第658回番組審議会 9月13日(金)開催

〔出席委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、
淺井 栄一 委員、岡村 邦則 委員、
北川 チハル 委員、小松 陽一郎 委員、
高見 孔二 委員、橋爪 紳也 委員、
星野 美津穂 委員、道浦 母都子 委員

〔当社側出席者〕
山本 晋也 社長、
緒方 謙 常務取締役、清水 厚志 取締役総合編成局長、
西澤 萠黄 コンプライアンス局長、
安田 武史 事務局長、石原 康男 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

フリートーク
『“少子超高齢時代”におけるテレビの使命』

委員の主な発言

<テレビ局の使命は不変ではないか?>

  • テレビの使命は、「公正」で「中立」、「正しい情報を迅速に」がまずあって、さらに「感動する」とか「元気になる」等がある。いつの時代も不変の使命だと思う。多くのメディアの中から「朝日放送テレビだから選ぶ」と言ってもらうには長年に渡って培うブランドが大事。
  • 少子高齢に関係なく、テレビの使命を問われると視聴者に優しいこと、人のためであること、社会のためであること、信頼性、確実性・・・。そして何よりテレビは楽しいもの、笑顔が作れるもの。テレビの使命とはそういうものだと思う。
  • 5Gが普及してNHKが同時配信を始めると、通信と放送の区別は基本的になくなる。高齢化というテーマには直結しないが、多くのネットメディアが家庭の受像機で見られる時代に生き残っていくためには「信頼」と「共感」が大事だ。
  • いまだにヤラセ問題があるなどテレビの信頼感が落ちているのではないか? 若い人から「最近のテレビは、ウソか本当かわからない」という声も聞いた。結局は番組の「質の良さ」が大事。
  • ジャーナリズムの弱さが今の日本を作っているような気がする。昔スクープといえば新聞だったが、今は週刊誌。テレビも新聞もそれを追いかけている。
  • テレビを作る側のレベルが落ちていないか?最近は、情報を押し付けるような番組が多いが、もう少し視聴者に頭を使わせても良いのでは。もっと知的好奇心をくすぐる番組を作るべき。


<テレビは、家族の一員>

  • 少子超高齢の時代は、孤独な時間を過ごす人が増えテレビには癒しのようなものがより求められるようになると思う。「ポツンと一軒家」が高視聴率なのは、癒しの効果が高いからだと感じている。
  • テレビは情報のプッシュメディアの代表格。ネットより楽に情報が得られる。高齢化が進むと人は楽な方に進むと思う。
  • 映像を映す装置としてのテレビは、すぐには無くならないと思う。家のテレビが壊れた時のことだが、普段テレビを見ながらスマートフォンをいじっている子供たちも「何ともいえない静寂には耐えられなかった。テレビはいつもついているものだから」と言っていた。放送かどうかは別にして、テレビが家族の一員になっているみたいだ。
  • 今まではテレビを厳選して見るタイプだったが、今は寂しくてすぐテレビをつけてしまう。家族の一員というか「そこにいて欲しい」という気持ち。テレビの向こうに生命を感じるというような感じか。
  • 私もテレビをつけっぱなしにしていないと寂しく感じる。何を見ているかというと生放送の通販番組が多い。何かが買いたいのではなく、生放送なので、テレビの向こう側に今、人がいるというのを感じたいから。こんなテレビの使い方もしている。
  • 年配の方は、今は見られない懐かしい昔の話や映像に感動したり引かれたりする。「ポツンと一軒家」に人気があるのは、そこで生活をなさっている皆さんの多くが、昔の生き方を堂々となさっておられる様子にみんなが引かれるからではないか。そのほかに訪日外国人を通して日本の良さを発見する様に、テレビから「感動」「発見」を得られたら元気が出る。


<未来への課題>

  • 視聴率の指標で視聴者層というものがあるが、50歳以上すべてをひとくくりにしている。新しい分類を作ってはどうか。高齢者の中身もかなり多様性があるのでもっと調査して対応すべき。
  • 増える高齢者と減る若者層、この二つへそれぞれ違ったアプローチをするのはよく分かる。ターゲットは絞ったほうが良いと常々思っていた。「家族」や「みんな」ではなく「誰に」だと思う。これは年齢や性別だけでなく「どこに」と地域も限定して良いと思う。
  • 技術の進歩が著しい。凄いスピードで変化が起きている。例えば、今の状況で2050年など考えても今とは比べ物にならない技術や発想があるだろう。「テレビの使命とは何か?」は、その都度、明日のこと、来年のこと、そこを考えていくべきだと思う。
  • 21世紀は世界中が少子超高齢時代になる。日本はその時に課題の先進国ではなく、課題解決の先進国になっていなければならない。新しいビジネスモデルやアイデアを世界に先駆けて出すチャンスだと思う。
  • テレビも、新しい使命を作り出さなければならない。かつてテレビは「放送は文化だ」と言ってきた。テレビは新しいコンテンツを生むだけではなくて、メディアイベントを起こし放送することで新しい文化を作り出す力があった。テレビの新しい役割として、教育の現場など様々な分野で自ら使命を切り開いていくべきだと思う。

番組制作側から

  • 他局だが、もう起きないだろうと思っていたヤラセがまた起きていた。ABCテレビでは、問題をきっちり現場に伝え気を引き締めていきたいと思います。
  • ABCテレビでは昔から「ABCは知的好奇心を追求する会社であれ」と言われてきた。今までの歴史の中でそういう番組を数多く作ってきた。テレビの大きなテーマとして「知的好奇心を持ち続けてものを作ろう」というDNAがABCテレビにはあると自負しています。

以上