第602回番組審議会は2月14日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。
〔委員〕
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〔当社側〕 脇阪 聰史 社長、和田 省一 副社長、 松田 安啓 取締役、梅田 正行 取締役、 岩田 潤 編成局長、太田 充彦 広報局長、 今村 俊昭 制作局長、藤田 和弥 支社制作部長、 上野 晴弘 プロデューサー、 戸石 伸泰 事務局長、野条 清 事務局員、 北本 恭代 事務局員 |
審議課題
「世界への挑戦状!! 行け! ジャパンプライド2」
<事前視聴 1月5日(日)午後4時~5時25分放送>
番組の良かった点
- 正月番組としての華やかさがあった。しっかり練られた内容と構成で、海外ロケも大がかりで、テンポも非常に良く、大いに楽しめるバラエティ番組だった。
- 日本の職人がアウェーの地で材料を調達し、審査員も現地の人というのは、どんな結果になるか予想ができず、非常なドキドキ感があって素晴らしかった。
- 録画したものを冬季五輪の最中に見たので、日本人選手を応援しているような気持ちになり、「よっしゃー、日本勝った!」みたいな感じで興奮した。
- 特に花火対決が面白かった。北原煙火店の北原清さんが、味のある“おっちゃん”で、素晴らしい。まさに日本の職人を体現している方で、彼の人柄がすごく効いていると思った。
- 花火対決でイタリア人審査員100人に投票してもらうというやり方は非常にうまく機能していた。いかなる分野でも、審査そのものの公平さが目に見えてわかる仕組みになれば良い。
- 国によって美意識や味覚、価値観が違うのがよく見えて面白かった。アウェーで対決するという設定は、世界の中での日本人の立ち位置が確認でき、色々なことが感じられた。
- 司会の加藤浩次さんがいった「アウェーで品格が出る」とか、「あわてず謙虚にやってこそ日本人として一番かっこいい」などの番組をまとめるコメントが良かった。
番組の課題
- スタジオ部分を中心に「日本人が良いのだ、上なのだ」という変な優越感がチラチラ出たようなところがあって気になった。例えば(イタリアで注文した)打ち上げ花火の発射筒が短かった時に、「イタリアはこういう仕事をしやがるんだよね」とか、「安全を気にせず火薬をバンバン入れるイタリア人」という表現。
- スタジオ部分が出演者と観客を含めて完全にホームになっていた。スタジオの半分はイタリア人やアメリカ人らアウェーを応援する人にするのも一案。
- VTR部分にスタジオの観客の声や笑いが入る「ガヤ」は必要なのか?スタジオ部分での笑いは良いと思うが、VTR部分ではすごく邪魔に感じた。
- どこかで見たことのあるような番組だと思った。特に対決相手が待っているところに日本の職人が行き握手を交わす場面など、他局の対決番組にすごく似ているのが気になった。
- 「ジャパンプライド」という題名だが、国内では例えば(秋田県)大曲の全国花火競技大会のようなもっとすごい花火がある。「プライド」にこだわるのなら、職人のプライドがどれだけすごいかを見せられるかだと思う。今回の番組ではそれが十分ではなかった。ただ日本の技を見せているだけのような気がした。
- 今、国民としてのプライドの持ち方を日本人がちょっと迷っている部分があると思うので、職人のプライドがどこで発揮されるのか、その辺の見せ場はあると思う。
- アウェーの地での材料の調達など日本の職人が苦労する様子をもう少し映して欲しかった。
- 花火対決で、日本の職人が現地で調達した発射筒が日本のものより短く、どうなるのだろうとハラハラした。番組としては効果的だったろうが、もしそれが理由で負けていたら、視聴者から「番組スタッフは何故事前にきちんと材料を整えないのだ」と責められたのではないか。だから材料などは前もって十分揃えておくべきだと思った。
- 花火対決で気になったのは、イタリア人100人の審査員に判定基準として「どちらがきれいだったか?」と問うていたが、「どちらが好きか?」と問うていれば負けていたかも知れない。つまり判定基準のあてがい方で、答えを導きすぎたのではないかと思った。
- 寿司対決の5人のアメリカ人審査員がどういう人たちであるのか、もう少し詳しく知りたかった。
- 寿司対決の時に、5人の審査員が右手にアメリカ、左手に日本と書かれた札を持って勝った方の札を上げる場面。一斉に上げた瞬間、札にボカシが入ってCMにいくのだが、全員左手を上げていて、日本勝利がわかってしまった。せっかくの対決の緊張感が薄まってしまった。
- 花火対決は豪華で、すごく贅沢感があると思った。寿司対決も楽しかったが、違うジャンルの戦いをやっているような感じがして、率直にいってあれは寿司ではないと思った。料理では、もうちょっと違う対決があっても良いのではないか。
- 外国との対決もので「食」は取り上げない方が良いのではないか。それぞれの国民には好きな「味」が決まっているだろうから、そこに挑戦するといっても、うまくできないのではないか。
- 花火対決は視覚的なものだが、寿司対決は視聴者が食べることができないので判断しづらい。また今回、「鮨 青木」の青木利勝さんが作ったのは普段銀座の店で出していないメニューで、アメリカ人審査員の好みに合わせた感じがした。負けても良いから、いわゆる「和食」で勝負して欲しかった。
- 「和食」は目で食べるというところがある。寿司対決では、寿司の見た目の美しさをもっと強調したら良かった。
- 寿司対決は、日本が勝って当然みたいなところがあり、一回目のこの番組で日本の寿司職人が負けた時も「外国人には日本文化がわからない」という結論で終わってしまった。日本人が優位にあるものを素材にするところに意外性はないし、ミスリードしかねないと思うので、アウェーの戦いであっても、公平な戦いの場に見える方が良い。
番組制作側から
- 「五輪種目にない世界一決定戦を」ということで、日本の花火職人と寿司職人が、それぞれイタリアとアメリカに乗り込み、現地の職人と技を競うという番組。1年前に第一弾を放送し、今回が2回目の特番。
- スタジオ部分の役割については、VTR部分が完全アウェーで日本の職人2人だけで戦っているので、スタジオは逆に完全ホームで、バランスを取ろうと思った。出演者には「スポーツバーで日本を応援するみたいに、日本贔屓で見て」という演出をした。
- この番組を始める時に、勝ち負けを軸にしているバラエティだが、負けた方も、その文化の技を否定しない作りにしようという議論をした。今回は日本が花火対決も寿司対決も勝ったが、負けたとしても、日本の職人の素晴らしさは見せられたのではないか。
以上