第596回番組審議会は6月14日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。
〔委員〕
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〔当社側〕 脇阪 聰史 社長、和田 省一 副社長、 大塚 義文 常務取締役、松田 安啓 編成・制作担当補佐、 梅田 正行 広報・スポーツ・リバーデッキ活性化担当補佐、 岩田 潤 編成局長、山本 泰弘 広報局長、 藤田 和弥 東京支社制作部長、西尾 理志 プロデューサー、 戸石 伸泰 事務局長、野条 清 事務局員、 北本 恭代 事務局員 |
審議課題
「世界の村で発見! こんなところに日本人」
<事前視聴 6月7日(金)午後9時~9時54分放送>
番組の良かった点
- 厳しい条件の中で日本人が元気に頑張っている姿を見ると嬉しくなる。日本人の誇りを感じるようなところがある番組。
- 私たち日本人は島国に住んで、特殊な言葉を使って、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を養う教育を受けておらず奥手である。だから日本人が海外で何かすると、私たちはものすごく喜んでしまう。良いところに着目した、企画力がすごい番組だと思う。
- 特に今の若い日本人が外国に出たがらない、留学もしたがらないという内向きの時代なだけに、48歳の日本人女性がマヤ族のために頑張っているのには強く感動した。
- 滅多にテレビに出ないような外国が多く、自分の知らない世界を旅するというワクワク感や臨場感があって好ましい。
- 普通の旅番組は、美味しい料理やきれいな景色を見せる。この番組はそうではないが、アフリカなど知らないところを旅するという欲求を満たしている。そういう新手の旅番組としてとらえれば面白い。
- タレントが、外国に住む日本人に苦労して自力で会いに行く過程が面白い。ただ、「本当はスタッフが手助けしているのでは?」と思いながら見たところもある。一方で、女性タレントがヒッチハイクする場面などは一人では危険だと思う。一般旅行者に誤解されないよう、危険な部分は危険だということをもっと伝えていく方が良い。
- 千原せいじさんがアフリカ54カ国を全て訪問するという企画は「全部見たい」とすごく思う。アフリカはあまり見たことがないし、企画として面白い。だからこそ、せいじさんのコーナーを最後まで見られると思ったら、「次週に続く」というのでがっかりした。
- 千原せいじさんが、これほどはまり役の番組はないのではないか。彼のキャラクターで最も成功した番組だと思う。せいじさんがいないと成立しないくらいの番組かも知れない。
- 千原せいじさんは、ボディランゲージやコミュニケーションの能力があり、「人」というより、「生き物」としての力を持っているので、トータルとしては良い感じになっていると思う。
番組の課題
- 何故その国にその日本人が行ったのか、どういう人生を歩いてきてそこにいるのか、今後どのような展望を持っているのか、突っ込み方が物足りない気がした。一話完結にして、そこをもっと掘り下げたら良いと思う。
- 日本人女性は現地で「生きがいを見つけた」といっているが、その生きがいの実相が見えない。日がな一日待っても客の来ないような土産物屋で、どうやって食べているのか、暮らしているのかということを知りたかった。
- どのタレントを何故そこに派遣するのかという関連性が弱い。つまりタレント側に「どうしてもその日本人に会いたい」という強い動機が見えなかった。「行けといわれたから行った」みたいな感じになっていた。そこの部分に、もう少し物語を組み込んだ方が良いのではないか。
- 全体的に素材は良いのに、中途半端感がある。探しに行く過程と目的の日本人を見つけてからのこととどちらがメインになっているのか?
- 女性タレントの動きにくそうな服装(ロングスカートなど)が気になった。何があるかわからないという国に行くことはわかっていたはずなのに、その準備がきちんとできていなかったことが残念。
- ベリーズシティで地元男性がピストルを出したが、あれは映すべきだったのかどうか?非常に危険なところだからといっていたが、かえって白々しさというか、作り物感を与えてしまうのではないか?
- 「この国のこの地域は治安が問題だ」ということをメディアとしていう場合、その国の人たちにとってどうかという問題もある。また海外の危険情報レベルはしばしば変わる。番組の二次使用時、三次使用時にどのように対応するか問われる番組。
- 番組で探す日本人女性が住む町に青年海外協力隊の若い日本人男性も住んでいる。それがインターネットに出てくる。「たった一人の日本人が住んでいる」と謳っている番組を見た人がそれを見ると矛盾を感じるのではないか?
- 千原せいじさんのキャラクターが、面白い面もあるが、横柄というか、上から目線で、それがちょっと気になった。
- それぞれの土地の文化とか食は違って当然だが、例えば千原せいじさんがガーナで、現地の発酵食品に対して「これ食ったらアカンよ」という。確かに普通の日本人から見たらそうなのかも知れないが、何となく「日本は素晴らしくて、ここでは変なものを食べている」という感じが若干する。
- どうしても番組が、今の日本の感覚から見た世界になっている。あんな変なところで、あんな変なことをしているというように。それより、もう少し世界の中の日本という視点でとらえないといけないのではないか。
- アフリカを古いイメージで見ているような気がする。グローバリゼーションは、今、アフリカをものすごくかえているので、その地域を説明する時などに、「かつてはこうだったのが、今はこうなっている」というような工夫が必要。
- 他局の類似番組は、レギュラー番組として去年から始まっている。朝日放送の番組は、スペシャル番組も含めれば先行しているいわば元祖なのだろうが、もう少し他局も意識した新しい工夫があっても良いのではないか。また、番組の知的所有権というか知財として、他局がどこまで模倣してきた時にテレビ局として問題視するのかということが気になった。
- 何で一話完結にしてくれないのか。せっかく日本人を見つけているのに、その人の顔を隠して、「来週のお楽しみ」というのはいかがなものか。タレントの顔を隠して、「来週はこの人が探しに行きます。誰でしょう?」というのならまだわかるが、素人の顔を隠して「また見てね」はやめて欲しい。
- 海外に行ったタレントがスタジオにも出てくるわけだから、スタジオのコメンテーターは必要ないのではないかと思った。
番組制作側から
- この番組は2008年から7回にわたり特番として放送し、高視聴率を記録したため、今年4月からレギュラー番組になった。
- 世界の「何故こんなところに?」というような地域に住んでいる日本人に、その理由を会いに行って尋ねることをコンセプトにしている番組。類似番組との大きな違いは、タレントによる日本人探しの部分に重きを置いて、そこにバラエティの要素を詰め込んでいる。
- レギュラーとしては後発なので、類似番組との差別化を図るために、千原せいじさんを毎回出したいと思った。その場合、せいじさんが他の仕事をしていなくて、アフリカに住み続けていれば毎週一話完結が可能だが、そうではないので「次週に続く」となっている。
- スタジオが主に担っているのは、賛否両論ある千原せいじさんに対して、「もうやめて、やりすぎだ」というのか、「あれは面白かった。痛快だ」というのかして、ある意味ではとらえ方の指針を示す役割。
- タレントが、その日本人にどうしても会いたいと思って現地に向かうのと、そうでないのとでは初対面時のリアクションが違ってくるとは感じている。そこは今後の課題で、どれだけの情報をタレントに伝えて旅立ってもらうのが正解なのかを色々試すべきかと思う。
- 「たった一人の」という部分に関して、特番の時にはこだわっていたが、レギュラーになってからは、あまりこだわると取材対象が限られてしまうので、「たった一人の」といえる時にはいっていこうというスタンス。
以上