第623回番組審議会は3月11日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。

〔委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、酒井 孝志 副委員長、
道浦 母都子 委員、星野 美津穂 委員、
橋爪 紳也 委員、淺井 栄一 委員、
高見 孔二 委員、小松 陽一郎 委員、
池内 清 委員

 

 

〔当社側〕
脇阪 聰史 社長、
松田 安啓 常務取締役、緒方 謙 取締役、
岡田 充 編成局長、木村 光利 コンプライアンス局長、
大幸 雅弘 テレビ制作部長、柴田 聡 プロデューサー、
小城 修哉 ディレクター、
橋本 祐子 ラジオ局長補佐、
戸石 伸泰 事務局長、野条 清 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

『雨上がりの「Aさんの話」 ~事情通に聞きました!~』
<事前視聴 2月23日(火)午後11時17分~12時17分放送>

番組の良かった点

  • 海原やすよさんとともこさんが大好きで、それにケンドーコバヤシさんと雨上がり決死隊のお二人がパネラーとなれば最強のメンバー。番組を見る時はキャスティングが大事で、「この人たちが出ているのだったら見よう」と思う。
  • こういうバラエティは大好き。最初にお題(例:「最高においしい中華料理を食べたければ、お店に電話して『ナポレオンありますか?』と聞け」)が紹介されて、パネラーが「何でやねん!」と突っ込むところから、何かクセになりそうな気がした。
  • 冒頭にある「本日のメニュー」の惹きつけるお題が良い。大体ハテナなお題がついていて、それがすごくうまくオチに行き着いていると感心しながら見た。
  • 危機管理の事情通が述べた記者会見の切り抜け方で、「お騒がせして申し訳ありません」や「誤解を与えて申し訳ありません」という謝り方は良くないというのは勉強になった。相手に与える印象の問題で、普段の謝り方、コミュニケーション術にも通じる話だった。
  • こういう番組は、「得した感」と言うか、「これを知って良かった」ということがあると、視聴者としてはとてもありがたい。ただ、全体的にいうと、結論がないのがこの番組の結論かなという感じもした。
  • 事情通の人がマニアックな部分で、「他の人がどう言おうが、私はこうだ」と言い切るのは結構面白い。例えば『アメトーーク』の「ガンダム芸人」のような。この番組も、そのようなヒット企画が出て、繰り返すようになれば、積極的に見られるようになるだろう。

番組の課題

  • 雑学とか話のネタとして面白いが、一方で「ホンマかな?」と思ったりするところがあった。例えば「関西一中華料理の知識を持っている」Aさんは、何をもって「関西一」と言うのか、変にひっかかった。
  • 面白いが、欲求不満が残る。Aさんという事情通がものすごく変なことを言っても構わないが、どこかに納得感がないと。つまり「へぇ~、ホンマなんや」と思わさないと。ものすごく面白い番組になる気はするが、まだ良いのと悪いのがゴチャゴチャになっている。
  • 深夜帯に、情報とバラエティの両面がある番組が最近多い。最初に出されたお題をVTRで検証していくが、最後は「検証できません」とバラエティ的に投げ出すタイプと、割とキッチリ答えるタイプがある。この番組は後者。ただ話によって、「情報を得た」という時もあれば、「よくわからなかった」という場合もある。その辺の狙いはどうなっているのか。
  • 始まったばかりの番組で、まだ定着していないのではというのが率直な感想。パネラーの5人はすごくうまいが、あまりはじけた感じがないし、テーマによっては途中まで面白いのだが、最後に尻すぼみになっていた。
  • 中華料理の話で、「香港に近づこうとしている人」の料理が美味しいという結論だったが、そういう人を私たちはどうしたら見つけられるのかと思った。パネラーの5人がもっと視聴者の代わりに疑問を投げかけ、答えが出てくるような形にならないか。
  • 週刊誌の話で、ホテルのドアの隙間からの盗聴とか、テレビ局のスタッフが金銭目当てに情報を流すとか、本当かどうか知らないが、そういう話をテレビで流すのはどうなのか。そういうネタが出てくるのなら、テーマに選ばなかった方が良かった。
  • パネラーの5人は安定しているが、それ以外の一部の出演者が、手元の原稿ばかり見ていて、しっかり準備していないように感じた。
  • どんなネタを探してくるのか、どこからAさんを見つけてくるのかに興味がある。番組として、Aさんをどういう風に探してきたか、その苦労話も見せれば、更に深みが出て面白かったのではないか。
  • 番組の鍵は、何をテーマにするか、調査員が誰か、どんなAさんかの掛け算にあると思う。面白そうなネタはたくさんあるので、うまく組み合わせれば。「Aさんの話」と言われた途端に身を乗り出すところがあり、立てつけは非常に面白いと思うので、中身をもう少し練っていけば良いと思う。

番組制作側から

  • 新聞や雑誌によく出てくる「関係者Aさんによると」のAさんから、私達の知らない有益な本当の事情を教えてもらおうという番組。40歳以上の5人のパネラーに対して、彼らを追いかけている30代の芸人が調査員としてプレゼンテーションする、要は番組の裏回しをする構成にしている。
  • 調査員のキャスティングに関しては、こういうことを一度もやったことがない人を起用しようというのがある。どうしても出る人が決まってしまうので、新しい人はいないか、挑戦してやってみようとしている。
  • 情報の羅列にはならないようにしたいと思い、裏事情を積み重ねていきながら、「風が吹けば桶屋が儲かる」風に、初めのお題から全然違うお題に達する、点と点が結びつくというようなことを目指している。
  • Aさんをどう選ぶかが鍵だと思っている。専門家になると、『ビーバップ! ハイヒール』のようになってしまうので、専門家ではなく、体験が多いとか、正面ではないとか、そういうところを狙っている。例えば病院の話の時に、病院のリネンを洗濯しているクリーニング店の人に聞くとか。そして、「この人から見たら、この情報はこう見えている」ということを提案したいと思っている。
  • テーマをどう選ぶかに関しては、基本的には昨今、起きていることから引っ張りたいと思っている。週刊誌の話に関してはまさにそれで、週刊文春がスクープを連発したので。別の週に新幹線をテーマにしたが、これも北海道新幹線の開通に絡んでのこと。
  • 情報過多の時代、情報の並べ方次第で見え方が決まってしまう。この番組では、ある情報に関して、「こういうプロセスで見たら、こう見えますよ」というのを提案しているつもり。情報リテラシーを高めるということも番組の目的の一つにしたいと思っている。

以上