第593回番組審議会は3月8日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。

〔委員〕
豊蔵 亮 委員長、道浦 母都子 委員、
星野 美津穂 委員、橋爪 紳也 委員、
奥村 信幸 委員、淺井 栄一 委員、
高見 孔二 委員、阿部 圭介 委員

 

 

 

 

 

〔当社側〕
脇阪 聰史 社長、和田 省一 専務取締役、
田仲 拓二 常務取締役、大塚 義文 取締役、
松田 安啓 編成・制作担当補佐、
岩田 潤 編成局長、山本 泰弘 広報局長、
岩城 正良 テレビ制作部長、
栗田 正和 プロデューサー、
橋本 祐子 ラジオ編成担当部長、
戸石 伸泰 事務局長、野条 清 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

「LIFE~夢のカタチ~」
<事前視聴 3月2日(土)午前9時30分~10時放送>

番組の良かった点

  • 若い世代に向けたメッセージ性、土曜朝の一服の清涼剤、それらの狙いには到達しているのではないかと思った。
  • 身近な普通の人が、頑張って夢に挑戦しようという番組。「テレメンタリー」のように問題意識を持って掘り下げることはないが、「朝だ! 生です 旅サラダ」に続く番組として編成上も流れがとても良い。
  • 夢を持ってその実現に向かって一所懸命努力している人間の姿は魅力的だ。我々は、えてして怠惰な日常を送っているということを、この番組を見てしみじみと感じた。素晴らしい人間探訪の番組だった。
  • 佐々木蔵之助さんのナレーションが全体のトーンにすごくあっていて、非常に良いなと思った。ナレーションは大事だと思った。
  • ギターのBGMが素敵で、テーマ曲がすごく良い。バイオリンの「情熱大陸」のようになれば良い。このテーマ曲を聞けば「LIFE」が思い浮かぶというように、番組自体が熟していけば良いと思う。
  • オキナヒメジを塩で1日締めたらシャンパンにあうようになったとか、料理番組でもあまりやらないくらい詳しくて、その辺が面白いと思った。

番組の課題

  • 非常に淡白でさっぱりしている番組。何かハッとさせてくれるものがないというか、スパイスがもう少し欲しい、刺激的なものがあっても良いのではないか。
  • さわやかで嫌味がない番組だが、特徴もない。他でも見たことがあるような番組という感じがして、新鮮味が感じられなかった。
  • 主人公の中東俊文さんが何故シェフに抜擢されたのか、番組の説明を見てもわからない。いったん不合格になって、その姿勢が頑張っているから抜擢されたというのは、普通あり得ないだろう。
  • シェフの試験がどんな試験だったかわからない。どうして不合格になったのかもわからないし、どうして合格になったのかもわからない。そこがゴソッと抜けている。
  • シャンパン・ディナーのメニュー作りで、中東俊文さんが副支配人から一度ダメ出しされていながら、食材を高知に探しに行っただけで全部解決してしまったように見える。
  • 30歳で一流ホテルの料理長を張るのだったら、何か天才的なものを持っているはずだが、それが何かさっぱりわからなかった。
  • 30歳で料理長をやるのだったら、周りの摩擦やご苦労があるだろうと思ったが、そういう描き方もなく、「本当にそうなのだろうか?」という感じがした。
  • 中東俊文さんが、どうして父親(和食『草喰なかひがし』の料理人)から離れてイタリアに飛んだか、どんな修業をしたか、アラン・デュカス(フレンチの巨匠)に師事するのは非常に大変なことで、そこにどんな出会いがあったかなどをもう少し盛り込んだ方が、視聴者の共感を得られたのではないか。
  • 中東俊文シェフに光を当てているのは良いが、国際的なホテルで活躍しているという部分が描かれなかったのが残念。インタビューしている客も日本人ばかりだった。世界中から客を受け入れるホテルのメインダイニングなので、和の食材を使い、単なるイタリアンではなくて日本らしいものということで頑張っているという視点が抜けていた。
  • 取材期間が1カ月程度だというのが伝わる。1年前のシャンパン・ディナーの映像があれば、描き方がもっと深くなったのに、撮れていないというのがちょっと弱い。
  • 人生とか夢を追いかけるという割に、料理がたくさん出てくる。そんなにいらないだろう。番組のメインは料理ではないはず。
  • 関西電力の一社提供番組だが、大飯原発や活断層の敦賀原発などを抱えていて、ニュースとして報道もされている中で、こういう枠組みで番組が成立して良いのか。一社提供の手かせ足かせみたいなものがあるのではないか。
  • 登場人物は、「またもや失敗」というのでも良いのではないか。それでも夢を持ち続けて、まだ挑戦しているのだという人たち。何回か見たが、大体うまくいっている人たちが登場する。「そら、あんたは成功してええわいな」といいたくなる。

番組制作側から

  • 夢を追う人のひたむきさを描くことで、人生の大切さや夢を持つことの大切さを、とりわけ若い世代に訴えたいと思って作っている。今は、夢を見ることが難しくなったとか、夢を持たない若者が増えているとか、ネガティブなとらえ方が多い時代だが、そんな時代の一服の清涼剤になれれば。
  • 中東俊文さんが不合格後、採用された理由についてホテル側に質したところ、最初は「該当者なし」だったが、上層部の意見がかわった、将来性を認めたという回答だった。審査基準や試験の内容は明らかにしてもらえなかった。
  • スポンサーの影響については、一社提供にありがちと思われている「この人を取材してくれ」や「この人を取材してくれるな」という要請を、これまで具体的に受けたことがない。
  • 失敗例をもっと紹介すべきというのは同感。夢を実現するためには挫折がある。朝だから、さわやかだから、挫折を描かないでおこうなどとは考えていないが、皆さん、テレビカメラの前では頑張ってしまい、なかなか失敗してくれない。
  • テレビ制作部が作っている番組の中でも特異な存在。制作部の番組は、バラエティが8割以上を占めているが、「LIFE」は報道的な番組。制作部としては、ソフト作りの幅が保てる番組として続けていきたい。

以上