第582回番組審議会は2月17日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。
〔委員〕
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〔当社側〕 渡辺 克信 会長、 脇阪 聰史 社長、和田 省一 専務取締役、 田仲 拓二 常務取締役、大塚 義文 取締役、 松田 安啓 編成局長、山本 泰弘 広報局長、 三村 晃久ラジオ局長、橋本 祐子編成業務担当部長、 野条 清 事務局長、北本 恭代 事務局員 |
審議課題
創立60周年記念 大型ラジオ時代劇「元禄・堂島米市場蛍舞~平成に近松の幽霊が甦る」
2011年12月30日(金) 19時~21時放送
- 大変面白かった。正直2時間ドラマと聞いたとき気が重かった。最後まで聞けるかなと思って聞き始めたら、ぐいぐい引き込まれていって2時間が長く感じなかった。
- ストーリー展開がよく計算されテンポがよく、次にどうなるのと思っているうちに、夕凪が親の仇の平田屋に身請けされそうになるピンチ、大坂では非常に著名な淀屋が登場して、全ての謎が一気に解けて大団円にむかう、まさに二時間、ラジオドラマに没入した末のカタルシスというものを感じた。
- サブタイトルの「平成に近松の幽霊が甦る」、これはちょっと意味不明で無くてもよかったような気がする。また登場人物の設定に隙がなかった中で、宮本源三郎の人物像が中途半端で、心ならずも平田屋仁平の手下となって働く、その辺りが描き切れてなかったのが唯一脚本上で気になった。
- ラジオドラマは声優のキャスティングで左右されるが、夕凪の大阪弁はすごく棒読みに近いような感じでもったいなかった。もっと色っぽくていいと思う。特に何々「しやんす」とか、「あらしゃる」とか、独特の太夫言葉はラジオだからきっちり聞きたいわけで、そこがこなれてなかった。
- 橋爪功さんのきれいな大阪弁がとても印象的で、こんなに耳ざわりよく聞けるのだなと改めて思った。
- ドラマが終わった後の骨董屋と学者の二人が話す事後談や、おかるとおみつの部分が必要だったのかどうか。すべてを物語にして「堂島は蛍の舞うところや、せいだい輝こう」の台詞で余情をのこして終わったほうが、想像が膨らんでよかったと思う。
- 櫓からほたるまちを見下ろす趣向とか、雀鮨の宣伝を櫓に立てるとか、喉のお灸の後を目印に探すとか、細かな設定が効果的で「こういうやり方もあるのか」といくつか教えられた気がした。
- 「もう一度聞きたい」リスナーのために、ラジコやウェブ、販売CDなどで、聞けるチャンスを作っていただきたい。
- 途中で何回かサイレントポーズがあった。シーン転換のブリッジの間がちょっと長いような気がする。あそこに解説を少し入れたほうが転換がわかりやすかった。
- 米の果たす役割はこのドラマでは非常に大きいので、杉森次郎役の道上洋三さんに、当時の時代背景と米の関係をちょっと解説してもらえると、もう少しわかりやすいものに出来上がったのかなという気がする。
- ストーリー展開はとてもわかりやすかったが、最後に夕凪=あずさは誰のもとに嫁入りしたのでしょうか。「暁屋のいとはん」という言葉が少し理解しづらかった。
- キャスティングには苦労されたと思うが、ラジオドラマを魅力的なものにしようと思えば、俳優をどう養成していくかが問題で、テレビだけで育った人がラジオに来た時、スッと入れるのかなというところがあって、そのへんが難しいと思うが、チャレンジはどんどんしてほしい。
- このドラマが成功した一つの要素に音響効果があげられる。余韻をもった笛の音ところどころにながれ、情緒的に盛り上げる、琴の音と弦楽器の音も。米市場の人のざわめきなんか非常に物語に親和性があった。特に平田屋のどうしようもないイライラ、ジェラシーを表すのに、茶碗とか杯が割れる音は効果的で見事。
- ラジオにおける「言葉の力」を再認識させられた。このドラマを映像化した場合、とんでもないコストがセット、衣装を含めてかかる。そこまで費用をかけても、薄っぺらさが見えてしまう。ところがラジオドラマは音楽、効果音、台詞だけで当時の堂島の賑わい、風情を鮮やかに脳裏に浮かび上がらせてくれる。ラジオのすばらしい力だなと思った。
以上