第626回番組審議会は6月8日(水)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。
〔委員〕 |
〔当社側〕 |
審議課題
『おはよう朝日土曜日です』
<事前視聴 5月21日(土)午前6時25分~8時放送>
番組の良かった点
- 土曜日という時間の流れに沿ってなだらかな感じで、キャーキャー言うコメンテーターやリポーターがあまり出てこないので、それだけ穏やかにゆったりと見られる感じがする。
- スタジオの外(スタジオ棟屋上・スカイテラス)からのオープニングがとても良いと思った。その日の天気がよくわかるし、季節感が感じられて、とても好感が持てた。
- 番組冒頭の明石海峡大橋の風景は、快晴であったこともあり、映像が綺麗で気持ち良かった。綺麗な景色、映像を伝えられるのはテレビの強み。
- エレクトーンの生演奏が好きだ。軽快でさわやかな音楽が、朝の慌ただしい気分を落ち着かせてくれるし、番組のにぎやかな各コーナーの優雅なアクセントになっている。
- 東京の知人が「大阪の朝のテレビでエレクトーンを弾いているのは良いわね」とよく言われる。『おはよう朝日です』と奏者は違うが、土曜日もポイントを押さえていると思った。
- 単純な話だが、画面上方に時刻が表示されていることや、天気予報も曇りの日は雨雲レーダーをずっと出してしることは非常に工夫してあると思う。
- 『おはよう朝日です』とはMCのアナウンサーがそもそも違う。月~金は極彩色と言うか、オクターブ高いと言うか、これから職場に行って闘わざるをえないので、アドレナリンが出る感じで、あれはあれで良い。土曜日の上田剛彦アナウンサーは間を取って非常にゆったりした感じなので、カンファタブルな(落ち着いている)感じが漂っていて良かった。
- MCの上田剛彦アナウンサーは、生放送のフォローが非常に的確で、さすがという感じがした。
- 舛添要一都知事(当時)の話を非常に面白く見た。たぶん新聞でコメントを求めると、政治と金の問題等の小難しい話になるのだろうが、シャンプーハットのこいでさんは、求められて「ああいうことを言うタイプだとは思いませんでしたよ」のひと言で終わり。皆そういう風に思っているところを突いていて、「これがテレビだよね」と感心した。
- 「情報アップデート」のコーナーの谷口淳一帝塚山大学教授の話は面白かった。このように、関西で新しいコメンテーターとか専門家にうまく登場してもらって、ニュースにももっと関西色を出しても良いのではないか。
- 「情報アップデート」のコーナーは、最新のニュースを受けてのテーマがすごく良いと思った。5月21日は「謝罪の仕方」、28日は「オバマ大統領のスピーチ」、6月4日は季節的に「カビ」について取り上げていた。
- 芸能情報の駒井千佳子コメンテーターは好き。行き過ぎもしないし、聞きたいことをちゃんと踏まえて話す彼女のスタイルは好感が持てる。
- スポーツコーナーも芸能情報も、時間を取って詳しく伝えていた。全体的にじっくり見せる番組作りと言うか、どのコーナーもすごく詳しく伝えているという印象を持った。
- 稲垣早希さんのコーナーは、5月21日の「さきドリ! せやったんや!」と、6月4日の「さきドリ! Walker」というのがある。それぞれテイストが違っていて、「さきドリ! Walker」というのは、あまり知られていない町の広報担当者が出演して、情報誌「関西Walker」に売り込むというもの。町興しの手伝い的なことがすごく良かった。
- 「土日どーする?」の新シリーズ「こんなとこ歩き旅」のコーナーが好き。ウォーキング・ブームでもあり、駅からの街歩きは人気が高い。当社(京阪電鉄)でも、沿線街歩きを年間20回以上実施しており、約3万人が参加。近年、参加者が増加している。
番組の課題
- もっと土曜日色を出した方が良い。例えば、MCの上田剛彦アナウンサーのホワーッとした感じをもっと前面に出すとか。「関西アップデート」のコーナーも、もっと遊んだ切り口でやったら良い。ニュースなのできちんと紹介しようという気持ちが強すぎるのでは。
