第622回番組審議会は2月12日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。

〔委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、道浦 母都子 委員、
星野 美津穂 委員、橋爪 紳也 委員、
淺井 栄一 委員、高見 孔二 委員、
池内 清 委員

 

 

〔当社側〕
松田 安啓 常務取締役、緒方 謙 取締役、
木村 光利 コンプライアンス局長、
上来 均 報道番組担当部長、山口 正樹 プロデューサー、
森川 亜紀 ディレクター
戸石 伸泰 事務局長、野条 清 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

『キャスト』
<事前視聴 2月4日(木)午後4時58分~7時放送>

番組の良かった点

  • キャスターの浦川泰幸アナウンサーのさわやかで肩の凝らない進行はこの時間帯にぴったり。そして、関西中心のニュース等に特化している内容は朝日放送ならではで、地域活性に大いに寄与している。浦川アナウンサーは、関西人特有の、人を引きつけ、場を盛り上げる力を持っており、将来益々有望な感じ。
  • ニュース番組というより情報番組かワイドショーというイメージだが、夕方の番組を見ている人は主婦やお年寄りが多いだろうから、なるほどと思った。扱っているネタも基本的に関西ローカルで、身近なもので、季節感もあるし、よくできていると思った。
  • リニューアル前と比較すると、外に出ていくロケは元気があって面白い。リポーターの斉藤雪乃さんも、鉄道以外のテーマでやってもよくはじけるし、ミサイルマン西代さんの中継コーナーも良い。
  • 「いきなり! 出口調査」の心斎橋スイート戦争も面白かったし、翌日の「金曜中継 土日にGO!」でも京都のチョコレート特集を取り上げ、二日連続で同種テーマを取り上げていたのは圧巻。
  • 種々の日替わりコーナーがあるのは視聴者を飽きさせない。
  • この日は、清原元プロ野球選手逮捕のニュースを取り上げていたが、たまたまコメンテーターのココリコ遠藤章造さんが元高校球児だったことや、刑事問題にも強いジャーナリストの大谷昭宏さんも登場していたことから、他の報道番組より遙かに深みが出ていた。
  • 新聞も一緒だが、大阪という場所で作っていると、必ず「東京の全国ニュースをどうするか」という問題が出てくる。今回の清原元プロ野球選手逮捕は全国ニュースだが大阪人だ、シャープも全国ニュースだが大阪本社だということで、『キャスト』で本記も、サイドも、解説もやっていた。非常によくできていて、こうなると1部・2部の間に入ってくるテレビ朝日発の『スーパーJチャンネル』は要らないのではないかと思う。
  • テレビ朝日発の『スーパーJチャンネル』による番組途中分断はやむをえないし、前後半のコンテンツの配分も特に違和感はない。
  • 朝の番組と夕方ニュースの番組帯は各局とも同じことをしているので、それだけに視聴率競争で勝って欲しいし、勝つことに意味があると思う。だから、『おはよう朝日です』の内容告知をするなど互いに連携するのは良いことだと思う。
  • スタジオの背景等をオレンジ色で強調しているのが良い。オレンジ色は、「元気」「明るい」等のポジティブな印象を与えるので、「忙しい夕方にやさしいニュース」を目指す『キャスト』のコンセプトや、「家族をつなぐエンターテイナー」を標榜する朝日放送に直結させる訴求力を持っていると思う。画面左上に時刻表示をしているのもちょっとした気配りが出ていて好感を持った。

