第604回番組審議会は4月11日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。
〔委員〕
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〔当社側〕 脇阪 聰史 社長、 松田 安啓 常務取締役、梅田 正行 取締役、 岩田 潤 編成局長、太田 充彦 広報局長、 岩城 正良 制作局長補佐、 矢澤 克之 プロデューサー、 戸石 伸泰 事務局長、野条 清 事務局員、 北本 恭代 事務局員 |
審議課題
ハイヒール結成30周年記念「ビーバップ!ハイヒール ガラパゴス 奇跡の動物たちと共演スペシャル」
<事前視聴 3月30日(日)午後3時30分~5時25分放送>
番組の良かった点
- 旅番組は好きでよく見るが、街を歩いて、観光名所を見て、美味しいものを食べて、お土産を買ってという普通の旅番組ではなくて、ハイヒールの二人が掛け合いをしながらやっていくのが、自分も知らないうちに行動を共にしているような感じがして楽しかった。
- ハイヒールは掛け合いが素晴らしいし、しかも女性コンビなので全体に温かさ、やさしさがある。その延長線で「自然環境を守りましょう」という方向にうまくつながっている感じがした。
- リンゴさんが、アシカ親子が歩いてくる横で寝ているシーンで、咬まれないかとドキドキしたが、人を危険なものと思っていない動物たちの存在に感動した。
- ガラパゴス諸島のイメージが全く変った。自然遺産とか、人が行けない場所というイメージだったが、プエルト・アヨラという街に3万人が住んでいるとか、大学やリゾートホテルがあるとか、観光地化しているのにびっくりした。これで本当に自然遺産を守れるのかと思った。
- ガラパゴスが現代に、ある一定の約束事を守りながらのツアーの土地として進化しているのを見たのは面白かった。
番組の課題
- 動物の資料映像が出てきたのでレギュラーの「ビーバップ! ハイヒール」のような科学的テイストかと思ったら、美味しいものを食べたり、ペンギンと泳いだりしているので「どっちやねん」と。今回の番組は完全に「ビーバップ! ハイヒール」の番外編で、コンビ結成30年のお祝いで大喜びしているというので良かったのではないか。そこを分けておかないと、見ていてウロウロする。
- バラエティなのか、感動を求めようとしているのか、どっちつかずになっていた。タイトルを見て、素晴らしい出会いがあって感動するのだなと期待したが、最後にハイヒールの二人がペンギンと一緒に泳ぐシーンも思ったほど感動しなかった。ペンギンと泳ぐことが夢だったということの事前の盛り上げが弱かった。
- ハイヒールのリンゴさんが行きたかったガラパゴスだが、何故なのかがもう少し伝わってきたら良かった。でも、どこに行っても、ハイヒールの二人はパワフルで、エネルギッシュで、それに一番驚いた。
- ガラパゴス諸島は大陸から千キロ離れているので生物が固有の進化をしてきたというが、地球上には他にそんな場所がないのかと思った。また固有種が他所の同種の動物とどのように違うのかと思った。それらを学者のコメントなどでもう少し説明して欲しかった。
- 同じガラパゴスがテーマの「ビーバップ! ハイヒール」のレギュラー番組(4月3日放送)の方が面白かった。ダーウィンの生い立ちや「種の起源」の世に出たドラマなどがうまくまとまっていた。
- BBCの資料映像が素晴らしすぎて、独自映像との間に違和感があった。説明的な部分の資料映像の入れ方に工夫があった方が良い。また、もう少し地元の人のインタビューや、地元の人との関わりなどがあっても良かった。
- タイトルの「奇跡の動物たちと共演」とはどういうことなのかと思った。「動物と共演」という割には、番組の半分は街の紹介などになっていた。
- 特に驚いたのは、プエルト・アヨラ市の光景。こんな街があるのを全く知らなかった。この街には子どもが多いとハイヒールが鋭く指摘していたが、その答えが「小学校から大学まであるから」では成り立っていない。何故なのだろうか。また、汚水処理や飲み水の問題はどうなっているのか。都市問題をもう少し丁寧に説明して欲しかった。
- エクアドルは治安の悪さが有名で、新婚旅行中の邦人が銃撃されて一人が亡くなっているが、番組では触れていない。治安関係の情報が欠落したまま日本人観光客を増やすことにつながるのではないか。
- 太陽の博物館での流し台を使ったコリオリの力の実験(排水口の渦の回転方向が北半球と南半球で逆になる)は観光用の見世物だろう。本物のコリオリの力は、台風のような大きなもので見られる力。これはあちこちで指摘されていることなのに、何故わざわざ撮影したのか。
- 世界遺産が大事ということをいうのであれば、最後の植樹のところをもっとしっかり伝えた方が良かった。現地の子どもたちと一緒に植えるなどして「ガラパゴスを守るために我々も協力しましょう」というメッセージ性が最後に出れば良かった。
番組制作側から
- 2005年の「ビーバップ! ハイヒール」放送開始当初から、MCのリンゴさんは「いつかガラパゴス諸島に行ってみたい」といい続けてきた。その夢に応えようと、1年前から準備を始め今年2月にガラパゴスでのロケを敢行した。
- 当初の企画意図として、日曜午後は旅や食に興味を持った視聴者が多いだろうから、基本は旅番組として楽しんでもらうようにして、「ビーバップ! ハイヒール」のレギュラー枠でガラパゴスと進化論の関係など本格的にやりたいことをやろうと棲み分けた。また特番をきっかけにしてレギュラーの視聴者を増やせないかという意図もあった。
- 資料映像の問題は、例えばアオアシカツオドリの求愛シーンなどはさすがに限られたロケでは撮れないし、かといってナチュラリストガイドの説明だけで終わるのも視聴者に不親切なので使用した。BBC映像と独自取材映像では全然違うというジレンマは抱えていて、放送前日の朝方まで悩みながらの編集だった。
- コリオリの話は、科学的にあの現場であのサイズで渦ができるのはおかしいとされているので今回悩んだが、旅番組として現地でハイヒールがどうリアクションするかを映し、それをきっかけに本来のコリオリの力を解説するという形にしたつもりだった。
- 日本人夫妻が襲われたのはグアヤキルというキトとは離れた街。とはいえ我々も警戒してガードマンを雇ったが、実際キトに行ってみたら意外に普通の観光地で、思っていたほど危険ではなかった。
- 今回のロケでは、なかなか見られない場面が撮影できた。陸イグアナが餌のサボテンを食べる場面やガラパゴスペンギンと出会えたことなど。ハイヒールの二人は、よくまあこれだけロケで奇跡を起こすなという作り手の思いが、番組タイトルに反映している。
以上