第620回番組審議会は11月13日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。

〔委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、酒井 孝志 副委員長、
道浦 母都子 委員、星野 美津穂 委員、
橋爪 紳也 委員、高見 孔二 委員、
小松 陽一郎 委員、池内 清 委員

 


 

〔当社側〕
脇阪 聰史 社長、
松田 安啓 常務取締役、緒方 謙 取締役、
岩田 潤 編成局長、岡田 充 コンプライアンス局長、

今村 俊昭 制作局長、藤田 和弥 東京支社制作部長、
郷田 美雄 プロデューサー
戸石 伸泰 事務局長、野条 清 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

『チア☆ドル』
<事前視聴 10月17日(土)深夜0時45分~1時15分放送
      10月24日(土)深夜0時45分~1時15分放送>

番組の良かった点

  • 最近は、深夜から興味深いドラマが続々と出てきている。例えば『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系列)や『トリック』(テレビ朝日系列)など。制作サイドとしては非常に大事なドラマ枠だと思う。
  • 7年振りにオリジナルの連続ドラマにチャレンジしたことが非常に素晴らしい。テレビで放映する前から、ニコニコ動画やホームページに映像を出して、コラボレーションしながら皆の興味を引いているのも良い。
  • この番組の一番の肝は、ニコニコ動画とのコラボレーションだと思う。Web上での様々な仕掛けは、アイドルをテーマにした本番組に大きなシナジー効果があると思う。Web上では「チアドル」の話題で盛り上がっており、今後テレビ放映が続くとともに、より一層拡大していくと思う。関西以外のアイドルファンにもWebを通じて広がっていくだろう。
  • 土曜深夜の時間帯の企画として、「アイドル」をテーマにたことが成功だったのでないか。アイドルファンにとっては、次世代ヒロインとして注目を集めるキャスト陣ということだけでも垂涎の番組。そして、この番組でメジャーアイドルとして育っていく彼女たちの姿に共感を覚えるとともにファンになっていくということも計算された企画なのだろう。
  • 売れないアイドルグループがメジャーアイドル目指していく姿を通じて、「頑張ればできる」「頑張れば夢がかなう」をキーワードに、視聴者に元気と勇気と笑顔を与えるものだと思う。
  • ローカルアイドル、地下アイドルのパロディとしては非常に良くできている。普通の人たちがアイドルを演じる世界で、地下アイドルはそもそもオーラがない。その辺りのアイドルのことをよくわかっている人にとっては、コンセプトがわかりやすいのではないか。
  • チアガールはとても健康。ドラマの女の子たちはとても不健康。しょっちゅう吐き気をもよおす女の子に象徴されるように、健康なアイドルも表だけなのかも知れない、「裏では大変なんだよ」ということも言っているのかなと思った。

  • すごくシャビイ(わざとみすぼらしく、古めかしくすること)で、たぶんテレビで見るよりもデジタルで見るように作ってあるのではないか。そう考えると非常にカンファタブル(快適)。結構新しくて、すごく軽い気分で見られて、視聴者が作家かプロデューサー気分になれる番組ではないか。

番組の課題

  • アイドルの女の子たちや事務所の社長、3人しかいないファンといった登場人物が皆ネクラで、ドタバタ劇だが、正直あまり笑えなかった。
  • 普通は、ああいうアイドルの中にはオーラが出ている子がいるのだろうが、誰からオーラが出ているかわからない。
  • 全然、現実感がない。色々なファンタジーでも、吉本新喜劇でも、その世界の中では現実感があるが、それもないような気がした。
  • 小心者の皐月が決まった時間に吐き気をもよおすという設定は、視聴者にとってあまり気持ちの良い演出ではない。
  • 女の子たちの生育歴などがあまり描かれておらず、どういう子たちが集まったのかがわからない。そこが際立つと、それぞれの個性がもう少し見えたのかなと思った。
  • 大阪色を出さなくて良いのか。何らかのバックストーリーなどで大阪を意識すべきではないか。チアの全国大会は大阪城ホールが最終決戦の場で、各学校の憧れの場になっている。ところがドラマの決戦の場は東京のようなので残念。
  • チアは素人の女の子たちがオーディションで選ばれ、3ヶ月間猛特訓してドラマで披露するということなので、もっとNGシーンとかメイキングなどのドキュメントを入れた方が良いのではないか。やろうとしている試みとドラマの出来との間に違和感があった。

  • これは、女の子たちが本当にスターになれるのかを見て楽しむドラマ。そうすると、もっとドラマと現実を混ぜこぜにした方が良いのではないか。例えばAKBの選挙ではないが、登場人物のファン投票を視聴者にさせるとか。そういう応援によって本当にスターになれば、若い人があまりテレビを見ない時代に、番組からアイドルが生まれたと話題になる。
  • Webとの連携の仕方はもっと工夫が必要。Webだけではなく、BSやCSとの連携も非常に大事。地上波のドラマをBSで見て、ネットでも見るという風に、同じコンテンツを繰り返し見ることが最終的にDVDの売上につながっていく。そういう複数放送に耐えられるようなコンテンツを作っていくことが大事。

番組制作側から

  • アイドルを目指す女の子たちが競技チアというスポーツと出会い、友達の大切さや頑張ることの喜びなどを知って、ちょっとずつ変わっていくという、いわゆる王道の青春ドラマ。
  • チャレンジの許されるドラマ枠だったので、敢えてオーディションをしたら、まだこれからの女の子たち1,000人以上の応募があり、そこから出演者を選んだ。収録開始前の3ヶ月間、演技のトレーニングとチアの練習をしてもらい、その中で友達と協力することの喜びも実際に経験してもらい、我々は我々で、最近の女の子たちの感性や考え方をできるだけ吸収して脚本に反映し制作した。
  • 今回、一番テーマにしたのはWebとの連携で、オーディションが終わった時点でニコニコ動画にチャンネルを開設し、女の子たちの練習風景やバックステージ、プロフィールなどを紹介した。テレビ放送が始まったら、ニコニコ動画以外にテレ朝動画等でも無料動画放送を行っている。Webと連携できることで、全国でも見られる、世界中で見られる。今までのローカル番組の枠組みが全国ネットの番組と変わらない感覚になっている。

以上