番組の課題

  • もっと『キャスト』らしい構成を打ち出して欲しい。他局のニュース番組とどこが違うのかと言われた時に、「『キャスト』はこれが目玉だ」というのがなかなか説明できない。
  • 『キャスト』はニュース番組だが、ワイドショー的になっているのか、でもワイドショーでもないから、どっちつかずのような感じに見えるのが気になる。
  • 非常に激戦区の中で、『キャスト』は入り口でつまずくのではないか。『相棒』の再放送が4時58分までやっている。他局のニュース情報番組は1時間以上早く始まっている。『相棒』を見ない人は他のチャンネルにしてしまう。
  • ウイークデーの夕方の忙しい時間帯なので、その日取り上げる話題は何かを番組の最初や途中で、何時頃かも含め、こまめに表示するような工夫があるとありがたい。
  • 浦川泰幸アナウンサーはアンカーマンっぽくなくて、最後にきついコメントとか、見解が強くないので、ニュースを見ている立場としてはスッと入ってくる。逆に言うと心にひっかからない。良い悪いではないが、そういう印象。
  • 浦川アナウンサーはこういう番組にものすごく合っている人だと思う。彼は、本当は必ず何かひとこと言いたい人。そこを抑えているのではないかという気がする。彼らしさがもうちょっと出ても良いのかなといつも思う。
  • サブキャスターの塚本麻里衣アナウンサーは、うなずいているだけでなく、結構面白いひとことを言う。浦川アナウンサーとの連携が深まると、『キャスト』は、二人がメインで、ものすごくうまくニュースを切っているという感じがしてくると思う。
  • 「芸能クィーン」は、この日は出演しなかった井上公造さんから聞いたニュースを塚本アナウンサーがやっている。二次的ニュースみたいで、果たして「芸能クィーン」は必要なのかと思う時がある。
  • 清原元プロ野球選手逮捕のニュースで、コメンテーターが「清原元プロ野球選手は逮捕されるつもりだった」と言っていたが、本当にそういうことがあるのか、根拠はあるのか、コメンテーターだけの見方だったのか、すごく大きなことを言ったと思うが、さらりと流れた気がする。
  • 「天ぷら油で発電する話」や「宅幼老所の話」など非常に良い企画だと思うが、スタジオに戻った時のコメントに専門性があまりなかった。そのコーナーだけ専門家を呼べれば良いのだろうが、せっかく良いVTRなのに深掘りができていないと感じた。
  • コメンテーターはすごく大事。近年、朝日放送だけでなく、芸人がニュース番組によく出ているが、何のために起用しているのか、人気取りのためなのかと思うことがある。彼らに好感は持っているが、ニュースについて答えさせるのはどうか。
  • ニュースについては専門家の話が聞きたい。あまりメディアに登場していない専門家もたくさんいると思うので、そこを見つけて、『キャスト』として素晴らしいコメンテーターを出して欲しい。
  • キャスターはじめ、登場する人の食べる場面が多いように思われる。評価は色々あろうが、少し陳腐ではないか。
  • 「スイーツ特集」は店を紹介しているだけだと感じた。同じ『キャスト』でも別の日に、最近は男がチョコレートを買うという「チョコ男」という切り口で紹介していた。このような「へぇ~」という切り口や、ニュースやネタを選ぶ時の線引きが大事。それが『キャスト』らしさを作っていくのではないか。

番組制作側から

  • 2011年秋に始まったニュース情報番組。2013年秋、生活情報の枠を拡大する方向でリニューアルした。生活に資する情報とニュースは両輪だと考えている。去年春からは、浦川泰幸アナウンサーが新キャスターに就任し、「忙しい夕方に、やさしいニュースを」というキャッチフレーズに基づき、主に主婦層に向けて、わかりやすいニュース情報番組を目指している。
  • 番組は午後4時58分スタートの1部と午後6時15分からの2部に分かれ、その間に約20分間、テレビ朝日からの全国ニュース『スーパーJチャンネル』をはさみこむ形になっている。
  • 火曜日に「浦川泰幸のゲンバ検証」というコーナーをやっていて、浦川アナウンサー自身がフィールドに出ていくという、彼のパーソナリティに沿った企画をやっている。ペットの長寿問題や介護問題など、彼自身が直面している問題を取材し伝えることによって、視聴者に対してファミリー感というか、親しみを醸成していく、今はその過渡期にあるのかなと思っている。
  • 『キャスト』らしさとは何かというのは、日々考えている。ニュースやネタの選び方より、コメンテーターやキャスターの、スタジオで振ったり受けたりする部分で違いを出していかないといけないのだろうと思っている。そういう意味で、確かにタレントの役割は難しいのだが、スタジオの空気を明るくするとか、主婦に親近感を持ってもらうという雰囲気作りには貢献してもらっている。
  • ニュースは、喜怒哀楽のうち、怒りや悲しみの部分が結構多いと思うが、視聴者の中には既に悲しみを抱えている人がいるかも知れない。そういう時に、逆に明るいニュースを伝えたい。喜怒哀楽をできるだけ共感して、見ている人に寄り添うような形を深めたい。

以上