第576回番組審議会は6月10日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。
〔委員〕
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〔当社側〕 渡辺 克信 社長、脇阪 聰史 専務取締役、 福田 正史 常務取締役 編成本部長、 田仲 拓二 常務取締役、 大塚 義文 取締役 編成副本部長、 松田 安啓 編成局長、山本 泰弘 広報局長、 田中 俊行 制作局長、岩城 正良 制作部長、 柴田 聡 プロデューサー、 野条 清 事務局長、北本 恭代 事務局員 |
- バラエティ番組の特番という位置付けとして見たとき、これほど抑制のきいた演出の番組は見たことがない。特番という気負いもないし通常の「新婚さんいらっしゃい!」とは全く異なったトーンと印象をあたえるすばらしい番組だ。非常に抑制の効いたナレーションはすばらしいし、あれほど静かで穏やかな三枝さんは見たことがない。
- 一人の女性が、都会の那覇とは全く違う環境に入っていく様子が、淡々と何気ない感じで始まる。その島の一員になるための手がかりとして、島豆腐の作り方をおばあさんに習って「ここの島の人となって生きていきますよ」という強い決意を示すところがとても印象的だった。
渡名喜島の景色、そこに生きている人々の暮らしが見えるような映像がたくさんあって、「ドキュメンタリーを作るんだ」「記念番組を作るんだ」という力み無しでつくったのが良かったんじゃないか、とても見やすかった。 - 第一印象として「あ、こういう手法があるのか」と思った。肩に力が入らないドキュメンタリーは遡及力が弱いことが多いが、長寿人気番組の特別編という冠をうまく利用してドキュメンタリーをつくりコマーシャルベースに乗せていく、これは余り見たことのない手法だ。
- ナレーション処理が多くて、二人の肉声がほとんどなかったのが残念。結婚式の後半の踊りのあたりで、結婚式の感想をいれるとか、結婚式を迎えるまでの新婦の心境の変化などを、三枝さんと膝詰めでしみじみ語るシーンを肉声でいれてもよかったかなと思った。
- 核家族が進んでいる中、ゆいまーるの精神に感動した。ただし、あまり良いことばかりでストーリーがあまりにも美しくて、ちょっとできすぎてるんじゃないかな、もう少し葛藤や、嫁と姑のけんかでもあるんじゃないかと、そういう気になった。
- 山瀬まみさんのナレーションは上手でびっくりした。最初は本人だと気づかずに聞いていたが、非常に良いナレーションだった。
- 新郎や島の人の喜びとは逆に、新婦の妙美さんが余り幸せそうに見えず、とまどいや、不安、不満とかがずっとあるように見えていた。最後の結婚式シーンでは妙美さんのすばらしい挨拶が聞けたのでたぶん吹っ切れたと思うのだが、そこに至るまでの心の動き、胸の内をもっと伝えて欲しかった。島の中を歩いているときに、三枝さんだったらうまく引き出せたのではないかと思うので妙美さんの心の動きをもう少し知りたかったなと思う。
- 系列局での公録やハワイ編などで、いろいろなユニークなカップルが出場しているので、そういう新婚さんの足跡をたどった番組を、1時間でなくても良いので作っていただければ嬉しいと思う。
- あまり近づきすぎず微妙な一定の距離をとりながら、カメラは妙美さんを追っている。この作り方がこの番組を自然体で作ったドキュメンタリーという感じ方をさせ、成功させたのだと思う。桂三枝さんの参加の仕方が光っている、番組を引き締めている。島の風情や住んでる人をうまく取り入れながら、「ゆいまーる」をキーワードに番組を作り、視聴者は微笑んだり、涙ぐんだり、揺れ動かされて「いい番組だったなあ」と感じさせられる。実にうまい。期せずして潜在能力が表に出たのかは知らないが、レギュラーの「新婚さん」をつくっている人がこういうドキュメンタリーを作れるというのは、別の意味での感動だ。
以上