第556回番組審議会は、6月12日(金)に開かれました。
出席委員はご覧の方々でした。

〔委員〕
井野瀬 久美惠 副委員長、村田 晃嗣 委員、
植田 紳爾 委員、宮原 秀夫 委員、
藤田 富美恵 委員、道浦 母都子 委員、
草川 誠 委員、山田 廣則 委員

 

 

〔欠席委員〕
豊蔵 亮 委員長、 星野 美津穂 委員

〔当社側〕
渡辺 克信 社長、北畠 宏泰 専務、
福田 正史 取締役編成本部長、
田仲 拓二 取締役(広報・ラジオ担当)、
山本 晋也 編成局長、森本 茂樹 報道局次長、
谷 浩司 プロデューサー、本城 謙三 広報局長、
小関 道幸 事務局長、藤沼 純夫 事務局員

放送番組検討委員会の報告

  • 「消費者不在~幻の魚 クエ偽装~」が、今年度ギャラクシー賞の優秀賞を受賞した。2007年12月28日放送「NEWSゆう」のウラドリスペシャルで放送したもの。きっちりしたウラドリ取材が評価され、賞につながった。
  • ラジオの「誠のサイキック青年団」や、テレビの農林中金問題など危機管理について、放送番組検討委員会が主催し勉強会を行った。 第1回の「危機管理セミナー」は、5月25日。第2回は6月29日に開催する。

番組審議:「NEWSゆう+」(月~金曜日 午後4時50分~6時54分)

<番組内容>

夕方のニュース番組「NEWSゆう」が、2時間の広帯域ライブニュース「NEWSゆう+(プラス)」に生まれ変わった。地域に密着したニュースに加え、新番組では、政治・経済から芸能・カルチャーまで、生活の中で出会う様々な分野にアクセスし、ためになる情報をより分かりやすく届ける。
メインキャスター:保坂和拓 橋詰優子
レギュラーゲスト:月・火曜 麻木久仁子、木曜 大谷昭宏、金曜 井上公造

 

◇当日視聴:(5月29日、6月2日、6月8日 の5時台のコーナーを編集)
シンクロナイズドスイミングの元日本代表コーチ 井村雅代さんがゲスト、
井上公造さんの芸能コーナーなどを視聴

 

<以下 出席委員の意見 要旨>

  • 女性が見るワイドショーは、週刊誌の芸能的なものが多かった。実はもっと知的好奇心を持っていて、子どもを育てる役目を持っている。レベルアップしてもついていくし、受け入れようとしていると思う。この番組にはそういう姿勢が見えることを感じ、好感を持って拝見している。
  • 井村雅代さんのようなゲストが欲しい。大阪にいてあれだけ世界的な仕事をしている、現場主義で教育について本音で話す。井村さんは「叱ってない。本当のことを言っているだけなのよ」って、人間の可能性をすごく信じている、そこがすばらしい。ああいうゲストをどんどん出して、色んなことを言っていただきたい。
  • 今までは局が使ったタレントが自分で走ったままという感じがしたが、この番組では、局がたずなを引いているなと感じた。文化があり、知的好奇心を感じさせる話。大阪府の話は地元とのスキンシップのある、我々の目の見える範囲での話で、さらっとした印象の番組になっているところがいい。
  • 「ゆうカルチャー」の中で、6月3日に、市川海老蔵が出てきた。見ていたが、「違う、もっと突いてほしい所があるのに」と、隔靴掻痒の感がした。「大阪の人のために口上をやる、にらみをやる」って。「大阪をもっと元気にするために、衣装、鬘、道具から全部またつくらないといけないが、大阪のためにやろうやないか」ということのほうが、ニュース性がある。大阪の人が「それやったら見にいこう、応援しよう」ということになるのに、そこがものすごく惜しい。切り口によって面白くなるのに。
  • 全体に毒が少ない。(情報系番組を)見てらっしゃる方は、スキャンダラスなことが大好き、ゴシップ大好きな人間です。瓦版なんだから。そのバランスが多かったのが「ムーブ!」だった。毒というのは劇薬で体に悪いけど、薬にもなる。それももう少し入れてもいいのかな。
  • 「ムーブ!」からの経緯で言うと、コメンテーターの毒のあるコメントに番組全体が引っ張られていく。それに対してこの番組は、もう少し抑制的になろうという配慮が働いていると思う。
  • 曜日別に「レギュラーゲスト」と呼ばれる方が出ている。毎週出るのに「ゲスト」なのか?ゲストには当事者意識がない。ゲストはお客様で、井村さんはゲストだ。だから何か失言があっても、番組が責任を持つことではない。レギュラーゲストの麻木さんが、井村さんに質問をしている場面では、麻木さんは明らかにホストだ。井上公造さんは自分の得意分野をしゃべるコメンテーターだ。この番組の中途半端な性格を表しているような気がする。
  • 公造さんのコーナーでママさんタレントを取りあげたのはいいが、グラフを示したら、なぜそうなってきたか、社会変化はどこにあるのか、今後例えば保育園をもっと増やせよという社会問題につなげるという話にしていかないと、全く芸能の番組になってしまっている。ニュース的な切り口が必要だ。
  • つくり方の根底に温かいものを感じる。毒がないというお話があったが、いい意味で朝日放送らしい番組だなと思う。視聴者に媚びてもいないし、自然体で向き合っていると思う。力が入っている番組だというのは、例えば大阪府の議会の記名・無記名投票のところで、じゃあ全国ではというのが出た。おそらくスタッフが全都道府県の議会事務局に確認をされていると思う。見せ方はさりげないが、非常に手間がかかる。これがプロの姿勢だろう。
  • 「親しみやすい番組だ」。一日のライフスタイルの中に番組が組み込まれている。冒頭の天気予報を見て洗濯をしたり、党首討論の時は、すぐに番組が始まり、ちょうど大谷さんの日で、内容をいち早く知り、得した気分になる。
    井村さんと保坂キャスターとの会話は、若い父親が子どもに対する接し方、悩みがよく出ていた。ABCのアナウンサーが親しまれる要素でもある。見ているお母さんにも参考になる。
  • 芸能の部分で、ママタレントという切り口でやって、ブログの共通点がある。おしゃれできれいでかっこよく、子育てもちゃんとやっている。しかも「子供服」などビジネスにもなっているという。プラス面しか出ていない。子どもがアクセサリ化していくということが、色んな所で問題になっている視点については?物事には見方が色々あるということを絶えず考えてほしい。