- 全体の印象は偉大なるマンネリと言うか、「ワイドショーとはかくあるべし」という王道の構成や内容。ワイドショーも時代とともに変わると思うが、横並びで各局同じような構成で、それで視聴率が取れているということをどう評価するか。
- スタジオ外の状況を伝えるのが朝のワイドショーで大事なことだと思うが、お天気カメラの映像が白浜等に限られている。スマートフォン等を使った様々なライブ映像をあちこちで見られる時代にどうなのか。
- 「情報アップデート」のコーナーでの「謝罪の仕方」は、前日の金曜日に舛添要一都知事(当時)の定例記者会見があって、そこできっと謝罪するというのでああいう企画になったと思うが、第三者委員会の話ばっかりでちっとも謝らなかった。つまり元々謝罪会見ではなかったのに「謝罪の仕方」というテーマで通したのは若干無理があると思った。
- 芸能情報に関して、記者会見が終わってタレントが帰る時に、答えを全く求めていない何か捨て言葉みたいなものを言って、それを放映するというスタイルが最近ものすごく多い。言いっ放しで、リアクションの表情でもあれば別だが、相手が帰っているわけだから、ああいう手法は一般化しない方が良い。
- 芸能情報は、東京キー局でやっていることと一緒だから嫌い。例えば最近、沢山の兵庫県出身の女優が結婚するという話があるが、関西にその女優のこんな行きつけの店があるとか、芸能情報も関西ローカルに徹した情報の出し方をすれば、見ていて楽しくなる。
- 土曜の午前はよく似た番組がひしめきあっており、いかに地域の情報を出すのかという時に、各局同じ町に、今は天満や富田林に各局が行っていて、どこかで見たような情報が使い回され消費されている。その中でいかに魅力を出すのかは、日々の情報収集が必要だということと、魅力的なキャラクターにいかに前に出てきてもらうかだと思う。
- 「土日どーする?」のコーナーは、一つだけ紹介するのではなく、関西ローカルの良いところをいっぱい紹介して、「あっちは人が多いけど、こっちは空いていて穴場」とか、「ここにはこんな良い花が咲いていますよ」とか言って、「さあ、この中から土日どーする?」と言うのならなお良い。
- 『おはよう朝日です』は昔から、若手タレントやアナウンサーの登竜門的な番組だったが、最近はなかなかインパクトがない。それは出演者だけではなくコーナーもそうで、それだけで独立して後々DVDで売れそうな企画を出すようなアイデアが必要。
- いつも思うが、次番組の『朝だ! 生です 旅サラダ』の豪華さとの落差が面白い。朝日放送のこの時間帯の良いところなので、両番組がもっとうまくつながるように、クロスするところがあっても良いのかなという気がする。
番組制作側から
- 『おはよう朝日です』と同様、『おはよう朝日土曜日です』も関西の朝を元気にしていこうというコンセプトで放送している。ただ、朝早くからチャンネルを合わせようという視聴者は、正直平日よりも少ない。土曜日くらいゆっくりしたいという状況の中で、それでもこれだけは見ておいて欲しいというニュースや話題をどれだけ柔らかく、そしてちゃんと心に伝えることができるかということを考えた構成にしている。
- 土曜日は平日よりも放送時間が長いので、フリートークに思い切って時間を割くようにしている。制作者はどうしても情報を詰め込みがちになるが、そうではなくて、そこに少し隙間を作って、出演者に自由に話してもらう、イコール視聴者に自由に考えてもらうというところを意識している。
- 関西ローカリズムをどう出していくかというのは、朝の番組の一大テーマだと思う。とはいえ、関西色とは何かが非常に難しい。それは作り手の腕の見せどころだが、視聴率も考えなければならない。「全国ネットのニュースを、関西人の目から見てどう消化させるか」というのが一つ大きなテーマだと、委員の皆さんの意見を聞いて思った。
以上