第677回番組審議会 9月10日(金)開催
*朝日放送テレビ出席者と各委員をリモート会議システムでつないで開催
〔出席委員〕 井野瀬 久美惠 委員長、淺井 栄一 副委員長、 |
〔当社側出席者〕 山本 晋也 社長、 |
審議課題
フリートーク
『ジェンダー平等のためにテレビのできること』
委員の主な発言
- ジェンダー平等や多様性など、まだ日本がアップデートできていないところを広く知らしめるのはテレビの功績の一つだと思う。ただ、起きてしまった問題への批判は盛んでも、なぜそういう事態が起きるのかという検証に取り組む番組は少ないという印象がある。ジェンダー平等に取り組むことに関して、この国の意識がかなり低いことや問題の根が深いことから見ても、この理念をわかりやすく伝えるというテレビの役割は大きいと思う。
- 民放の夜のニュース番組では、女性のメインキャスターが増えてきて、ジェンダー平等を意識した番組作りもされてきていると感じている。一方で、各局の東京2020オリンピック・パラリンピック関連番組は、男性がメインで女性がサブという印象が強かった。テレビの影響力は大きいので、チャレンジングで新鮮、刺激的な形でのジェンダー平等・多様性を発信する番組作りを期待したい。
- アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)という点では、これを子どもの時から学んでいくべきだと思う。あるいは一緒に考えるというチャンスを作ることが大事だ。テレビも、何か貢献できないか工夫をしてほしいと思う。
- ジェンダー主流化という面では、番組制作過程の各段階において、ジェンダー視点から見て大丈夫かどうかを厳しくチェックしていくことも重要だと思う。
- 日本でジェンダー平等に関する意識の改革が遅れた原因のひとつに、テレビの長寿番組の存在があると思う。一部の子ども向けアニメは、番組開始当時の価値観のまま制作されており、今の時代にそぐわない点があると思う。これでは、当時のジェンダー意識が今の子どもに刷り込まれるということが起こりうる。小学校、中学校、高等学校の教育現場はジェンダー平等に寄り添う努力をしている。テレビも子どもたちに視線を合わせてシフトしていくべきだと思う。
- 若い世代ではジェンダー・ギャップは少なくなっている感じがする。問題なのは、私たちを含む中高年齢者層、つまりテレビをよく視聴する世代なのではないかと思う。この世代の視聴者に対し、何か気付きを与えることができるという意味で、テレビが背負っている役割はあると思う。
- テレビ業界全体が、自分たちが主体となってジェンダー平等を目指すという心意気があるかどうかがポイントだと思う。ジェンダー平等だけでなく、様々な多様性を認め合い、尊重しあう社会を考え、様々な社会活動をサポートするという姿勢があってもよいと思う。
- 放送で発信するコンテンツを作る人々の意識が変わらないと、ジェンダー平等にふさわしいコンテンツは作ることができない。テレビ局がどう本気度を示すかということが問われている。人々のためにとか、社会のためにとか、そういうことを提供していくのがテレビの使命だ。掛け声だけではなく固い決意を持って取り組んでほしい。
朝日放送テレビ出席者から
- テレビ局として、ジェンダー平等は重要なテーマだと認識して取り組んでいる。当社のSDGsプロジェクトである「アスミライプロジェクト」では、環境問題だけでなくジェンダーの問題も取り上げている。今後も環境問題だけでなくジェンダー平等や多様性など様々な取り組みをしていく。
- 番組の司会者が男性で、女性がアシスタントというスタイルも今は変わってきている。ドラマでも、多様な生き方を見せるものなど時代を反映したものが増えてきた。コンテンツ制作の現場でも、今までの固定観念を一つひとつ見直し、さらに意識を高めていくことが重要だと考えている。これからもしっかり取り組んでいく。
以上