第664回番組審議会 5月22日(金)開催

〔出席委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、淺井 栄一 副委員長、
岡村 邦則 委員、北川 チハル 委員、
小松 陽一郎 委員、高見 孔二 委員、
橋爪 紳也 委員、原 美和 委員、
星野 美津穂 委員

〔当社側出席者〕
山本 晋也 社長、
清水 厚志 取締役総合編成局長、小倉 一彦 取締役、
西澤 萌黄 コンプライアンス局長、
安田 武史 報道局長、佐藤 裕和 ニュース部長、
浅井 利紀 担当部長、星 信幸 事務局長、
石原 康男 事務局員、北本 恭代 事務局員

審議課題

『新型コロナウイルス報道について~ABCテレビだけでなくテレビ報道一般~』

委員の主な発言

<番組の評価点>

  • 環境が激変する中、日々番組を送り続けてくれる皆さまに、敬意と感謝、そしてエールを送ります。試行錯誤の毎日だと察します。今やっていることが正しいかどうかと悩むことも多々あるでしょうが、もとより正解などありません。確かなことは、皆さまの試行錯誤に励まされる視聴者がいるということです。
  • テレビはとても頑張っていると思っています。ニュース以外でも、編集など工夫もたくさん見られます。自粛生活の中でテレビは一番必要なものでもありました。
  • 新型コロナ関連のニュースに触れるのがつらいときに救いだったのが、「いつもみる番組」、例えば『おはよう朝日です』のレギュラー陣の姿。ソーシャル・ディスタンシングをとりながらも、なごやかな朝の顔にほっとした。
  • 各番組のスタジオで「ソーシャル・ディスタンシング」やリモート出演にしたのは適切だった。画面に映る姿は象徴的で、視聴者への良いアピールになった。
  • 『おはよう朝日です』が学校に行けない子供たちを意識したコーナーを作っていたのが印象的。生活のリズムをつくるためには、朝起きるのが基本なので、親子で見られることを狙ったコンセプトが効果的だと思う。
  • 今後も私たちが向き合わなければならない課題がなくなることはない。そのとき助けてくれるのが報道。特にテレビ報道は、画面を通して、出演者の顔や声、しぐさ、姿勢などを感じながら情報を得られるので、親しみやすい。今後も血の通った誠実な報道を期待している。


<番組の課題>

  • 地上波テレビの強みは、弱者に寄り添うこと。「優しく楽しいメディア」である地上波の使命が、今生かされているかどうか。この視点は絶対に外さないでほしい。忘れてはならないのは、「テレビの力はとても大きい」ということだ。だから何より、「正確に伝える」という基本をないがしろにしてはならない。
  • 報道機関は、「公平に取材して提供した情報の内容や価値については視聴者が判断するものだ」と思っているなら、それは間違いである。国民は「さまよえる子羊」であり、勇気づけることが不可欠であることを改めて認識してほしい。
  • 有事のときだからこそ、社会や人々に元気と勇気、笑顔をもたらすような情報・話題を、もっともっと発信してほしい。テレビはその力を持っているし、期待されている。
  • 報道機関は,国民がどのような気持ちで新型コロナウイルス報道を視聴しているのか、日々きちんと分析しているのであろうか。報道に「うんざりし、怒っている」ことをもっと実感して欲しい。報道機関はどこも金太郎飴的に、不安をあおり続けている。
  • 当初の報道は、大袈裟に伝えて、恐怖心、不安をあおっていると感じた。前向きになる情報、ポジティブな発信もほしい。
  • 初期に感じたことだが、確かな情報だと納得できるものが少なかった。それでも番組では大きく取り上げ、感情的にコメントを伝える出演者が目立っていた印象がある。なぜこれほど騒ぐのか、不安をあおっているのではないかと疑問がわく部分もあった。
  • 報道とバラエティの境界が曖昧な番組にあって、その分野における専門家ではないコメンテンターの発言の適当さに、腹立たしく思えることが何度もあった。専門性のないタレントや芸能人のコメントのなかに、多くの視聴者をミスリードする可能性があると危機感を感じた。
  • 自粛の街のリポートなどが「自粛警察」をエスカレートさせてしまったのではないか。例えば、河川敷でバーベキューをやっている若者たちを報じた際、その言い分をそのまま伝えることが嫌悪感を惹起し、「許せない!」となってしまった。同様なことはパチンコ店などでも言えたのではないか。
  • トイレットペーパーの品切れは、発端はまったくのデマだから、棚に物が「ない」映像ではなく、倉庫や棚に「ある」映像に絞っていれば最小限の品切れに抑えられたと思う。「在庫は十分にあります」というコメントはどの報道にもあったが、物が「ない」という映像のインパクトが勝ってしまい、不安を必要以上にあおってしまったと思う。
  • パチンコ店の名前を公表するのは自治体の考えで良いと思うが、テレビが、いかにも正義のように、店や客を放送するのはどうかと思う。

番組制作側から

  • 委員の皆さまからは「試行錯誤の日々だろうが、テレビに励まされる視聴者が必ずいる」「出口の見えない今だからこそ、テレビが頼りにされている」といった言葉をいただきました。視聴者への正確で素早い情報提供は、放送局の使命です。朝日放送テレビは、厳しい状況にある今こそ、自分たちの真の力を発揮するときだという気概を持っています。
  • 報道では視聴者が誤ることなく判断できる情報を発信すること。事実を事実として伝えることを心がけて放送しています。また、「キャスト」では、日常で何が起こっているのか、人々は何に困っているのか、それを乗り越えるための現場での取り組みについて、ライブハウス、教育現場、町工場、などの人に焦点を当て、具体的に描いていきました。
  • 報道現場では、大まかにスタッフを「2班態勢」にし、長期戦となった新型コロナウイルス感染の報道にあたっております。委員の皆さまのご意見、ご叱責をしっかりと受け止め、引き続き視聴者に資する番組作りに取り組んでまいります。

今回は、新型コロナウイルス感染防止のため、全ての番組審議会委員から書面で意見を提出していただき、朝日放送テレビからは報道現場の取り組みなどを回答する形で審議いたしました。

以上