第660回番組審議会 11月15日(金)開催

〔出席委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、酒井 孝志 副委員長、
淺井 栄一 委員、岡村 邦則 委員、
北川 チハル 委員、小松 陽一郎 委員、
高見 孔二 委員、星野 美津穂 委員、
道浦 母都子 委員

〔当社側出席者〕
山本 晋也 社長、
緒方 謙 常務取締役、清水 厚志 取締役総合編成局長、
西澤 萠黄 コンプライアンス局長、
藤田 貴久 報道企画部長、田村 雄一 ディレクター、
星 信幸 事務局長、石原 康男 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

医者のいる島・いない島~超高齢社会へのメッセージ
<事前視聴 2019年10月14日(月・祝)午後9時55分~10時55分放送>

委員の主な発言

<番組の評価点>

  • 撮影されている人とディレクターとの距離感が近く、よく撮れていた。島の人々の表情がすごく明るく、医師がいることへの安心感が番組を通して伝わってきた。
  • ドキュメンタリーというと眉間にしわを寄せて見る感じがあるが、今回は軽いタッチですーっと頭に入った。放送された時間帯が深夜や早朝でなかったのも良かった。
  • 楽しく見ることができた。ディレクターが一眼レフカメラで撮影したというが、映像も良くて紀行番組としても楽しめた。
  • ものすごく心温まる良い番組だと思った。出てくる島のお医者さんも優しいし、研修医の人も、先輩医師を横で見ていて「こういう仕事も良いかな」と思っているかもしれない。診療船の医師もおじいちゃん、おばあちゃんに方言で話しかけるなどすごく優しさを感じた。
  • 国の負担する医療費が増えている中、どうすれば良いかという一つのキーワードとして予防医学を扱ったのはとても価値のあることだ。
  • 取材対象者との信頼関係を持つのは大変だと思う。今回の番組は、撮影される人々と近い距離感で信頼関係を築いてきちんと映像に収めていた。共感をしっかりしていた。そこがよくできていてすごい。
  • 離島とか無医村の問題とかで出てくる人の多くはお年寄りなので、高齢化の問題や自宅で死にたいという話もある。そういう意味では、現代をうまく切り取っていたと思う。
  • ディレクターが『新婚さんいらっしゃい!』の担当をしていた時に渡名喜島に医師が一人しかいないことに気が付いたとか、『新婚さん』に出演された方から診療船の船長になったと便りが来たとか聞き驚いた。『新婚さん』の縁からこの番組が生まれたのはすごく良いことだと思った。


<番組の課題>

  • 2025年問題といっても医療以外にも社会保障や介護とか範囲が広い。1時間という時間の中では紹介レベルで終わってしまった。もっと深掘りする構成もあったのではないか。
  • 総合診療医や、予防医学の大切さも知ることができ良い番組だったと思うが、冒頭の「2025年問題の解決」というのとは違和感があった。リンクしていないと思う。
  • 2025年問題を話すときに、もっと医療費の具体的な話があっても良かったのではないか。
  • 離島の医師というと『Dr.コトー診療所』を思い出す。総合診療医も予防医学も20年くらい前から重要性を言われていた。それを2025年問題と結びつけたところがミソだが、今一つ咀嚼ができていなかったと思う。2025年問題がちょっと浮いてる感じがした。
  • これは、都会に住む人の2025年問題なのかとモヤモヤする気分だった。総合診療医と言われても一人のお医者さんがあれもこれも診てくれるのは、田舎では当たり前で昔も今も変わらない。それを新しい医療の形と言われてもピンとこなかった。田舎に住んでいる人間としては、現状を映されただけで、問題解決についてのメリットがそれほどないような疎外感みたいなものを感じてしまった。
  • 冒頭から「2025年問題」と構えるより、島の人々の様子をまず見せてから、実はこれが2025年問題にもつながっているという逆の展開のほうがよかったのではないか。

番組制作側から

  • 今回、2025年問題という大きな問題を取り上げ解決策を見つけようと、総合診療医、予防医学などを軸に離島を取材した。解決策をドーンと打ち出せれば良かったが、なかなか簡単に解決できる問題ではないと感じた。
  • 診察で患者さんに撮影の許諾をお願いするので、大きいカメラがあるとどうしても皆さん嫌がるのではないか、生の声、本当の声が聞けないのではないかと思い一眼レフカメラの動画モードで撮ることにした。ディレクターの私がカメラを首から下げて撮影し、撮影対象者との距離感を縮めて撮ろうと意識した。
  • 構成も自分で考え、ロケも一人で行き、編集も仕上げ以外は全て一人でやろうと決めて作った。

以上