021年12月27日(月)午後11時15分~深夜0時15分放送>

委員の主な発言

<番組の評価点>

  • 錦鯉の漫才の最後の言葉、「ライフ イズ ビューティフル」というコメントに象徴される番組だった。感動と勇気と励みといったこともちゃんと出ていた。ドキュメンタリーとして奇をてらわず、豊富な素材でしっかりと作られていたと思う。
  • 錦鯉への過去のインタビューとか今回密着した取材とか、舞台裏の映像とかも織り込まれているなど、取材がとてもよくできていて面白かった。
  • 『M-1グランプリ』決勝戦の真っただ中の舞台裏、あそこで漫才師たちに何が起きているのかとても興味を持っていたので、そこが見られて良かった。舞台裏の緊張感をうまく切り取っていた。
  • オズワルドが極限の状態で錦鯉の漫才を見る様子とか、どの組も必死に頂点を目指す緊張感がよく伝わってきていた。
  • 芸人たちの絆、皆が喜び、泣き、そしてたたえ合う姿に本当に感動した。最近、人間関係が希薄になっている世の中で、昔ながらの情とか愛とかが感じられてとても良かった。
  • 『アナザーストーリー』は、1回目からずっと楽しく見ている。今回は最後の長谷川雅紀さんからお母さんへの電話をしっかり撮影していたのがとても良かった。
  • 錦鯉は本当にたくさんの方から愛されているコンビなんだなと感動した。錦鯉の漫才の最後の台詞「ライフ イズ ビューティフル」、それもすごく大切にされた番組の作りになっていて、制作側の愛も感じた。


<番組の課題>

  • 『アナザーストーリー』という企画が良くできているが故に、類似の企画が朝日放送テレビや他局でも出てきていて、今後そのような番組とは違う形を模索すべきではないかと思った。朝日放送テレビの他番組でも、楽屋裏で漫才師の皆さんが錦鯉の優勝を祝う場面が先に放送されていたので、私は『アナザーストーリー』を見たときに「既に見た」という感じだった。
  • 今回優勝した錦鯉は、とてもエピソードが多いコンビだったので、それを追ってしまうと、「前に見た」とか「ああ、お母さんに電話するねんな」とか想像できるものになってしまうが、これはある意味しょうがないと思う。その一方で、『アナザーストーリー』がチャンピオンを追うのは良いが、ひょっとすると「敗者の美学」を追ったほうがすごい番組になるかもしれないとも思った。
  • 今回は、誰もが想定しているメインストリームの話になっていた。次回以降、我々の予想外の裏話等、特に負けたほうへのアプローチももっとあればと感じた。
  • 「ライフ イズ ビューティフル」というのは、もしかしたら彼らの哲学なのかなとも思ったので、二人の漫才への思いをもう少し引き出していただけると、より良かったと思う。
  • オズワルドの緊張感をうまくとらえていたので、欲を言えば最終決戦に残ったインディアンスにも、同様の葛藤とか苦悩を描いたシーンが入っているとなお良かったと思う。
  • 今回特に、『M-1グランプリ』がすごく大きなエンターテインメントになったなと感じた。一方で、『M-1グランプリ』が大きくなり過ぎて、『M-1グランプリ』に出ることや優勝することが、芸人の目的になってきつつあるんじゃないかみたいな心配もある。

番組制作側から

  • 今回の『M-1グランプリ』は、エンディングで会場にいる全員が涙に包まれていて印象的だった。一緒に戦ったファイナリストたちも涙で錦鯉を祝福していて、優勝者がこんなに祝福されるのも珍しいと思った。『アナザーストーリー』では、その錦鯉がどんなコンビなのか、漫才にどういう思いを懸けているんだろうかというところを、主題として描きたいと考えた。
  • 今までは、『アナザーストーリー』だけが『M-1グランプリ』の舞台裏を描いていて、芸人たちの苦悩や努力など裏の部分を見せてきたのが番組のオリジナリティだった。ただ、他の番組も同様のものを見せるようになり、『アナザーストーリー』が、これからどういう強みを出していくのかが課題だと思う。

以上