第606回番組審議会は6月13日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。

〔委員〕
井野瀬 久美惠 委員長、酒井 孝志 副委員長、
道浦 母都子 委員、星野 美津穂 委員、
淺井 栄一 委員、高見 孔二 委員、
小松 陽一郎 委員、池内 清 委員、
水野 由多加 委員

 

〔当社側〕
松田 安啓 常務取締役、梅田 正行 取締役、
岩田 潤 編成局長、太田 充彦 広報局長、
三村 晃久 ラジオ局長、橋本 祐子 ラジオ局長補佐、
鈴木 洋平 プロデューサー
戸石 伸泰 事務局長、野条 清 事務局員、
北本 恭代 事務局員

審議課題

ラジオ番組「よなよな…」(月~木曜 午後10時~午前1時放送)及び自社制作に改編した夜のラジオ番組全般について
<事前聴取 「よなよな…」ダイジェスト版等>

番組の良かった点

  • 朝日放送が、深夜ラジオを自社制作しているだけで素晴らしい。番組を自社で作ることによって、新しいディレクターも生まれるし、構成作家も生まれるし、芸人も育つ。ネット番組を流しているだけでは何も生まれない。
  • 曜日ごとに、とてもバラエティに富んだパーソナリティを使って、それぞれ色を出していると感じた。
  • スタートしてから3カ月経って、だんだん聴取率が上がってきて、志向も変わってくると思う。場合によっては編成をもっと積極的に変えるとか、高齢者でも聞ける日を設けるとか、色々なことにチャレンジすれば良い。将来性のある企画ではないか。
  • Ustreamで同時配信しているのが良い。携帯電話などでスタジオの様子を見ながら、自分もそこにいるような気分になれる。特に若い人はLINEやツイッターなどの優先順位が高いので、そういう中に音声コンテンツを発信するという発想で行けば良いのではないか。ただUstreamは、今は補助的な存在で、音楽などを流せないのがつらい。
  • 日本ではあまり話題にならないが、米国のTBSテレビ系では、画面に「レス・コマーシャル、モア・ムービー」というメッセージが映る。要するに、CMが少ないのを売りにしている。そういう意味で、「よなよな…」のCMの入れ方が素晴らしい。音楽の後にしか入らない。違和感がなく、過剰感がなく、広告も生き、番組が非常に健全な状態だと思う。

番組の課題

  • ラジオは「ながら」で聞く人が多いと思うので、「えっ?」と耳をそばだたせるような内容でないと、週刊誌ネタの二次使用的なものだと聞かれない。その辺りが物足りない曜日があった。
  • しゃべり手が二人いるのに、一人のトークに偏っている曜日があった。ラジオでは二人の掛け合いが多いが、どちらかのトークに合わせるというのはあまり面白くない。どちらもが楽しんでこそ面白さが伝わってくるように思うが、そのように聞こえてこなかった。
  • 午前0時を過ぎても出演者のハイテンションが続き、それにちょっとついていけない曜日があった。
  • 「おもろい話をしゃべり倒す」というのがこの番組の売りだが、何をもって「おもろい」のかは聞く人による。そういう意味で、ラジオは万人向けではなく、マニアックな話にとんがっていった方が良いのかも知れない。
  • 若い人がテレビ離れをしているので、そういう人たちをラジオに振り向かせるチャンス。ターゲットを絞るのも良い。
  • 内容に若さがない。せっかく番組を始めたのに、昔とあまり変わらない気がする。「エッ? そんなことするの?」という発想をして欲しい。
  • ラジオで芸人を使う時代ではないのではないか。昔、明石家さんまさんや笑福亭鶴瓶さんがラジオで人気者になった時は、芸人でありながら素人感覚でしゃべっていた。ラジオは親近感があるものだから、友だち感覚でしゃべって欲しいが、この番組ではプロとしてのしゃべりになっている。
  • 各曜日に何か一つ一貫性が欲しい。今は「どんな番組?」と問われて、「しゃべっています」としかいいようがない。例えば月曜日を聞けば音楽で賢くなる、火曜日は政治で賢くなる、次の日に何かいいたくなるというようなものを持たないと、新しさが出てこない。
  • 制作側は思い切り悩んで欲しい。悩まずに「これでええか」という作り方だけはやめてもらいたい。悩んで、もう一回やってみよう、もう一回やってみようと、毎月のように変わっていっても良いと思う。

ラジオ全般について

  • 誰がどんな風に聞いていることを想定して番組を作っているのか? 自宅か、タクシーか、帰りの電車内か? 若い人に尋ねたら「スマートフォンのradikoで、風呂に入りながら聞く」といっていた。私(50代)は出勤時の電車内で聞く。
  • ラジオを、いつ、どうやって聞くかという選択肢が今はむしろいくつもあるので、例えば暮らしの中で「こういう聞き方があります」ということを含めてパッケージで提案し、リスナーを形成していくことが必要になってきているのではないか。
  • ラジオ離れや新聞離れは、日本をちゃんとしないといけないことの一つ。大学の授業でも、新聞やテレビ、ラジオがなくなるとどういうことになるのかという話をしている。そういう部分で、放送局には一つの使命があると思う。

番組制作側から

  • 3時間しゃべることを大きなテーマに、各曜日で色の違う番組を作りたいと思って、それぞれパーソナリティを選んだ。始まってから2カ月半なので、試行錯誤しながらやっている。
  • スマートフォンのradikoで、移動しながら聞かれていることを意識している。基本的に家でじっと聞いている人はいないと思う。深夜とはいえ午後10時台はまだ外出している時間帯なので、そういう人たちに聞いて欲しいと思って作っている。
  • ターゲットとしては30~40代に聞いて欲しいと思って作っている。メールやツイッターを送ってくれる人はその年代が多い。
  • プロデューサー自身が36歳のラジオ好き人間なので、スマートフォンのradikoで、課金すれば全国のラジオが聞けるとなったら、たまらないと思っている。そういう人たちが聞きたいものは何かを考えながら作っている。
  • 「よなよな…」で、ラジオの導入部分を作っていきたい。聞いてもらった人に、ゆくゆくは朝の番組も聞いてもらいたい。そういう意味では、どういう聞かれ方をしていても良いが、とにかく朝日放送ラジオに触れてもらいたいということ。
  • ラジオ全体としては、今春から「+Radio」というテレビCMなどを作って、「ラジオは決して主役ではないが、生活の一部にしてください」というメッセージを発信している。ラジオを2~3時間ずっと聞いているリスナーはすごく少ない。「30分しか聞いていないけどファンです」というリスナーがたくさんいることがラジオの力になり、聴取率も上がっていく。逆にいうと、どこから聞いても面白く聞けるということが一番大事。
  • ラジオというのは何かあった時に頼られる媒体。当社も大災害への備えをしておくべきということで、今春の改編で生放送率を79%に、自社制作率を93%に上げた。ラジオは地域密着型であるべきだし、一方、エリアフリーのradikoの出現で、全国のリスナーに当社のラジオを聞いてもらいたいということも背景にあった。

以上