第595回番組審議会は5月10日(金)に開かれました。出席委員と当社出席者は以下の方々でした。
〔委員〕
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〔当社側〕 脇阪 聰史 社長、和田 省一 副社長、 大塚 義文 常務取締役、 松田 安啓 編成・制作担当補佐、 梅田 正行 広報・スポーツ・リバーデッキ活性化担当補佐、 岩田 潤 編成局長、山本 泰弘 広報局長、 大幸 雅弘 企画戦略部長、 熊田 容子 プロデューサー、 戸石 伸泰 事務局長、野条 清 事務局員、 北本 恭代 事務局員 |
審議課題
ガラスの地球を救えスペシャル「ワンダー・アース~子どもたちにいま伝えたいこと~」
<事前視聴 5月6日(月・休)午後1時55分~5時54分放送>
番組の良かった点
- 全てのテーマが、最後まで見ると、「だから環境問題があるのだ」ということに帰着するように上手にまとめていた。これを11年間続けてきていること自体が本当に素晴らしいこと。これからも続けて欲しい番組。
- 番組を見て、子どもに伝えるというだけではなく、我々大人も自然の偉大さやすごさを再認識したし、逆にいうと、子どものために大人が環境を守っていかなければいけないということを全体的に感じた。
- 知らないことをわかりやすく、見やすく伝えると同時に、日常生活の中で見逃していることに気づかせてくれるという意味で、娯楽情報番組の模範ともいうべき番組だと、今年も思った。
- 今までの「ガラスの地球を救え!」の中で一番面白かった。この番組はこの形だと思う。いいたいことはわかるし、映像的には見たことがあるものも多いが、番組の趣旨からすればそれもかまわないと思う。
- ワンダー博士をあれだけ探してきた人選は素晴らしかった。6人の博士はそれぞれ非常に面白いキャラクターで、専門家でありながら、子どもたちに一所懸命伝えようという気持ちが出ていた。
- 動物の絶滅種の話で「絶滅したら、進化の奇跡は二度と戻らない」とか、植物は光合成で自らの栄養を作れるが人間は作れないので「謙虚にならなければいけない」など、いつまでも心に残る言葉をメッセージとして伝えていたのは素晴らしかった。
- リポーターも色々なキャラクターの人がいて面白かった。スタジオではしゃぎすぎて、うるさいところもあったが、取材やリポートについては真面目にやっており、ものすごく良かった。
- スタジオのセットも、場面が変わるごとに色々工夫していて、コウモリが降りてきたり、オーロラを再現したりして、わかりやすい、親切だという感じを受けた。
番組の課題
- 「動物」や「植物」など6つのワンダーを何のために学ぶのか、長い番組なので、途中から見てもわかるように、その企画意図を何度でも色々な場面で伝えた方が良かった。
- ワンダー博士の説明が、中途半端に終わっていたところがあった。どこかでそのこと自体を説明するのも良い。例えば、「これ以上は専門的になるので、初歩的な知識としてはここまでにしておきます」とか。専門的な話は単純化できない。正確さとわかりやすさは、ある意味では相反している要請。そこをどういう風に折り合いをつけるかというのも大事な問題。
- ワンダー博士は、専門分野が違っても互いに関係あるはずで、そのクロストークがほとんどなかったのが残念。例えば6人の会話で「塩や植物は皆関係している。それで地球という環境が守られている」というようなことをもっというべきだったのに、博士たちをイジッて、遊んで、終わっていて、ものすごくもったいない気がした。
- 生番組なので、話が長くなると突っ込まれる博士がいた。博士に対する尊敬の念が後半だんだん崩れて、バラエティのフォーマットに沿わない博士は、専門的な知は深いが、笑われるという場面が一部あった。
- MCも含めてリポートを担当するタレントが、それぞれのテーマにどれほど専門的な興味を持っていたのか。見たところ、ばらつきがあったように思う。各分野にかなり詳しいタレントや芸人はいるので、そういう人がロケに行った方がより深い番組になったのではないか。
- スタジオの親子をもう少し引き込めたら良かった。親子が優等生的で大人しかったが、小学生は本来、もっとヤンチャだと思う。そういう面も含めて子どもたちをどんどん引き込むようなプランがあっても良かった。
- スタジオに親子を招いていたが、親は要らなかったのではないか。その方が、子どもたちの素直な反応を映せたのではないか。子どもたちが「フン、フン」と頷いたり、「わからへんわ」という表情をしたり、仮に退屈して欠伸をしたりしていても、それはそれで良いと割り切った方が良いのではないか。