系列24社 放送番組審議会委員代表者会議 について

6月4日(木) 朝日放送主催で、テレビ朝日系列24社の番組審議会委員代表者が大阪国際会議場で一堂に会し議論した。

 

会議のテーマ:
(1)報道・情報系番組の「取材」のあり方、「情報」の扱い方と放送倫理、人権の問題について
(2)「裁判員制度」と放送のあり方について

 

 日本テレビの「真相報道バンキシャ!」が、虚偽証言をもとに岐阜県で裏金があると報じた問題、「報道ステーション」では、『土地改良区と補助金』を巡る問題でBPOから放送倫理順守を求める勧告を受けるなど、東京各局で起きた放送倫理、人権に関わる問題。またスタートした「裁判員制度」について、系列局委員との意見交換を行った。
 会議では、当社 豊蔵委員長と井野瀬副委員長が出席、豊蔵委員長が第一部の司会と井野瀬副委員長が全体の進行役で会議を進めた。

 

◇(1)の論点は、テレビメディアが担うべき公共性とは何か?情報の裏づけ、取材の正確さ。事態を掘り下げて多角的に提供することの重要性。映像と音声が持つ影響力。
更に情報系番組などに出演するコメンテーターの役割、番組をコントロールするキャスターの力量。また番組を作る「人」の問題として、放送倫理の担い手であり守り手である人の育成について。それぞれが議論のキーワードであり、様々な角度から問題点が提起された。

 

◇(2)「裁判員制度」と放送のあり方については、(1)のキーワードを前提とした放送に対する信頼がなければならない。裁判の場で何があったのか国民と共有するのが報道の使命だ。可視化することも含め、メディアが国民を育てるが、国民によりメディア人が育てられることにもなる。

 

▽弁護士である豊蔵委員長は「裁判員制度」そのものの問題と、この制度をどう報道するか報道のあり方の問題があると提言。3年後の検証を踏まえ、裁判員経験者に積極的に取材すべきであり、メディアはしっかり報道、監視していくことが重要だと述べた。また「制度」については、おそらく控訴審の構造が問題化する。1審で出たことが2審、上級審で覆る事がありうる。1審で裁判員裁判の結果有罪であった、2審で職業裁判官の目を通して無罪であったと意見が分かれたとき、裁判員制度を取り入れた意味は何だったのかとなる。破棄して差し戻し、別の裁判員構成のなかで判断することになのだろう。「制度」の検証を、マスメディアが公共的使命として担っていくことが大事だ。

 

▽法曹界出身のテレビ朝日・堀田委員長からは、一つは、報道と裁判との関係について、「予断を与えるような報道は困る」という裁判所側の立場と、「事実をきちんと報道する」という報道側の立場の衝突がある。この点については、報道のあるべき姿、すなわち「真実」を報道することだ。真実が確認できないなら、その通り報道すること、本来あるべき報道をすればよい。また事件が社会の中でどのような意味を持つのか、掘り下げて報道すること。これは報道独自の分野であり大切になる。二つ目は、裁判員制度そのものが分からないうちにスタートした。この制度の啓蒙と、制度をうのみにせず批判的に見ていく姿勢がメディアに問われる。三つ目は、裁判そのものがどう行われるか可視化の問題がある。人権と対立しない限り、報道すべきだ。裁判員に対する取材には、是非はあるが取材の工夫をして欲しい。

 

▼この他、新型インフルエンザが大きく広がった地元の局として、当社報道局長から報道のあり方、風評被害について所見を述べた。… マスクをつけて学校の前でレポートした時、どんな印象を与えるだろう。学校全体がウイルスに汚染されたように感じさせる。これは煽り報道であり、風評危害を助長する。テレビ報道は、映像とコメントの総合性で印象付けられるが、画面でいかに客観的印象を与えるかがポイントだ。取材の際はマスクをするが、感染者が出た学校の前でのレポートは、決してマスクを付けない。レポートの拠点を行政官庁に移し、客観的で冷静な印象を与える報道に努力したと報告。

以上