第638回番組審議会 9月29日(金)開催
〔出席委員〕
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〔当社側出席者〕
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審議課題
テレビは何故つまらなくなったのか ~メディアとしての存在価値を問い直す~
委員の主な発言
<テレビはつまらなくなったのか?>
- ネットやスマホなど他に時間を割かれるからテレビを見る時間がなくなったのであって、テレビがつまらなくなったわけではないだろう。それにネットはテレビのような規制がないので面白がられている。さらに政治も国際情勢も、リアルの方がバーチャルなテレビの番組より面白くなっているというのも一つの要素ではないか。
- つまらなくなった、というよりも面白さに慣れてしまった、同じような番組に飽きてしまったと感じる。同じような芸人さんのトーク番組が多く、それも面白いが、新しい発見があったり好奇心が湧いたりするものではない。では、なぜ同じような内容になるのかというと、テレビに限らず社会全体が自主規制して許容範囲が狭くなっているので、問題を起こすようなことは最初からしない、そういうスパイラルに陥っているからではないか。作り手もそうだが、見ている方も正論をいうがあまり、つまらなくなっているように思う。
- 若い人たちは友人との付き合いや、塾、習い事、SNSなどで時間に追われて疲れている。その息抜きのために、番組全体を見ると時間がかかるので、見たい時に短い時間の動画を見る方が手っ取り早い、というのが現実。
- 番組の中だけで盛り上がっていて、視聴者が除け者にされたと疎外感を感じているのではないか。また、どの年代の視聴者も、自分がターゲットにされていない感覚がある。視聴者を取り込む視点が大事。
- これだけ媒体が増えた中で、依然として媒体のシェアが1位だと言うのは、テレビはある意味凄いメディアだという気がする。自信喪失し過ぎではないか。自らもっと突っ込んでできることはたくさんあるはずだし、大きな社会的責任も負っている。
- 誰でも情報発信できる時代に、放送局というプロが何をすべきか、が問われている。「テレビがつまらなくなった」ことと「見たいものがない」というのは別のことなので、そこは放送局自身が丁寧に考えて行く必要がある。
<テレビにしかできないことは何か>
- 見た時の感情、人間の情に訴える、というのがテレビの一番の得意分野。しかし、それを最近蔑ろにしているのではないか。ドラマでもバラエティでも、視聴者に考えたり感じたりする暇を与えずに完結してしまっている。また、一つ番組が当たると、必ず追随する番組が出てくる。もっと苦労しないといけない。局側も特定の分野に強くて、「この人なら任せられる」という職人を育てたほうがよい。また、作る側に「面白がらせてやろう」という気持ちが少ないのではないか。もっと感情や感動を発信すべき。
- 単なる旅番組ではなく、生中継でその場で料理をして食べるようなものは、現実感もあって、味が伝わってくるような気がする。スポーツでも、撮り方で面白さが違う。テレビでしかできないことを追求していけばつまらなくならないし、これからまだ魅力を引き出す余地が色々あるのではないか。
<これからテレビがすべきこととは?>
- 週刊誌ですら取材動画を流す時代に、新聞や雑誌を読むだけで取材していないように見える。スクープを取るとか、調査報道をもっと深くするとか、取材のあり方を考えないといけないのではないか。
- 今あるものをライブで放送するのではなく、ライブで放送すべきコンテンツやイベントを先に作っていくのが本来ではないのか。また、これまで地上波にはなじまないだろうと思っていた新しい分野に鉱脈があるという視点で番組制作をすべきではないか。
- ネットは匿名でも発言できて、つながりが持てるし、自分が主役になれる場がある。なので、バーチャルスタジオにアバターで参加できるような番組があれば、若い人たちも戻ってくるのではと思う。
- インターネットとの違いを強調するよりも、共存することを前向きに考えるべき。
- シニア層の番組に力が入っている感じがあるが、それでは若い人や子どもが見ないので、テレビの文化がすたれてしまうのではないか。幅広い層に支持されるチャンネルブランドの確立を意識することが大事。
- どこのチャンネルでも同じことをしているので、「朝日放送ならでは」という番組を是非作ってほしい。
- 企業としては、いわば経営上「視聴率至上主義」にならざるを得ないところもあるだろうが、その条件の中で驚きがあり、役に立つものができれば理想的。ベテランは自分の成功体験に基づいて仕事しようとするので、範囲が狭まってしまう。もっと若手にどんどんチャンスを与えて活用すれば、新しい世界が広がるのではないか。
- 変えないといけないものと、変えてはいけないものがある。放送局が変えてはいけないものは「信頼」。フェイクニュースなど色々流れる中、ここだけは絶対ブレてはならない。ただ、変えないといけないところは会社全体で覚悟を持って殻を破らなければならない。
以上