- 各テーマで、子どもたちに質問させていたが、時間が短く不十分に感じた。もっと知りたいことがあったはず。クイズの時も、親子でもっと議論している場面を映せば、生番組の良さが出たのではないか。全体として、決められた通りの時間配分の中で進んだというところが若干不満だった。
- スタジオの子どもたちの年齢が低すぎたのではないか。21世紀生まれの子どもたちにこだわったからだろうが、「エン」と「シオ」の違いとか、「オーロラ」と「磁場」とか、とてもわからないと思う。中学生や高校生もスタジオに入れたら良かったのではないか。
- この番組に限らないが、VTRの紹介中に、ワイプでスタジオのリアクションを見せることは本当に必要なのか? VTR映像に集中できず邪魔だと思う。スタジオの音声もかぶっていて、せっかくのナレーションが台無しだ。制作側が、スタジオのリアクションを見せることで視聴者の共感を得ようと考えているとしたら、全く正反対の効果しか出ていないと思う。これはもしかすると、テレビ番組を作る側と見る側との今最大のギャップなのではないか。
- VTR中にワイプでスタジオ出演者を映すパターンは、見る側が飽きている。タレントや芸人の反応もパターン化しているので、子どもたちの顔を抜いてみるなどの工夫が必要。
- アニマルプラネットの資料映像の時はライセンスマークが映るが、他の映像になると消える。秒単位で切り替わるので非常に見にくい。しかもライセンスマークには「6月から毎週放送」などの文字もあり、これは朝日放送が放送するのかどうなのかがわからない。ライセンスマークの入れ方については、一括で見せてあとは省くとか、もっとうまく編集できなかったのか。
- 午前の第1部と午後の第2部を全部見ると6時間。これは長すぎる。「朝日放送は環境を考えています」というのだったら、例えば5月は環境月間ということにして、1週1時間ずつ、きょうは「植物」、次は「動物」とやった方が気持ち良く見られるような気がする。
- 番組を見て、新たに疑問が生まれることもある。それらは、例えばホームページ上で、子どもたちの質問に答える「子ども相談室」のようなものを1ヶ月くらい展開したらどうか。環境特番を「1日中放送しました。はい、終わりました」では、あまりにも切ない。
- 視聴者参加のクイズは面白かったが、小学生だけでなく、若者やシニアも引き込むなら、ツイッターなどで感想を募っても良かった。
- せっかく生放送でやっているのだから、中継を入れるとか、例えば鍾乳洞から中継を1時間ごとに入れて、奥はどうなっているのかを見せるとか、生放送らしい企画が一つどこかにあっても良かった。今回は収録番組にしてもさほど変わらなかったのではないか。
- 同じ時間帯にほたるまちでイベントをやっているのならば、今後は番組とイベントの連携も考えるべきでは。例えば、協賛企業の公開生CMとか。
番組制作側から
- この環境特番は、今年で11回目。東日本大震災以来、環境に対する考え方が変わり、番組を作るにあたって、その辺りをどう捉えるかずいぶん悩んだ。そこで出した結論が、環境問題を大上段からいうのではなく、その前提にある「環境」というものをもっと知ろうということ。「ワンダー・アース」というタイトルには、地球がすごく不思議でワンダーに満ち溢れているということを、未来を担う子どもたちに伝えることによって、親子で環境問題を考えるヒントになるような番組になればとの思いを込めた。
- 前回までの「ガラスの地球を救え!」に毎年出ていただいた福岡伸一先生が、今ニューヨークに留学中。出発前にお会いした時、たまたまレーチェル・カーソンの著書『センス・オブ・ワンダー』に書かれている「子どもってすごいよね、子どもにしかわからないかけがえのないものが、大人になったらわからなくなっていくよね」という部分の話になった。今回の番組タイトルの「ワンダー」は、それがきっかけになっている。
- 番組を作る上で、大人の目線で不思議だと思うことと、子どもが思うことは違うだろうと思ったので、まず自分たちの子どもの話を聞いて、それをベースに、都会と田舎の二つの小学校の子どもたちに環境についてのアンケートを行った。それらを基に番組を作った。
- 6人のワンダー博士にはクロストークをしてもらいたかったが、皆さんが他の分野に割り込むことに遠慮したところがあった。皆さんは以前からの知り合い同士だったが、うまく生かしきれなかった。
- 放送枠の問題に関しては、色々な事情があるが、全社的に考えなければいけないこと。朝日放送が環境特番を毎年やっているということを、いったいどれくらいの人に認知してもらっているのか。どういう形であるべきかについて、今後話していきたい。
以上